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#919 決算分析 : 株式会社DAY TO LIFE ホールディングス 第19期決算 当期純利益 ▲2百万円

黄色い看板と、店内で焼き上げるサクサクの生地、そしてたっぷり詰まったクリーム。シュークリーム専門店「ビアードパパ」を世界に展開し、2023年9月には「株式会社麦の穂」から「株式会社DAY TO LIFE」へと社名を変更、新たなビジョンを掲げた同社グループの持株会社、株式会社DAY TO LIFE ホールディングス。その第19期(2025年2月期)決算公告が、2025年6月17日付の官報に掲載されました。本記事では、その決算内容を分析するとともに、日本のスイーツブランドから、世界の人々の「よりよく生きる」を支える企業へと進化を目指す、同社の壮大な挑戦に迫ります。 

20250228_19_DAY TO LIFEホールディングス決算

第19期 決算のポイント(単位:億円)
資産合計: 31.4億円
負債合計: 0.8億円
純資産合計: 30.6億円
当期純損失: 0.02億円


今回の決算は持株会社単体のものであり、グループ全体の収益性を直接示すものではありませんが、その財務内容は注目に値します。総資産31.4億円に対し、純資産が30.6億円と自己資本比率は約97%に達しており、極めて強固で盤石な財務基盤を誇ります。23.5億円という巨額の資本準備金は、親会社である永谷園ホールディングスグループの一員として、グローバルな事業展開を支える強力な資本政策が実行されていることを示しています。固定資産が30.6億円と資産の大部分を占めており、これは国内外の子会社株式などへの投資を反映していると考えられます。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
株式会社DAY TO LIFEは、1997年に「株式会社麦の穂」として創業して以来、日本のスイーツ業界に大きな足跡を残してきました。その事業は、強力な基幹ブランドを軸に、多角化グローバル化を両輪で進めています。

 

シュークリーム専門店「ビアードパパ」のグローバル展開:

“できたて・作りたて”を実演販売するユニークなスタイルで、1999年の創業以来、絶大な人気を誇る基幹事業。その普遍的なおいしさは国境を越え、香港、台湾、アメリカ、タイ、ベトナムなど、世界10以上の国と地域で愛されるグローバルブランドへと成長しています。


マルチブランド戦略による多角化:

ビアードパパ」で培ったノウハウを活かし、フランス菓子「ココフラン」、京都・祇園発のきな粉スイーツ「吉祥菓寮」、生仕立てわらび餅「きなこととろり」、そして2024年にオープンした焼きたてリエージュワッフル専門店「BEL BUTTER WAFFLE」など、多様なスイーツブランドを開発・運営。様々な顧客ニーズに応えています。


M&Aによる事業領域の拡大:

シンガポールの老舗洋菓子店「リヴ・ゴーシュ・パティスリー」の事業譲受など、M&Aも積極的に活用し、海外での事業基盤とブランドポートフォリオを強化しています。


【財務状況と今後の展望】
持株会社である同社の決算がわずかな純損失となった背景には、2023年9月の「株式会社麦の穂」から「株式会社DAY TO LIFE」への社名変更と、それに伴う企業理念の刷新という、未来に向けた大きなブランディング投資の影響が考えられます。

 

「DAY TO LIFE」という社名は、「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」という禅の言葉から着想を得ています。これは、同社が目指す姿が、単なるスイーツ販売会社ではなく、「スイーツがもたらす豊かな日常の積み重ねが、良い人生へ繋がる」という、より高い視座にあることを示しています。この新たなビジョン「スイーツから、『よりよく生きる』を世界へ。」を社内外に浸透させるための先行投資が、今期の財務数値に反映されていると見ることができます。

 

この理念を支えるのが、「ビアードパパ」という、国境を越えて愛される強力なグローバルブランドです。サクサクの生地と、とろりとしたクリーム、そして店内で焼き上げる“できたて・作りたて”という普遍的な価値は、世界中の人々を魅了し続けています。この強固な基幹事業があるからこそ、新たな理念を掲げ、次のステージへと挑戦できるのです。また、2013年より永谷園ホールディングスグループの一員であることも、食品メーカーとしての品質管理ノウハウや、安定した経営基盤の面で、大きな強みとなっています。

 

今後の課題は、「ビアードパパ」に次ぐ、第二、第三の強力なブランドをいかにして育成していくかです。「吉祥菓寮」や「BEL BUTTER WAFFLE」といった新業態を軌道に乗せ、国内外で多店舗展開できるブランドへと成長させることが、企業のさらなる飛躍には不可欠です。

 

そして、社名と理念を刷新した今、その効果を具体的な事業成果として示していくことが、当面の重要なマイルストーンとなります。「スイーツから、『よりよく生きる』を世界へ。」という新しいビジョンが、新業態の開発やグローバル展開、M&A戦略、そして従業員の働きがいといった、あらゆる企業活動にどのように結実していくのかが注目されます。

 

株式会社DAY TO LIFEが目指すのは、「ビアードパパ」という単一ブランドの会社から、多様なブランドを通じて世界中の人々の人生を豊かにする「グローバル・スイーツ・プラットフォーマー」への進化です。これからも一つひとつのスイーツを通じて、世界中に「よりよく生きる」ための小さな感動と幸せを届け続ける企業であることが期待されます。

 

企業情報
企業名: 株式会社DAY TO LIFE ホールディングス
所在地: 大阪市北区西天満3丁目13番20号
代表者: 代表取締役 杉内 健吉
事業内容: 永谷園ホールディングスグループ傘下で、シュークリーム専門店「ビアードパパ」を中核に、多様なスイーツブランドをグローバルに展開する。2023年9月に「株式会社麦の穂」から社名変更。

www.daytolife.co.jp

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