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#3909 決算分析 : 株式会社スミノエ インテリア プロダクツ 第28期決算 当期純利益 228百万円

私たちが一日の多くを過ごすオフィス、ホテル、そして自宅。その空間の快適性や機能性を大きく左右するのが、カーテンやカーペットといったインテリア製品です。特に、環境への配慮が企業価値を測る指標となった現代において、サステナビリティはインテリア選びの重要な要素となっています。この流れをリードし、リサイクル技術を強みに市場を牽引する企業があります。

今回は、140年以上の歴史を誇る繊維メーカー「スミノエグループ」の中核を担い、インテリア製品の企画・販売を手掛ける、株式会社スミノエ インテリア プロダクツの決算を読み解きます。環境配慮型製品を武器に、安定した収益を上げる同社の経営戦略と財務の健全性に迫ります。

スミノエインテリアプロダクツ決算

【決算ハイライト(28期)】
資産合計: 10,500百万円 (約105.0億円)
負債合計: 7,595百万円 (約75.9億円)
純資産合計: 2,905百万円 (約29.1億円)
当期純利益: 228百万円 (約2.3億円)
自己資本比率: 約27.7%
利益剰余金: 2,577百万円 (約25.8億円)

【ひとこと】
総資産100億円を超える大きな事業規模を誇りながら、2.3億円の当期純利益を確保しており、高い収益力を維持しています。純資産も約29億円と厚く、特に利益剰余金が25億円以上積み上がっている点から、長年にわたる安定した経営基盤が見て取れます。健全な財務内容と言えるでしょう。

【企業概要】
社名: 株式会社スミノエ インテリア プロダクツ
設立: 1998年
株主: SUMINOE GROUP
事業内容: スミノエグループの企画・販売を担う中核企業。カーテン、カーペット、ラグ、床材など各種インテリア製品を、オフィス等のコントラクト市場から一般家庭まで幅広く提供。特に、水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS®」を強みとする。

suminoe.jp


【事業構造の徹底解剖】
株式会社スミノエ インテリア プロダクツの事業は、親会社であるSUMINOE株式会社を中心としたグループの製造能力を背景に、市場のニーズを捉えた製品の企画と販売に特化しています。

コントラクト事業
オフィスビル、ホテル、医療・福祉施設、教育施設などを対象とした法人向け事業です。この市場で圧倒的な強みを発揮しているのが、水平循環型リサイクルタイルカーペット「ECOS®(エコス)」です。使用済みのタイルカーペットを回収し、再びタイルカーペットとして再生するこの製品は、国内最高水準の再生材比率を誇り、多くの環境認証を取得。ESG経営を重視する企業のニーズを的確に捉え、事業の大きな柱となっています。

✔ホームユース事業
一般家庭向けのインテリア製品も幅広く展開しています。オーダーカーテンの「mode S」や「U Life」、デザイン性の高いラグマット「HOME® RUG MAT」など、多様なブランドを通じて、個々のライフスタイルに合わせた快適な空間づくりを提案しています。

✔企画・販売に特化した機能会社
同社は、スミノエグループ内で製品の企画・販売という重要な役割を担っています。製造はグループ内の専門会社(住江テクノ株式会社など)が手掛けることで、グループ全体として開発から製造、販売までの一貫体制を構築。同社は市場動向やデザイントレンドの分析、顧客との関係構築に集中することで、グループ全体の競争力を高めています。


【財務状況等から見る経営戦略】
2億円を超える利益を生み出す安定した経営の背景を探ります。

✔外部環境
法人市場では、企業のSDGsやESGへの取り組みが加速しており、環境配慮型建材の需要は非常に高まっています。これは「ECOS®」ブランドを持つ同社にとって強力な追い風です。また、働き方の多様化に伴うオフィスのリノベーション需要や、既存ビルの老朽化対策も安定した事業機会となっています。一方、個人消費景気動向に左右されやすく、原材料価格の高騰も収益を圧迫する要因です。

✔内部環境
ECOS®」という環境配慮分野における絶対的なブランド力が、価格競争において優位性を保ち、高い収益性を維持する源泉となっています。また、140年以上の歴史を持つスミノエグループとしての総合力と信頼性は、大規模プロジェクトや官公庁案件の受注において大きな強みとなります。

✔安全性分析
貸借対照表を見ると、総資産約105億円という大きな事業規模がわかります。純資産は約29億円で、自己資本比率は27.7%。これは多額の在庫や売掛金を抱えるメーカー系販社としては健全な水準です。特筆すべきは、資本金3億円に対し、利益剰余金が約25.8億円と、9倍近く積み上がっている点です。これは、長年にわたり安定的に利益を創出し、内部留保してきた証であり、経営の安定性を物語っています。当期も2.3億円の純利益を計上しており、キャッシュフロー創出力も高いと判断できます。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・環境配慮型タイルカーペット「ECOS®」の圧倒的なブランド力と技術優位性
・140年以上の歴史を持つスミノエグループの総合力と社会的信用
コントラクト市場とホームユース市場を両輪とする安定した事業ポートフォリオ
・長年の黒字経営による、潤沢な利益剰余金と強固な財務基盤

弱み (Weaknesses)
・建設・住宅市況など、外部の経済環境の変動を受けやすい
・原材料価格の変動が利益率に影響を与えるリスク

機会 (Opportunities)
・世界的なESG投資の流れと、環境配慮型建材への需要のさらなる拡大
・既存建築物のリノベーション、コンバージョン市場の成長
・健康やウェルネス志向の高まりに応える、高機能インテリア製品の開発

脅威 (Threats)
・国内外の競合メーカーとの価格競争の激化
・国内の人口減少に伴う、新築住宅市場の長期的な縮小
・消費者の低価格志向の強まり


【今後の戦略として想像すること】
環境配慮とデザイン性を両立させながら、さらなる市場開拓を進めていくでしょう。

✔短期的戦略
主力製品である「ECOS®」の環境優位性をさらに訴求し、ESG経営に取り組む企業への導入を加速させます。特に、CO2削減貢献率などを具体的に数値で示すことで、企業の環境報告書などにも貢献できる点をアピールし、付加価値を高めていくことが考えられます。ホームユース事業では、ECサイトの強化やSNSでの情報発信を通じて、若年層など新たな顧客層へのアプローチを強化するでしょう。

✔中長期的戦略
「リサイクル」の技術をさらに深化させ、タイルカーペット以外の製品にも水平循環型のスキームを拡大していく可能性があります。また、抗ウイルスや消臭、アレルギー対策といった、健康・ウェルネスに関する高機能製品の開発に力を入れ、医療・福祉施設など、より専門性が求められる市場でのシェアを拡大していくことが期待されます。


【まとめ】
株式会社スミノエ インテリア プロダクツは、デザイン性や快適性といったインテリア本来の価値に加え、「環境への貢献」という現代社会が求める新たな価値を提供するリーディングカンパニーです。その姿勢は「ECOS®」という画期的な製品を生み出し、2億円を超える純利益と25億円以上の利益剰余金という、盤石な経営基盤を築き上げました。

私たちが日々過ごす空間を、より豊かで、より持続可能なものへ。140年以上の歴史を持つスミノエグループの「ものづくり」の精神を受け継ぎ、同社はこれからも日本のインテリア業界を牽引し続けることでしょう。


【企業情報】
企業名: 株式会社スミノエ インテリア プロダクツ
所在地: 大阪府大阪市西区新町2丁目4番2号
代表者: 村瀬 典久
設立: 1998年12月1日
資本金: 3億円
事業内容: カーペット・カーテン等、各種インテリア製品の企画・販売。

suminoe.jp

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