決算公告データ倉庫

決算公告を自分用に保管している倉庫。あくまでも、自分用です。引用する決算公告を除いて、内容の正確性/真実性を保証できない点はご容赦ください。そのうえで、競合調査や企業分析にご活用ください!(もし気に入りましたら、ブックマーク登録などしていただけると嬉しいです)


#1622 決算分析 : 株式会社スーパーホテル 第36期決算 当期純利益 6,207百万円


「ぐっすり眠れる」ための選べる枕、健康的なオーガニック野菜の無料朝食、そして多くの店舗で楽しめる天然温泉。ビジネスホテルの常識を覆し、「Natural, Organic, Smart」という独自のLOHASロハス)なコンセプトで、顧客満足度調査において10年連続No.1という金字塔を打ち立てたホテルチェーンがあります。

今回は、その株式会社スーパーホテルの決算を分析します。官報に示されたのは、年間売上高545億円、営業利益132億円、そして最終的な当期純利益62億円という、驚異的なまでの高収益。徹底した顧客目線と、効率的なフランチャイズ戦略を両輪に、ホテル業界で圧倒的な存在感を放つ「満足度王者」の、強さの秘密と経営戦略に迫ります。

スーパーホテル決算

決算ハイライト(36期)
売上高: 54,560百万円 (約545.6億円)
営業利益: 13,199百万円 (約132.0億円)
経常利益: 10,187百万円 (約101.9億円)
当期純利益: 6,207百万円 (約62.1億円)

資産合計: 65,178百万円 (約651.8億円)
純資産合計: 26,811百万円 (約268.1億円)

自己資本比率: 約41.1%
利益剰余金: 26,706百万円 (約267.1億円)

 

まず注目すべきは、その傑出した収益性です。売上高約546億円に対し、本業の儲けを示す営業利益で約132億円。営業利益率は実に24%を超えており、これは、極めて効率的で付加価値の高い経営が行われていることの証左です。最終的な当期純利益も約62億円と、巨額の黒字を確保しています。また、財務基盤も盤石で、自己資本比率は約41.1%と健全な水準を維持。267億円という巨額の利益剰余金は、長年にわたり安定して高収益を上げてきた歴史を物語っています。

 

企業概要
社名: 株式会社スーパーホテル
設立: 1989年12月20日
事業内容: 「スーパーホテル」ブランドでのホテルチェーン展開(直営及びフランチャイズ)、土地有効活用のコンサルティング

www.superhotel.co.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
スーパーホテルの強みは、他のホテルチェーンとは一線を画す、明確なブランドコンセプトと、それを支える独自のビジネスモデルにあります。

顧客満足度No.1を支える「LOHAS」コンセプト
同社の最大の競争優位性は、「Natural, Organic, Smart」を掲げる、LOHAS(健康的で持続可能なライフスタイル)をテーマとしたホテルづくりです。
・Natural: 「ぐっすり研究所」と共同開発した、快適な睡眠環境。硬さや高さが選べる枕は、同社の代名詞です。多くの店舗で、疲労回復効果のある天然温泉を提供している点も、大きな魅力となっています。
・Organic: 有機JAS認定野菜を使ったサラダをはじめとする、健康的な無料朝食を提供。顧客の健康にまで配慮する姿勢が、高い支持を得ています。
・Smart: ITを活用した効率的なオペレーション。自動チェックイン機や、暗証番号式の鍵(ノーキー・ノーチェックアウト)などをいち早く導入し、顧客の利便性を高めると同時に、省人化による高い生産性を実現しています。

✔高速展開を可能にする「フランチャイズ」モデル
同社は、直営方式だけでなく、土地オーナーなどが経営に参画するフランチャイズ方式を積極的に活用しています。これにより、自社の投資を抑えながら、スピーディーに全国へ店舗網を拡大することに成功。現在では国内外で170店舗以上を展開する、巨大なホテルチェーンを築き上げています。

✔「エコ・ファースト企業」としてのサステナビリティ
同社は、環境省から「エコ・ファースト企業」として認定されるなど、環境への取り組みを経営の核に据えています。客室の節水、アメニティ不使用時のキャッシュバック(エコひいき)、予約時のカーボンオフセットなど、顧客を巻き込みながら、楽しみながら環境貢献ができる仕組みを構築。この先進的な姿勢が、現代の消費者の価値観と合致し、ブランドイメージをさらに高めています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
コロナ禍を経て、国内のビジネス出張や観光需要は力強く回復しています。特に、インバウンド観光客の増加は、ホテル業界にとって大きな追い風です。エコノミーホテル市場は競争が激しいですが、スーパーホテルの持つ「健康」「環境」「高品質な睡眠」といった、明確で付加価値の高いコンセプトは、価格競争から一線を画す強力な武器となっています。

✔内部環境
営業利益率24%超という驚異的な収益性は、同社のビジネスモデルの完成度の高さを物語っています。「Smart」なオペレーションによる徹底したローコスト運営と、「Natural, Organic」という付加価値による高い顧客満足度(リピート率70%以上)と客室単価。この二つを両立させていることが、高い利益率の源泉です。
一方で、営業利益(約132億円)と経常利益(約102億円)の間に約30億円の差(主に営業外費用)があります。これは、同社がホテル事業だけでなく、関連会社を通じて介護事業や太陽光発電事業なども手掛けていることから、それらへの投資や、新規開発に伴う支払利息などが影響している可能性があります。

✔安全性分析
自己資本比率41.1%という数値が示す通り、財務安全性は高いレベルにあります。ホテルという、多額の設備投資を要する事業でありながら、健全な財務バランスを維持しています。そして何より、267億円という巨額の利益剰余金は、いかなる経済危機にも耐えうる、強靭な経営体力を示しています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・J.D. パワー顧客満足度調査10年連続No.1という、圧倒的なブランド力と顧客からの信頼
・「Natural, Organic, Smart」という、他社が模倣困難な、明確で付加価値の高いコンセプト
フランチャイズ方式を活用した、スピーディーな全国展開力
・営業利益率24%超という、驚異的な収益性と、267億円の利益剰余金を誇る盤石の財務基盤

弱み (Weaknesses)
・エコノミーホテルという単一市場への依存度が高い
フランチャイズ展開による、全店舗でのサービス品質の完全な均質化の難しさ

機会 (Opportunities)
・健康志向、環境意識の高まりという、世界的なメガトレンド
・インバウンド観光客のさらなる増加と、日本の「おもてなし」品質への評価
・既存のブランド力を活かした、アッパーミドルクラスの新ホテルブランド展開

脅威 (Threats)
・国内外のホテルチェーンや、新たな形態の宿泊施設(民泊など)との競争激化
・ホテル業界全体が抱える、深刻な人手不足と、それに伴う人件費の高騰
・新たな感染症パンデミックや、大規模な自然災害による、旅行需要の急減

 

【今後の戦略として想像すること】
顧客満足度従業員満足度で日本一のエクセレントカンパニー」を目指し、その成功モデルをさらに磨き上げていくでしょう。

✔短期的戦略
旺盛な観光需要を確実に取り込み、高い稼働率と収益性を維持します。同時に、既存のフランチャイズオーナーとの連携を強化し、顧客満足度をさらに高めるための研修や、ITシステムの導入支援などを進めます。

✔中長期的戦略
サステナブル・ホテル」の世界的リーダーとなることを目指すでしょう。現在取り組んでいる環境活動をさらに深化させ、例えば、全ホテルでの再生可能エネルギー100%化や、食品廃棄ゼロなどを達成することで、環境価値を絶対的な競争優位性へと高めます。また、日本で成功したこのユニークなビジネスモデルを、海外へと本格的に展開していくことも、大きな成長戦略となり得ます。

 

まとめ
株式会社スーパーホテルは、単なるエコノミーホテルチェーンではありません。それは、「顧客満足とは何か」を徹底的に追求し、それを「仕組み」にまで昇華させた、経営品質の塊のような企業です。第36期決算で示された、純利益62億円、営業利益率24%超という数字は、その哲学がビジネスとして大成功していることを、何よりも雄弁に物語っています。

その本質は、「Natural, Organic, Smart」というコンセプトのもと、顧客、従業員、そして地球環境までをも含めた、全方位的な「おもてなし」にあります。J.D. パワー顧客満足度10連覇という偉業は、その日々の地道な努力の結晶です。スーパーホテルの挑戦は、日本のサービス業全体の、一つの理想形を示していると言えるでしょう。

 

企業情報
社名: 株式会社スーパーホテル
本社所在地: 大阪府大阪市西区西本町1-7-7
代表者: 代表取締役社長 山本 健策
設立: 1989年12月20日
資本金: 6,750万円
事業内容: ホテルチェーン「スーパーホテル」の展開(直営及びフランチャイズ)、土地有効活用のコンサルティング

www.superhotel.co.jp

©Copyright 2018- Kyosei Kiban Inc. All rights reserved.