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#5771 決算分析 : 株式会社千葉マリンスタジアム 第36期決算 当期純利益 39百万円


千葉ロッテマリーンズの本拠地であり、数々の伝説的なライブ会場としても知られる「ZOZOマリンスタジアム」。海風が名物のこの球場を管理・運営しているのが、株式会社千葉マリンスタジアムです。1989年に千葉市を中心とする地元企業群の出資(第三セクター)で設立された同社は、単なる「球場の大家さん」に留まりません。近年では、そのノウハウを活かして千葉市内のコミュニティセンターや、「フクダ電子アリーナ」を含む蘇我スポーツ公園の指定管理者事業も手掛けるなど、千葉市地域活性化とスポーツ振興を担う重要な存在となっています。

今回は、この「千葉市の顔」とも言える施設群を運営する同社の第36期決算を読み解き、その強固な財務基盤と、指定管理者事業へと多角化するビジネスモデルに迫ります。

千葉マリンスタジアム決算

【決算ハイライト(第36期)】
資産合計: 862百万円 (約8.6億円) 
負債合計: 371百万円 (約3.7億円) 
純資産合計: 491百万円 (約4.9億円) 

当期純利益: 39百万円 (約0.4億円) 
自己資本比率: 約56.9% 
利益剰余金: 261百万円 (約2.6億円)

【ひとこと】
まず注目すべきは、純資産が約4.9億円、自己資本比率も約56.9%という極めて健全な財務基盤です。資本金2.3億円に対し、利益剰余金も約2.6億円と堅実に積み上がっています。当期も39百万円の純利益を確保しており、中核のスタジアム事業に加え、指定管理者事業が安定収益源として機能している様子がうかがえます。

【企業概要】
企業名: 株式会社千葉マリンスタジアム 
設立: 1989年5月19日 
株主: 千葉市、株式会社マイスターエンジニアリング、株式会社千葉銀行JFEスチール株式会社、京成電鉄株式会社、東日本旅客鉄道株式会社 他 
事業内容: ZOZOマリンスタジアム等の施設賃貸・保守管理、指定管理者としてのコミュニティセンター及び蘇我スポーツ公園の運営

www.marinestadium.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、千葉市からの受託事業を中核とする、極めて安定性の高い3つの柱で構成されています。

✔スタジアム管理事業(基幹事業) 
同社の設立目的であり、中核をなす事業です。千葉ロッテマリーンズの本拠地である「ZOZOマリンスタジアム」及び「千葉ロッテマリーンズ屋内練習場」の管理・運営を行います。 主な収益源は、球団(千葉ロッテマリーンズ)からの施設賃貸料や、球場内の広告看板料、球場内売店(飲食・物販)からの収入、そして草野球など一般利用者への施設貸出料です。プロ野球や大規模イベント(コンサート等)という確実な需要を基盤とし、施設の保守管理、清掃、警備までを一貫して担うことで、安定した収益を生み出しています。

✔コミュニティ事業(指定管理者) 
2021年(令和3年)4月から開始した、千葉市内の4つのコミュニティセンター(高洲、真砂、鎌取、都賀)の指定管理者事業です。これは、スタジアム運営で培った「公共施設の管理運営ノウハウ」を、より地域に密着した市民サービスへと横展開したものです。市民のサークル活動や生涯学習の場を提供し、地域コミュニティの活性化に貢献することで、千葉市から安定した管理運営委託料を得ています。

蘇我スポーツ公園事業(指定管理者) 
2020年(令和2年)4月より、SSP UNITED(共同事業体)の代表企業として参画している、千葉市蘇我スポーツ公園の指定管理者事業です。この公園には、Jリーグジェフユナイテッド市原・千葉のホームスタジアムである「フクダ電子アリーナフクアリ)」をはじめ、多目的広場、テニスコート、野球場、スケートパークまで含まれます。 同社は、野球場(ZOZOマリン)だけでなく、サッカースタジアム(フクアリ)という、異なるタイプの大型スポーツ施設群の管理運営まで手掛けることで、千葉市の「スポーツ振興」における中核的な役割を担っています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境 
同社の事業は、千葉市の政策と千葉市民の活動、そしてプロスポーツチーム(千葉ロッテマリーンズジェフユナイテッド市原・千葉)の動向に密接に連動しています。 コロナ禍が明けた2023年度(2024年3月期)以降、プロ野球Jリーグの観客動員数はV字回復し、コンサートなどの大規模イベントも本格的に再開されました。これにより、スタジアムの賃料収入や物販・飲食収入は大幅に改善しました。 また、行政の財政効率化の流れを受け、「指定管理者制度」は全国的に定着しており、同社のような実績ある第三セクター企業への公共施設(スポーツ施設、コミュニティ施設)の運営委託ニーズは、引き続き堅調です。

✔内部環境(収益性) 
第36期決算(2025年3月期)において、39百万円の純利益を確保しています。これは、前述のスタジアム事業の好調さに加え、指定管理者として運営するコミュニティ事業、蘇我スポーツ公園事業が、安定した委託料収益として経営の基盤を支えている結果です。 「スタジアム」という天候やイベント興行に左右されやすい(=変動しやすい)収益源と、「コミュニティセンター」「都市公園」という年間を通じて安定した(=固定的な)収益源の2つを併せ持つ「ハイブリッド型」の事業ポートフォリオを構築し、経営の安定性を高めています。

✔安全性分析 
BS(貸借対照表)は、同社の「堅実経営」を如実に物語っています。 総資産約8.6億円に対し、純資産が約4.9億円。自己資本比率は約56.9%と、極めて高い水準です。これは、外部からの借入に過度に依存せず、自己資本で安定的に経営されている証拠です。

純資産の中身を見ると、資本金2.3億円に対し、利益剰余金が約2.6億円と、設立以来36年間で着実に利益を蓄積してきたことがわかります。この潤沢な内部留保が、スタジアムの突発的な修繕や、指定管理者事業の運営基盤となっています。

また、資産の部を見ると、固定資産がわずか16百万円(約0.2億円)と極めて小さいのが特徴です。これは、同社が「ZOZOマリンスタジアム」や「フクダ電子アリーナ」といった巨大な施設そのもの(土地・建物)を所有していないことを示しています。同社はあくまで千葉市が所有する施設を借り受け、または管理委託を受けて運営する「オペレーター(運営専門会社)」であるため、巨額の減価償却費や固定資産税の負担がなく、身軽な経営(アセットライト)が可能となっています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths) 
千葉市筆頭株主である第三セクターとしての、絶大な「信用力」と「安定性」 
ZOZOマリンスタジアムという千葉市を代表するランドマークの運営実績 
・野球場(ZOZOマリン)と球技場(フクアリ)の両方の大型スポーツ施設を運営するノウハウ 
自己資本比率56.9%、利益剰余金約2.6億円という健全な財務基盤 
・「スタジアム運営(変動収益)」と「指定管理者(安定収益)」のバランスの取れた事業ポートフォリオ

弱み (Weaknesses) 
・事業エリアが千葉市内に限定されており、千葉市の財政状況や政策変更の影響をダイレクトに受ける 
・「千葉ロッテマリーンズ」という特定テナントへの依存度が(スタジアム事業において)高い

機会 (Opportunities) 
千葉市内における、他の公共施設(スポーツ、文化、市民会館など)の指定管理者としての受託エリア拡大 
ZOZOマリンスタジアム蘇我スポーツ公園を活用した、プロスポーツ以外の新規イベント(音楽フェス、フードフェス等)の企画・興行 
・スタジアム運営ノウハウを活かした、他自治体へのコンサルティング事業

脅威 (Threats) 
千葉ロッテマリーンズジェフ千葉の成績不振による、観客動員数の長期的な低迷 
指定管理者制度における、他社(民間のビル管理会社やイベント会社)との競争激化(数年ごとの公募) 
・施設の老朽化に伴う、運営・管理コストの増大

 

【今後の戦略として想像すること】
株式会社千葉マリンスタジアムは、その強みである「千葉市との強固な関係」と「公共施設運営ノウハウ」を軸に、さらなる地域貢献と経営の安定化を図ると推察されます。

✔短期的戦略 
まずは、中核であるZOZOマリンスタジアム稼働率を最大化することが最優先です。プロ野球開催日以外の「一般利用(草野球)」の促進や、新規イベントの誘致を継続し、収益の最大化を図ります。同時に、蘇我スポーツ公園、4つのコミュニティセンターの指定管理者として、市民の満足度を高め、次期(数年後)の指定管理者公募においても確実に再指定されるための実績を着実に積み上げていくことが求められます。

✔中長期的戦略 
千葉市の総合スポーツ・コミュニティ運営事業者」としての地位を確立することが目標となるでしょう。現在運営する施設(スタジアム、公園、コミュニティセンター)間での連携を強化し、例えば「蘇我スポーツ公園での子供向けスポーツ教室を、コミュニティセンターで募集・広報する」といった、相乗効果を生み出す施策が考えられます。 また、約2.6億円の利益剰余金を活用し、施設の利便性向上(例:キャッシュレス決済の導入支援、DX化)や、自主企画イベントへの投資を拡大し、単なる「管理者」から、地域の活性化を自ら創出する「プロデューサー」へと進化していくことが期待されます。

 

【まとめ】
株式会社千葉マリンスタジアムは、単なる「ZOZOマリンスタジアム」の大家ではありません。それは、千葉市と地元企業群が出資する第三セクターとして、プロ野球の興奮から、Jリーグの熱狂、そして市民の日常の憩いの場(コミュニティセンター)まで、千葉市の「スポーツと交流のインフラ」を幅広く支える、地域に不可欠な「運営のプロフェッショナル集団」です。

第36期決算は、当期純利益39百万円、自己資本比率56.9%という堅実な経営内容を示しました。これは、「スタジアム」という興行収入と、「指定管理者」という安定収入の2つのエンジンがバランス良く機能している証拠です。これからも、千葉市の活性化という使命を胸に、市民に愛される施設運営を通じて、千葉の「歓声」と「笑顔」を支え続けることが期待されます。

 

【企業情報】
企業名: 株式会社千葉マリンスタジアム 
所在地: 千葉県千葉市美浜区高浜4丁目12番2号 
代表者: 代表取締役社長 竹本 和義 
設立: 1989年5月19日 
資本金: 230,000千円 
事業内容: 1. 野球場(ZOZOマリンスタジアム)等のスポーツ施設の賃貸・管理運営、イベント企画、飲食店経営 2. 千葉市コミュニティセンターの指定管理業務 3. 千葉市蘇我スポーツ公園の指定管理業務 
株主: 千葉市、株式会社マイスターエンジニアリング、株式会社千葉銀行、株式会社千葉日報社、株式会社千葉マツダJFEスチール株式会社、京成電鉄株式会社、株式会社京葉銀行、株式会社千葉興業銀行千葉信用金庫東日本旅客鉄道株式会社 他44社

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