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#1552 決算分析 : 株式会社ランドサポート 第20期決算 当期純利益 13百万円

郊外のロードサイドを車で走っていると、かつては賑わいを見せていたであろう、閉鎖されたパチンコホールや大型商業施設が目につくことはありませんか。こうした遊休不動産は、地域の景観を損なうだけでなく、経済的な機会損失にも繋がっています。この社会的な課題に対し、「想像力と創造力」を武器に、不動産の再生を通じて新たな価値を吹き込む専門家集団がいます。それが、株式会社ランドサポートです。特にパチンコホール跡地のコンバージョン(業態転換)に豊富な実績を持つ同社の、驚異的な財務基盤と独自のビジネスモデルを、第20期の決算公告から読み解きます。

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決算ハイライト(第20期)

資産合計: 619百万円 (約6.2億円)
負債合計: 34百万円 (約0.3億円)
純資産合計: 584百万円 (約5.8億円)
当期純利益: 13百万円 (約0.1億円)


自己資本比率: 約94.3%
利益剰余金: 184百万円 (約1.8億円)

 

まず目を引くのは、自己資本比率が約94.3%という、驚異的な高さです。これは、総資産のほとんどを返済不要な自己資本で賄っていることを意味し、企業の財務安全性が「鉄壁」とも言えるレベルであることを示しています。負債合計はわずか34百万円に過ぎず、実質的な無借金経営と言えるでしょう。この盤石な財務基盤があるからこそ、時間と交渉を要する大規模な不動産再生プロジェクトにも、腰を据えて取り組むことが可能です。13百万円の当期純利益を確保し、利益剰余金も着実に積み上げており、安定した収益力も証明しています。

 

企業概要

社名: 株式会社ランドサポート
設立: 2006年1月17日
株主: ゲンダイエージェンシー株式会社(100%出資)
事業内容: パチンコホールをはじめとした商業施設全般にかかわる賃貸・売買・仲介・コンサルタント

www.landsupport.co.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
同社のビジネスの神髄は、単なる不動産仲介業ではなく、「商業施設の再生・コンバージョン事業」にあります。特に、その専門性が際立つのがパチンコホール跡地の活用です。

✔不動産再生・コンバージョン事業
同社のウェブサイトには、元パチンコホールをスーパーマーケットやディスカウントストアへ、元ゲームセンターをスポーツ用品店へ、といった具体的な実績が示されています。これは、時代の変化と共に役割を終えた大規模な建物の潜在能力を見抜き、新たな命を吹き込む事業です。
・物件の所有者に対しては、空室という大きな悩みを解決し、資産の価値を再び高める道筋を提示します。
・新たな出店を考えるテナント企業に対しては、立地や建物の特性を活かした最適な物件を提案します。
この両者の間に立ち、それぞれの「想い」を繋ぎ、地域に新たな賑わいを創出することが、同社の社会的価値の源泉となっています。

✔親会社(ゲンダイエージェンシー)とのシナジー
同社は、東証スタンダード上場のゲンダイエージェンシー株式会社の100%子会社です。ゲンダイエージェンシーは広告代理店としてパチンコ業界に深い知見と強力なネットワークを有しています。このバックボーンは、ランドサポートがパチンコホール跡地の情報をいち早く入手し、物件所有者との円滑な交渉を進める上で、他社にはない圧倒的な競争優位性となっています。専門分野に特化し、グループの強みを最大限に活用する、非常に合理的な事業戦略です。

 

【財務状況等から見る経営戦略】

✔外部環境
パチンコ業界の市場規模は長期的に縮小傾向にあり、それに伴い閉鎖されるホールは後を絶ちません。これは、同社にとって「再生すべき物件」が継続的に供給されることを意味しており、事業機会は豊富に存在します。一方で、地域社会からは、こうした遊休施設の有効活用や、生活利便性を高める商業施設への転換が強く求められており、同社の事業は社会的な要請にも応えるものです。

✔内部環境
約94.3%という自己資本比率が示す通り、経営は極めて安定しています。不動産事業は取引額が大きく、時には長期的な視点が必要となりますが、同社の盤石な財務基盤は、外部の経済状況に左右されずに最適なタイミングで事業を推進することを可能にしています。また、親会社との強力な連携により、情報収集や営業活動におけるコストを効率化できていることも、安定した収益性に貢献していると考えられます。

✔安全性分析
自己資本比率約94.3%という数値は、あらゆる業種の中でもトップクラスであり、財務安全性について懸念材料は全く見当たりません。有利子負債も極めて少ないと推測され、金利変動リスクはほぼ皆無です。この財務的な信用力は、不動産所有者やテナント企業、金融機関からの信頼を獲得する上で、大きな武器となっています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率約94.3%という、鉄壁とも言える財務基盤と高い信用力
パチンコホール跡地の再生という、ニッチながら需要の堅い分野でのトップクラスの専門性と実績
・親会社であるゲンダイエージェンシーとのシナジーによる、情報収集力と営業上の優位性
・「想像力と創造力」を掲げる、明確な企業理念と社会貢献への意識

弱み (Weaknesses)
・パチンコ業界の動向への依存度が高いビジネスモデル
・不動産取引という性質上、案件ごとの収益変動が大きくなる可能性がある
・専門性が高いがゆえに、事業領域が限定的と見られる可能性

機会 (Opportunities)
パチンコホール以外の遊休不動産(工場跡地、閉鎖したロードサイド店舗など)へのノウハウの横展開
地方自治体と連携した、地域活性化に繋がる不動産再生プロジェクトへの参画
M&Aによる、物件管理や内装設計など、関連領域への事業拡大

脅威 (Threats)
・景気後退による、テナント企業の出店意欲の減退
・不動産市況の大きな変動や、金利の上昇
・同様のニッチ市場に参入する、競合企業の出現
建築基準法用途地域など、法規制の変更による影響

 

【今後の戦略として想像すること】
同社がこれまでの強みを活かしつつ、さらなる成長を遂げるためには、以下の戦略が考えられます。

✔短期的戦略
引き続き、得意分野であるパチンコホール跡地の再生事業に注力し、リーディングカンパニーとしての地位を不動のものにしていくでしょう。親会社との連携を密にし、優良な物件情報をいち早く掴み、スピーディーにテナントをマッチングさせることで、収益機会を最大化していきます。

✔中長期的戦略
「不動産再生のプロフェッショナル」として、その対象領域を広げていくことが期待されます。パチンコホールで培ったノウハウは、他の大型商業施設や工場、倉庫といった様々な遊休不動産にも応用可能です。また、その盤石な財務力を活かし、単なる仲介やコンサルティングに留まらず、自社で物件を取得して再生・開発を手掛けるデベロッパーへと事業を進化させる可能性も秘めています。

 

まとめ

株式会社ランドサポートは、単なる不動産会社ではありません。それは、時代の変化の中で生まれた社会の「隙間」を見つけ出し、「想像力と創造力」をもって新たな価値を創出する、不動産再生のスペシャリストです。親会社との強力なシナジーを背景に、ニッチな市場で圧倒的な専門性を発揮し、約94.3%という驚異的な自己資本比率を誇る盤石な経営基盤を築き上げています。役割を終えた建物を、地域に新たな賑わいをもたらす場所に生まれ変わらせる同社の事業は、今後ますますその重要性を増していくことでしょう。

 

企業情報

企業名: 株式会社ランドサポート
所在地: 東京都品川区大崎3-5-2 エステージ大崎ビル6F
代表者: 大塲 美香
設立: 2006年1月17日
資本金: 5,000万円
事業内容: パチンコホールをはじめとした商業施設全般にかかわる賃貸・売買・仲介・コンサルタント
株主: ゲンダイエージェンシー株式会社(100%出資)

www.landsupport.co.jp

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