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#1045 決算分析 : 三共水産株式会社 第86期決算 当期純利益 17百万円


静岡市の食生活を、その流通の心臓部である中央卸売市場から支え続けてきた、三共水産株式会社。戦後間もない1947年の創立以来、生産者と消費者を結ぶ重要な架け橋としての役割を担い、水産大手・日本水産ニッスイ)を主要株主に持つ同社の第86期(2025年3月期)決算が、2025年5月24日付の官報に掲載されました。その堅実な経営状況と、変化する時代の中で「市場の社会的使命」を全うする同社の事業戦略の核心に迫ります。 

20250331_86_三共水産決算

第86期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 1,221百万円 (約12.2億円)

負債合計: 793百万円 (約7.9億円)

純資産合計: 428百万円 (約4.3億円)

当期純利益: 17百万円 (約0.2億円)

 

今回の決算では、当期純利益として17百万円(約0.2億円)を計上。水産資源の変動や消費動向の変化など、厳しい事業環境の中でも着実に利益を確保しており、安定した経営が行われていることがうかがえます。純資産合計は約4.3億円、自己資本比率は35.0%と、日々大きな金額の商品を扱う卸売業として健全な財務基盤を維持しています。

また、資本金9,800万円に対し、利益剰余金が約2.8億円まで積み上がっている点は、75年以上の歴史の中で黒字経営を継続してきた証左です。さらに、純資産の部に「その他有価証券評価差額金」として約5,300万円が計上されており、保有資産に含み益があることも示唆しています。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
三共水産株式会社は、静岡市中央卸売市場の「卸売業者」として、水産物の安定供給という極めて公共性の高い役割を担う企業です。その事業は、日本の生鮮食料品流通の根幹をなすものです。

 

水産物の卸売事業:
同社の事業の核心は、国内外の産地や水産会社、商社から水産物を集荷(仕入れ)し、市場内で「せり(競り)」や相対取引を通じて、仲卸業者や売買参加者(スーパー、小売店、飲食店など)に販売(卸売)することです。これにより、需要と供給に基づいて公正な価格を形成し、多種多様な水産物を静岡の消費者へ安定的に届けるという、卸売市場の中心的機能を果たしています。

 

品質管理への投資:
鮮度が命である水産物を取り扱う上で、品質管理は最重要課題です。同社は、冷マグロや塩干物部門の売場を低温化するなど、コールドチェーンの維持・強化のための設備投資を積極的に行っており、「安心・安全な商品」を流通させるという社会的使命に実直に取り組んでいます。

 

大手水産会社との連携:
水産最大手の一つである日本水産株式会社が主要株主である点も、同社の大きな強みです。これにより、国内外からの商品調達力、最新の業界情報の入手、そして企業としての信用力において、他社にはない優位性を確保しているものと考えられます。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
第86期決算で計上された1,700万円の純利益は、静岡という一大消費地を背景にした、安定的な取引基盤に支えられたものです。卸売業は、莫大な量の物流と商流を滞りなく動かすことで、手数料収入を得るビジネスモデルであり、日々の着実な業務遂行が利益の源泉となります。

 

同社の経営理念は「新鮮な魚介類を市民に安定供給するという中央卸売市場の社会的使命を自覚し、責任と誇りを持って適正なる運営に全力で傾注する」こと。この言葉通り、同社は奇をてらった多角化に走るのではなく、卸売という本業を深化させることに注力してきました。約2.8億円の利益剰余金は、この堅実な経営姿勢の賜物です。

 

しかし、その伝統的な事業モデルも、大きな時代の変化に直面しています。
第一に、社長の言葉にもある「少子高齢化」とそれに伴う国内消費市場の縮小です。胃袋の数が減っていく中で、魚食文化そのものの価値をいかに高め、需要を喚起していくかが問われます。

 

第二に、「流通チャネルの多様化」との競争です。近年、大手スーパーが産地から直接買い付けを行ったり、インターネット通販が普及したりと、卸売市場を介さない「市場外流通」が拡大しています。その中で、多くの品物を一度に比較・評価でき、公正な価格が形成されるという市場流通のメリットを、荷主(生産者)と買手(小売業者など)の双方に示し続ける必要があります。

 

今後の展望として、三共水産は、卸売業者としての「目利き」と「情報力」にさらに磨きをかけていくでしょう。単に商品を右から左へ流すのではなく、どの産地で今何が獲れているのか、どのような食べ方が消費者に受けているのか、といった付加価値の高い情報を取引先に提供することで、その存在価値を高めていくことが考えられます。


また、主要株主である日本水産との連携をさらに強化し、国内外の新たな産地を開拓したり、ニッスイが持つ加工食品のノウハウを活かした新たな商品を市場に提案したりといった、グループシナジーの追求も期待されます。

 

「お客様、荷主様との信頼関係を大切にし、感謝・感動される商品及び情報を提供する」。75年以上にわたり静岡の食卓を支えてきた誇りを胸に、三共水産は、これからも卸売市場の中核として、その重要な社会的使命を果たし続けることでしょう。

 

企業情報
企業名: 三共水産株式会社

本社所在地: 静岡県静岡市葵区流通センター1番1号(静岡市中央卸売市場)

代表者: 代表取締役社長 杉田 安隆

事業内容: 静岡市中央卸売市場における水産物の卸売会社。農林水産大臣の許可を受け、国内外から集荷した水産物を、市場内にて仲卸業者や売買参加者へ販売。主要株主に日本水産株式会社を持つ。

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