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#684 決算分析 : モデラート株式会社 第10期決算 当期純利益 25百万円


「心地よく社会とつながる器を育む」をフィロソフィーに掲げ、D2Cアパレルブランド「SOÉJU(ソージュ)」などを展開するモデラート株式会社の第10期(2024年8月期)の決算公告が、令和6年12月19日付の官報に掲載されました。同社の、顧客に深く寄り添う独自のビジネスモデルと今後の成長戦略に迫ります。

20240831_10_モデラート決算

第10期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 1,453 (約14.5億円)
負債合計: 1,185 (約11.9億円)
純資産合計: 268 (約2.7億円)
当期純利益: 25 (約0.3億円)


今回の決算では当期純利益として25百万円(約0.3億円)を計上し、利益剰余金が92百万円まで積み上がっていることから、持続可能な収益基盤が確立されつつあることが示されたと考えます。

 

純資産は約2.7億円を確保。これまでのANRI、ポーラ・オルビスHD、ジンズHDといったベンチャーキャピタルや大手事業会社からの出資金(資本金・資本剰余金合計で約1.8億円)を元手に、事業を成長軌道に乗せたことがうかがえます。

 

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
モデラート株式会社は、代表取締役である市原明日香氏自身の「家族の事情で仕事から離れ、社会復帰する際に服装に戸惑った」という原体験から生まれた企業です。その事業は、ライフステージの変化に直面する女性たちの悩みに、誠実に寄り添うことで成り立っています。

 

D2Cブランド「SOÉJU(ソージュ)」とパーソナルスタイリングの相乗効果:

同社の中核をなすのは、オンラインを主軸とするD2Cアパレルブランド「SOÉJU」です。トレンドを追うのではなく、「目的」から考えた上質でベーシックな定番アイテムを提供。しかし同社の真の強みは、単なるECサイトに留まらない点にあります。プロのスタイリストが対面やオンラインでカウンセリングを行う「SOÉJU personal」サービスや、代官山のサロン、全国の百貨店でのポップアップストアを展開。このオンラインとリアルを融合させたOMO(Online Merges with Offline)戦略により、顧客は「ネットで服を買う不安」を解消し、プロのアドバイスを受けながら自分に似合うスタイルを発見できます。この深い顧客体験が、高い満足度とブランドへの信頼を育んでいます。

 

ブランド哲学の拡張 ― ビューティブランド「TOERI」:

アパレルで培った「大人の悩みに寄り添い、ロジックに基づく確かな品質を提供する」という哲学を、ビューティ領域にも拡張したのが「TOERI」です。「時間を味方につけるコスメ」をコンセプトに、ファッションとビューティの両面から、大人の女性の自己表現をトータルでサポートする戦略を描いています。

 

「Moderato」という価値観:

社名は音楽用語の「Moderato(中くらいの速さで)」に由来します。ライフステージに合わせて働き方のリズムを変えてもいい、という考えは、同社の製品哲学だけでなく、組織文化にも貫かれており、顧客や従業員への深い共感を呼ぶ源泉となっています。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
設立10期目での黒字化達成は、同社のビジネスモデルが市場に確固たる地位を築いたことの証です。オンライン・スタイリングサービスからスタートし、顧客の声をもとにオリジナルブランド「SOÉJU」を立ち上げたという、徹底した顧客起点の事業展開が、持続可能な成長へと繋がりました。

 

市場環境と機会:

 

D2C市場の成熟と本物志向

一時期のブームが過ぎ、D2C市場では真に顧客価値を提供できるブランドだけが生き残る時代になっています。明確な哲学と、顧客との深い関係性を築いている同社は、この環境下でこそ競争優位性を発揮します。


サステナブルな消費意識

流行り廃りのない上質な定番品を提案する「SOÉJU」のコンセプトは、一つの服を大切に長く着続けたいという、サステナブルな消費者の価値観とも強く共鳴します。


課題とリスク:

 

規模拡大と顧客体験の維持

今後、事業規模が拡大していく中で、これまで強みとしてきた一人ひとりに寄り添うパーソナルな顧客体験の質を、いかに維持・向上させていくかが重要な課題となります。


競争環境

大人の女性をターゲットにしたアパレルブランドは多数存在します。同社が持つ「スタイリングサービスとの連携」という独自のポジションを守り、さらに進化させていくことが求められます。


黒字化を達成し、安定した経営基盤を確立したことで、モデラートは次なる成長フェーズへと進む準備が整いました。Webサイトで言及されている「海外展開」や、ミッションに掲げる「『装い』以外の領域での自己表現の方法や場づくり」といった新規事業への挑戦が、今後の成長ドライバーとして期待されます。

 

「誰もが心地よく社会とつながれる世界」を目指すモデラートの挑戦は、これからも多くの女性たちに支持され、着実に成長を続けていくことでしょう。

 

企業情報
企業名: モデラート株式会社
所在地: 東京都渋谷区渋谷2-1-12 VORT AOYAMAⅡ 3F
代表者: 代表取締役 市原 明日香
事業内容: D2Cアパレルブランド「SOÉJU」、パーソナルスタイリングサービス「SOÉJU personal」、ビューティブランド「TOERI」の企画・運営。

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