人口減少、高齢化、産業の空洞化――。日本の多くの地域が直面する、複雑で根深い課題。これらの課題に対し、NTT西日本グループの総合力を背景に、「共創」と「データ活用」を武器に挑む専門家集団が、株式会社地域創生Coデザイン研究所です。2021年7月に設立された同社の第4期(2025年3月期)決算公告が、2025年6月17日付の官報に掲載されました。本記事では、その決算内容を分析し、日本の未来をデザインする、新しい形のシンクタンク兼実践部隊の姿に迫ります。 ![]()

第4期 決算のポイント(単位:億円)
資産合計: 8.9億円
負債合計: 3.7億円
純資産合計: 5.3億円
当期純利益: 1.3億円
設立4期目にして、当期純利益1.3億円という高い収益を確保しました。総資産8.9億円に対し、純資産が5.3億円と自己資本比率は約60%に達しており、安定した財務基盤を早々に構築しています。設立当初からの資本金・資本剰余金4億円に加え、すでに1.3億円の利益剰余金を計上しており、事業が順調に軌道に乗っていることが明確にうかがえます。
事業内容と今後の展望(考察)
【事業内容の概要】
株式会社地域創生Coデザイン研究所は、NTT西日本の100%子会社として、地域課題の解決を専門とする、シンクタンク機能とコンサルティング機能を併せ持ったユニークな企業です。そのアプローチは、従来のコンサルティングとは一線を画します。
スマートシティ、観光振興、GX(グリーントランスフォーメーション)、障がい者雇用など、地域が抱える多様なテーマに対し、課題の「探索」から、解決策の「構想」「企画」、そして具体的な「社会実装」と効果測定までを、ワンストップで伴走支援します。
データドリブンなアプローチ(EBPMの実践):
NTTグループが持つ人流データなどのビッグデータや、住民の幸福感を測る独自のWell-being指標(LWC指標)などを活用。客観的なデータ(証拠)に基づいて政策を立案・評価する「EBPM(Evidence-Based Policy Making)」を実践し、実効性の高い課題解決を目指します。
「共創」を生み出すリビングラボの推進:
同社の社名にもある「Coデザイン(共同設計)」を象徴する取り組みが、リビングラボの推進です。地域の住民、企業、行政、大学といった多様なプレイヤーを対話の場に巻き込み、共に地域の未来を構想する。テクノロジーの導入自体を目的とするのではなく、地域の人々が主体となる、持続可能な仕組みづくりを何よりも重視しています。
【財務状況と今後の展望】
設立からわずか4期で、1.3億円という高い純利益を確保できた背景には、全国の自治体や企業が、人口減少や高齢化といった待ったなしの地域課題に対し、本質的な解決策を提示できる専門的パートナーを強く求めている現状があります。特に、NTT西日本グループが持つICT技術やデータ分析能力、そして全国の自治体との長年の信頼関係への期待は大きく、スマートシティ構想の策定支援や、データに基づいた観光戦略の立案といった具体的なプロジェクトが、収益を力強く牽引していると推察されます。
同社の事業は、日本の多くの地域が直面する持続可能性の危機に対し、「共創」というアプローチで希望の処方箋を描く、極めて社会的意義の大きいものです。テクノロジーを、一部の専門家や行政のためだけでなく、本当にそれを必要とする住民一人ひとりの暮らしやすさ(Well-being)の向上のために活用しようという姿勢は、これからの社会に不可欠な視点です。
この事業における最大の強みは、親会社であるNTT西日本が持つ、巨大なアセットと社会的な信頼です。全国に張り巡らされた通信インフラ、膨大なデータ、そして各地域の自治体や企業と長年かけて築き上げてきた深いリレーションシップ。これらを最大限に活用できることは、他のコンサルティングファームにはない、絶対的な競争優位性となります。
今後の成長戦略としては、熊本の「マチノガッコウ」のような、具体的な成功事例を数多く創出し、そのノウハウを他の地域へ横展開していくことが重要です。一つの地域での成功モデルが、他の地域の希望となり、新たなプロジェクトに繋がるという好循環を生み出すことが、事業をスケールさせる鍵となります。
また、データ活用やリビングラボ運営といった専門分野において、単にサービスを提供するだけでなく、地域の行政職員や企業人を育成していく「リスキリング」支援も、真に持続可能な地域づくりには不可欠です。同社はすでに人材育成メニューも提供しており、この分野のさらなる強化が期待されます。
株式会社地域創生Coデザイン研究所が目指すのは、「日本の地域課題解決における、No.1の価値共創パートナー」です。NTT西日本グループの技術力と、地域に深く寄り添う「共創」の精神を融合させ、日本中の地域がそれぞれの個性を活かして輝く、真の「多極集中型社会」の実現に貢献する。その壮大なミッションに向け、同社はすでに力強い一歩を踏み出しています。
企業情報
企業名: 株式会社地域創生Coデザイン研究所
所在地: 大阪府大阪市都島区東野田町4-15-82 NTT WEST i-CAMPUS
代表者: 代表取締役所長 木上 秀則
事業内容: NTT西日本の100%子会社。データとテクノロジー、そして住民や企業との「共創」を軸に、スマートシティ、観光、GXなど、多様な分野で地域課題解決のコンサルティングから社会実装までを一気通貫で支援する。