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#3943 決算分析 : 株式会社エニシアス 第12期決算 当期純利益 68百万円

「老朽化したサーバーをクラウドに移行したい」「社内に散在するデータをビジネスに活用したい」「人手不足で情報システム部門が回らない」。これらは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の大きな波の中で、多くの日本企業が抱える共通の悩みです。専門的な知識がなければ解決が難しいこれらの課題に対し、頼れるパートナーとして解決策を提示するのがITソリューション企業です。今回は、Google CloudやSalesforceといった最先端のクラウド技術を武器に企業のDXを支援する、株式会社エニシアスの決算を読み解き、その盤石な経営基盤と成長の秘密に迫ります。

エニシアス決算

【決算ハイライト(12期)】
資産合計: 495百万円 (約5.0億円)
負債合計: 133百万円 (約1.3億円)
純資産合計: 361百万円 (約3.6億円)

当期純利益: 68百万円 (約0.7億円)

自己資本比率: 約72.9%
利益剰余金: 341百万円 (約3.4億円)

【ひとこと】
自己資本比率が約72.9%と極めて高く、財務基盤は非常に安定しています。総資産5億円という事業規模ながら、68百万円の純利益を計上しており、収益性も高い水準です。専門性の高いITサービスで、堅実かつ優良な経営を実現していることがうかがえます。

【企業概要】
社名: 株式会社エニシアス
設立: 2014年5月1日
株主: 株式会社クレスコ
事業内容: クラウド環境を利用したシステム連携ソリューション「Cloud Plug」を軸に、各種クラウド構築・開発支援、データ分析、アプリケーション開発などを手掛けるITソリューションプロバイダー

www.enisias.com


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、顧客企業が抱える様々なIT課題に対し、クラウド技術を核とした幅広いソリューションを提供することにあります。特に、世界的なプラットフォームとの連携に強みを持っています。

クラウドインテグレーション事業
事業の中核を担う分野です。同社は「Google Cloud パートナー」および「Salesforceコンサルティングパートナー」の公式認定を受けており、これらの強力なクラウドプラットフォームの導入、構築、開発、データ移行などを専門的に支援します。企業の基幹システムをオンプレミスからクラウドへ移行させ、ビジネスの俊敏性と効率性を高める、まさにDXの中核を担うサービスです。

✔データソリューション事業
企業内に蓄積された膨大なデータを「価値」に変える支援を行います。必要なデータの洗い出しから、分析基盤の構築、BIツールを用いたデータの可視化までをトータルでサポート。顧客がデータに基づいた意思決定(データドリブン経営)を行えるよう導きます。

システム開発・基盤構築事業
クラウドだけでなく、従来のオンプレミス環境や、両者を組み合わせたハイブリッド環境のサーバー・ネットワーク構築も手掛けています。また、顧客の業務に特化したカスタムアプリケーションの開発も行っており、インフラからアプリケーションまで、企業のIT環境を総合的にサポートできる技術力が強みです。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、企業のIT投資意欲は非常に旺盛です。特に、クラウドへの移行やデータ活用、AIの導入は多くの企業にとって喫緊の経営課題となっており、同社が事業を展開する市場は大きな成長期にあります。一方で、これらの先端技術を扱える高度なIT人材は社会的に不足しており、専門的な知見を持つ外部パートナーへの需要はますます高まっています。

✔内部環境
最大の強みは、東証プライム上場企業である株式会社クレスコのグループ会社であることです。これにより、強固な経営基盤と高い社会的信用を得ています。また、「Google Cloud」と「Salesforce」という、IT業界を牽引する二大プラットフォーマーの公式パートナー認定は、同社の技術力の高さを客観的に証明しており、顧客からの信頼獲得における大きな武器となっています。事業の根幹を支えるのは優秀なエンジニアであり、彼らの技術力がそのまま企業の価値に直結する、知識集約型のビジネスモデルです。

✔安全性分析
自己資本比率が72.9%という数値は、あらゆる業種の中でも極めて優良な水準です。企業の総資本の7割以上が返済不要な自己資本で構成されており、固定負債はゼロ。実質的な無借金経営であり、財務的なリスクは皆無に等しいと言えます。利益剰余金も3.4億円と潤沢に積み上がっており、これは設立以来、着実に利益を出し続けてきた証です。この盤石な財務基盤により、最新技術の習得や人材育成に積極的に投資できる、理想的な経営サイクルが実現できています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
Google CloudとSalesforceの公式パートナー認定という高い技術力と信頼性
・親会社である株式会社クレスコの強力なバックアップと経営基盤
自己資本比率72.9%を誇る、極めて健全な財務体質
クラウドからインフラ、アプリ開発まで対応できる幅広いサービス範囲

弱み (Weaknesses)
・事業の成長が、高度なスキルを持つITエンジニアの採用と育成に大きく依存する点
・主要なクラウドプラットフォームの動向にビジネスが影響されやすい

機会 (Opportunities)
・企業におけるDX投資の継続的な拡大
・生成AIの導入支援など、新たな技術トレンドに対応したコンサルティング需要の発生
・深刻化するIT人材不足を背景とした、専門企業へのアウトソーシング需要の増加

脅威 (Threats)
・IT業界における技術者獲得競争の激化と人件費の高騰
・他のシステムインテグレーターコンサルティングファームとの競争
・大規模な景気後退による、企業のIT投資抑制リスク


【今後の戦略として想像すること】
強固な経営基盤と技術力を武器に、企業のDXパートナーとしての価値をさらに高めていく戦略が考えられます。

✔短期的戦略
需要が旺盛なGoogle CloudとSalesforce関連のプロジェクトに注力し、実績をさらに積み上げていくでしょう。特に、昨今注目が集まる「生成AI」の導入支援など、顧客の関心が高い分野でパッケージ化されたソリューションを提供することで、より多くの顧客を獲得していくことが予想されます。

✔中長期的戦略
単なるシステムの導入・開発に留まらず、顧客のビジネス課題そのものに踏み込んだ、より上流のコンサルティング領域へとサービスを昇華させていくことが期待されます。企業のDX戦略の策定段階からパートナーとして関与し、長期的な関係を築くことで、安定した収益基盤をさらに強固なものにしていくでしょう。親会社であるクレスコグループのリソースも活用し、より大規模なエンタープライズ向けのDXプロジェクトにも挑戦していく可能性があります。


【まとめ】
株式会社エニシアスは、企業のDX化という時代の大きな潮流を捉え、最先端のクラウド技術を駆使して顧客を成功に導く、現代的なITソリューション企業です。親会社クレスコの安定基盤と、GoogleSalesforceという巨人たちの肩の上で、自己資本比率72.9%という鉄壁の財務を築き上げています。その姿は、まさにIT業界の優等生と言えるでしょう。今後ますます深刻化するIT人材不足の中、同社のような専門家集団が社会で果たす役割は、より一層大きくなっていくことは間違いありません。


【企業情報】
企業名: 株式会社エニシアス
所在地: 東京都品川区西五反田二丁目27番3号 A-PLACE五反田 10F
代表者: 玉置 圭介
設立: 2014年5月1日
資本金: 2,000万円
事業内容: Google Cloud構築・開発支援、Salesforce導入・開発支援、データ分析・移行支援、サーバー・ネットワーク構築支援、アプリケーション開発支援、情報システム業務支援等
株主: 株式会社クレスコ

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