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#10552 決算分析 : KRH株式会社 第37期決算 当期純利益 386百万円


私たちが普段目にする建設現場。新しいビルが立ち上がる時も、歴史ある建物を改修する時も、その周囲には必ずと言っていいほど「足場」が存在します。職人たちの命を守り、作業効率を左右するこの仮設機材において、業界の常識を覆し、「次世代足場」のパイオニアとして躍進する企業があります。
今回は、くさび式足場の製造・販売・レンタルから施工までをワンストップで手掛け、建設業界の「安全」と「効率」を足元から支える「KRH株式会社」の第37期決算を読み解き、その強固な財務基盤と成長戦略に迫ります。

KRH決算


【決算ハイライト(第37期)】

資産合計 6,993百万円 (約69.9億円)
負債合計 3,589百万円 (約35.9億円)
純資産合計 3,405百万円 (約34.1億円)
当期純利益 386百万円 (約3.9億円)
自己資本比率 約48.7%


【ひとこと】
総資産約70億円に対し、自己資本比率は約48.7%と非常に高い水準を維持しています。利益剰余金も約32.8億円積み上がっており、過去からの収益蓄積が厚いことがわかります。当期純利益もしっかりと確保しており、財務の健全性と収益性のバランスが取れた優良企業と言えるでしょう。


【企業概要】
企業名: KRH株式会社
設立: 1987年(昭和62年)
株主: KRHホールディングス株式会社
事業内容: 仮設機材の製造・販売・レンタル・施工、CAD制作

krh.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は「仮設機材の総合ソリューション」に集約されます。これは、建設会社や工務店に対し、足場というハードウェアだけでなく、安全で効率的な作業環境という価値を提供するビジネスです。具体的には、以下の主要部門で構成されています。

✔足場販売・レンタル事業
同社の代名詞とも言える「くさび式足場」を中心とした機材の販売およびレンタルを行っています。特に次世代足場と呼ばれる高機能な機材を保有し、顧客の現場ニーズに合わせて最適な調達方法(購入またはレンタル)を提案できる柔軟性が強みです。

✔仮設工事事業
機材を貸すだけでなく、自社の技術者(足場架払技術者)による施工までを請け負っています。全国に広がるネットワークを活かし、大規模な建築現場からリフォーム現場まで、スピーディーかつ安全に足場を組み上げる「施工力」がビジネスの根幹を支えています。

✔CAD・設計事業
複雑化する建築物に対応するため、3D-CADを用いた足場の設計・計画作成を行っています。施工前に安全面や効率性をシミュレーションすることで、現場での手戻りを防ぎ、工期短縮に貢献する高付加価値サービスです。


【財務状況等から見る経営環境】
今回の決算数値から、同社が置かれている市場環境と、それに対する経営の打ち手を分析します。

✔外部環境
建設業界は、都市再開発や老朽インフラの更新需要により底堅い推移を見せていますが、一方で深刻な人手不足と資材価格の高騰という課題に直面しています。このため、現場では「省人化」「工期短縮」を実現できる高機能な足場へのニーズがかつてないほど高まっています。

✔内部環境
貸借対照表を見ると、流動資産が約51.4億円と総資産の7割以上を占めています。これは、足場機材の一部を「たな卸資産(在庫)」として保有しているほか、手元資金や売掛金が潤沢であることを示唆しています。機材レンタル業は通常、固定資産が大きくなりがちですが、同社は販売と施工もバランスよく手掛けているため、資産の回転率が良い高効率な経営ができていると推測されます。

✔安全性分析
自己資本比率48.7%は、設備投資が必要な業界としては極めて優秀な数値です。流動負債(約32.5億円)に対し、流動資産(約51.4億円)が大きく上回っているため、短期的な支払い能力は万全です。無借金経営か、あるいは借入金があっても十分に返済可能な範囲内であり、不況時でも揺るがない強固な財務体質を築いています。


SWOT分析で見る事業環境】
同社についてここまで見てきた内容を、SWOT分析にまとめて整理をします。
✔強み (Strengths)
「くさび式足場」のパイオニアとしてのブランド力と技術力。製造から施工までを一貫して行うことによるコスト競争力と品質管理能力。そして、全国主要都市を網羅する支店ネットワークと、約250名の技術者を擁する施工体制が他社にはない強みです。

✔弱み (Weaknesses)
建設市場の景気動向に業績が左右されやすい点です。また、独自規格の製品を展開している場合、他社製品との互換性が顧客にとってスイッチングコスト(切り替えの障壁)になる一方で、普及の足かせになる可能性もあります。

✔機会 (Opportunities)
働き方改革」の推進による、現場の安全性・効率性向上への投資意欲の増大。また、マンションやビルの大規模修繕工事の増加に伴う、改修用足場の需要拡大は大きなチャンスです。海外市場への展開も潜在的な機会となり得ます。

✔脅威 (Threats)
鋼材価格の上昇による製造コストの増加。建設現場における職人の高齢化と減少は、施工部隊の維持拡大にとって長期的なリスク要因です。


【今後の戦略として想像すること】
盤石な財務基盤をテコに、さらなるシェア拡大と高付加価値化を進めると予想されます。

✔短期的戦略
都市部での再開発ラッシュに対応するため、機材センターの拡充や物流網の効率化を進めるでしょう。また、CADデータを活用したプレゼンテーション提案を強化し、大手ゼネコンからの受注比率を高める戦略が考えられます。

✔中長期的戦略
「建設テック」への投資です。足場の部材管理にIoTを導入したり、施工現場でのロボット活用を研究するなど、テクノロジーによる省人化を推進するものと考えます。また、M&Aによる地方エリアの補完や、関連事業(仮設トイレや保安用品など)への多角化により、現場全体の総合プロデュース企業へと進化していく未来が描けます。


【まとめ】
KRH株式会社は、単なる足場屋さんではありません。建設現場の「生産性」と「安全」をデザインする、業界のフロントランナーです。約70億円の資産と厚い自己資本は、これまでの信頼の証であり、次なる挑戦への原資でもあります。「先駆者だから、できる。」というスローガンの通り、これからも建設業界の足元を力強く支え続けてくれることが期待されます。


【企業情報】
企業名: KRH株式会社
所在地: 岐阜県安八郡輪之内町中郷新田2544-2(本店)
代表者: 坂田 史明
設立: 1987年(昭和62年)10月
資本金: 30百万円
事業内容: 仮設機材の製造、販売、レンタル、施工、CAD制作

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