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#11062 決算分析 : 株式会社ムジャキフーズ 第29期決算 当期純利益 5百万円


「情熱と腕だけで駅前開業できる」。そんなキャッチコピーで飲食業界に旋風を巻き起こした企業をご存知でしょうか。株式会社ムジャキフーズは、独自の業務委託システム「トラスト方式」を武器に、資金や経営ノウハウを持たない料理人の独立を支援し、数々の繁盛店を世に送り出してきました。
一等地の物件確保から内装、設備までを同社が用意し、店長は調理と接客に専念する。この画期的なモデルは、2018年に「日本サービス大賞 農林水産大臣賞」を受賞するなど高く評価されています。
2026年現在、外食産業を取り巻く環境は依然として厳しさを増していますが、同社はその独自モデルの強みを発揮し、第29期決算においてもしっかりと黒字を確保しました。今回は、変化に強い経営体質を見せた同社の決算を読み解き、その安定性の秘密と今後の成長戦略について分析していきます。

ムジャキフーズ決算


【決算ハイライト(第29期)】

資産合計 4,915百万円 (約49億円)
負債合計 3,261百万円 (約33億円)
純資産合計 1,654百万円 (約17億円)
当期純利益 5百万円 (約0.05億円)
自己資本比率 約33.7%


【ひとこと】
原材料費や光熱費の高騰という逆風の中でも、約500万円の当期純利益を確保し、黒字経営を維持しています。利益剰余金が約14.5億円と潤沢に積み上がっており、過去の利益蓄積が厚いため、財務の安全性は非常に高いと言えます。


【企業概要】
企業名: 株式会社ムジャキフーズ
設立: 1997年3月25日
事業内容: 飲食店の経営、業務委託による店舗展開、トラスト方式コンサルティング

www.mujaki-foods.com


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、独自の「トラスト方式」を核とした店舗展開システムに集約されます。

✔トラスト方式(業務委託店舗展開)
ムジャキフーズが「一等地(資金力)」と「商人(経営力)」を提供し、独立希望者が「職人(技術力)」を提供するコラボレーションモデルです。店舗物件の取得や内装工事などのイニシャルコストは同社が負担し、店長(業務委託者)は保証金等の負担なく一等地で開業できます。その対価として、売上に応じたロイヤリティや家賃を同社に支払う仕組みです。

✔直営店運営・業態開発
ラーメン、鮨、洋食、居酒屋など多岐にわたる業態を開発・運営しています。2026年1月時点で63店舗を展開しており、渋谷や自由が丘などの繁華街にドミナント出店しているのが特徴です。これらの店舗で培ったノウハウが、トラスト方式の加盟店支援に活かされています。

✔不動産開発・コンサルティング
「一等地物件開発」を専門に行う部署を持ち、個人では契約困難な好立地物件を確保しています。また、飲食店の運営受託や、既存店主向けのコミュニティサイト「店タク」の運営など、飲食業界全体を支援するプラットフォームとしての機能も強化しています。


【財務状況等から見る経営環境】
第29期決算(2025年5月期)の数値を基に、同社の経営環境を分析します。

✔外部環境
外食需要は回復基調にありますが、食材費や光熱費の高騰、人件費の上昇が利益を圧迫する構造的な課題があります。特に、一等地に店舗を構える同社にとって、地代家賃の上昇圧力は無視できません。しかし、インバウンド需要の増加は、駅前立地に強い同社にとって追い風となっています。

✔内部環境
当期純利益500万円の黒字計上は、厳しいコスト環境下でも、不採算店舗の見直しやオペレーションの効率化によって利益を捻出した結果と評価できます。BS(貸借対照表)を見ると、固定資産が約37億円と総資産の大半を占めており、これは一等地の店舗取得や内装設備への投資が資産価値として積み上がっていることを示しています。
一方、負債の部では固定負債が約22億円あり、長期借入金等で設備投資を賄っていることが分かります。流動資産は約12億円あり、当面の運転資金には十分な余裕があります。

✔安全性分析
自己資本比率は33.7%と、設備投資型のビジネスモデルとしては標準的かつ健全な水準です。特筆すべきは利益剰余金が約14.5億円蓄積されている点です。これは創業以来の黒字経営の賜物であり、多少の環境変化やコスト増があっても経営が揺らぐことのない、盤石な財務体質を築いています。


【SWOT分析で見る事業環境】
✔強み (Strengths)
「トラスト方式」という独自のビジネスモデルと、渋谷・自由が丘を中心とした一等地の店舗網です。初期投資ゼロで独立できる仕組みは、資金力のない料理人にとって強力な誘引力となります。また、多業態を展開しているため、流行り廃りのリスクを分散できるポートフォリオ経営が可能です。

✔弱み (Weaknesses)
店長(業務委託者)の属人性が高い点です。店舗の売上は店長の腕とモチベーションに大きく依存するため、人材の質にばらつきが出ると業績が不安定になります。また、固定費(家賃)が高い一等地戦略は、客足が落ちた際の損益分岐点が高くなるリスクを孕んでいます。

✔機会 (Opportunities)
インバウンド需要の取り込みと、事業承継ニーズです。一等地の路面店は外国人観光客への訴求力が高く、高単価メニューの提供が可能です。また、後継者不足に悩む個人飲食店の店舗を「店タク」などを通じて引き継ぎ、トラスト方式で再生させるチャンスがあります。

✔脅威 (Threats)
金利上昇と人材不足です。多額の借入金を持つ同社にとって、金利上昇は支払利息の増加に直結します。また、飲食業界全体の人手不足により、優秀な店長候補や店舗スタッフの確保競争が激化しています。


【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
黒字基調を維持しつつ、利益率のさらなる改善を目指すでしょう。具体的には、インバウンド向けの高付加価値メニューの開発や、DXによる店舗運営の効率化です。また、店長候補のリクルーティングを強化し、稼働率を高めることで、一等地のポテンシャルを最大化します。

✔中長期的戦略
3〜5年先を見据えると、「飲食プラットフォーマー」への進化が鍵となります。店舗運営だけでなく、食材の共同購買やDXツールの導入支援など、加盟店への提供価値を広げることで、ロイヤリティ以外の収益源を育成する可能性があります。また、地方都市の駅前再開発エリアなど、首都圏以外の「一等地」への進出も検討されるかもしれません。


【まとめ】
株式会社ムジャキフーズの第29期決算は、変化の激しい飲食業界においてもしっかりと黒字を出す「稼ぐ力」を証明しました。
「人と人との和」を企業理念に掲げる同社にとって、最大の資産は「人」です。トラスト方式という発明を武器に、熱い情熱を持った料理人たちと共に、これからも「感動」を生み出す繁盛店を創出し続けることでしょう。


【企業情報】
企業名: 株式会社ムジャキフーズ
所在地: 東京都渋谷区恵比寿四丁目20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー16階
代表者: 代表取締役 田代 俊朗
設立: 1997年3月25日
資本金: 100,000千円
事業内容: 飲食店の経営、店舗展開コンサルティング等

www.mujaki-foods.com

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