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#2921 決算分析 : フリービットインベストメント株式会社 第11期決算 当期純利益 54百万円


新たな技術やアイデアで世界を変えようとするスタートアップ企業。その成長の裏には、資金を提供するだけでなく、経営のノウハウや事業連携の機会を与え、成功へと伴走する「ベンチャーキャピタル(VC)」の存在が欠かせません。中でも、事業会社が自社の戦略とシナジーを生むことを目的に設立する「コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)」は、スタートアップにとって強力なパートナーとなり得ます。

今回は、インターネットインフラ事業やMVNO事業などを手掛ける東証プライム上場のフリービット株式会社のCVCである、フリービットインベストメント株式会社の決算を読み解きます。未来を創るスタートアップを見出し、育てる投資会社の経営実態と、その戦略に迫ります。

フリービットインベストメント決算

【決算ハイライト(第11期)】
資産合計: 685百万円 (約6.9億円)
負債合計: 44百万円 (約0.4億円)
純資産合計: 641百万円 (約6.4億円)
当期純利益: 54百万円 (約0.5億円)
自己資本比率: 約93.6%
利益剰余金: 6百万円 (約0.1億円)

まず注目すべきは、自己資本比率が93.6%という極めて高い水準にあることです。これは、負債にほとんど頼らない、非常に健全で安定した財務基盤を示しています。当期純利益も54百万円を確保しており、投資先企業の価値向上などを通じて、着実に収益を上げていることがうかがえます。総資産の約半分が固定資産(約3.1億円)となっており、これは投資先スタートアップ企業の株式などで構成されていると推察されます。

企業概要
社名: フリービットインベストメント株式会社
設立: 2015年4月1日
株主: フリービット株式会社(100%子会社)
事業内容: スタートアップ企業への投資、新規事業の企画、M&A

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【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、親会社であるフリービット株式会社の事業戦略と連携した「スタートアップ投資事業」に集約されます。単なる金銭的なリターン(キャピタルゲイン)を追求するだけでなく、未来のフリービットグループとの事業シナジー創出を重視している点が、独立系VCとの大きな違いです。

✔投資領域とステージ
投資対象は、インターネットを基盤とし、将来のイノベーションを目指す、創業間もないシード期から、製品やサービスを市場に投入したアーリーステージのスタートアップが中心です。特に、フリービットグループが強みを持つ「ネットワーク」や「クラウド」技術を基盤に、将来の成長が期待される「Health Tech」「IoT」「不動産Tech」といった「生活革命」領域に注力しています。

✔ハンズオンでの成長支援
同社の最大の特徴は、単に資金を提供するだけでなく、フリービットグループが持つ有形無形の経営資源を最大限に活用し、投資先企業の成長を加速させる「ハンズオン支援」にあります。具体的には、
・戦略設定: 親会社の経営陣が持つ豊富な経験に基づく、事業戦略や資本政策のアドバイス
・開発活動: フリービットグループの技術者による、技術的な課題解決のサポート。
・営業開拓: フリービットグループの広範な顧客基盤や販売網を活用した、営業先の紹介や連携。
といった、多角的な支援を通じて、投資先企業の価値向上を徹底的にサポートします。

✔主な投資先ポートフォリオ
ウェブサイトによれば、日本初の水中ドローン専業メーカー「株式会社FullDepth(旧 空間知能化研究所)」や、ビジネスパーソン向けeラーニングサービス「KIYOラーニング株式会社」、会議室のシェアリングサービス「株式会社スペイシー」など、ユニークで将来性豊かなスタートアップへ多数投資しています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
日本のスタートアップエコシステムは、政府による支援策や、大企業によるオープンイノベーションの活発化を背景に、拡大を続けています。一方で、世界的な金融情勢の変化により、投資マネーの流れは以前よりも選別色が強まっており、真に技術力と成長性のあるスタートアップを見極める「目利き力」が、VCにとってこれまで以上に重要になっています。

✔内部環境
当期純利益54百万円という収益は、主に投資先企業の株式価値の上昇(評価益)や、一部株式の売却益(キャピタルゲイン)によってもたらされたものと推察されます。自己資本比率93.6%という鉄壁の財務基盤は、有望な投資先が見つかった際に、迅速かつ柔軟に投資を実行できる体力があることを示しています。また、投資活動には大きなリスクが伴いますが、この健全な財務が、長期的な視点でじっくりと投資先を育てていくことを可能にしています。

✔安全性分析
貸借対照表(BS)は極めて健全であり、財務的なリスクは皆無に等しいと言えます。負債がわずか44百万円と極めて少なく、短期的な支払い能力も全く問題ありません。純資産の部を見ると、株主であるフリービットからの出資を示す資本金・資本剰余金が6億円と大部分を占めており、親会社の強力なバックアップのもとで事業が運営されていることが分かります。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率93.6%という、鉄壁の財務基盤
・親会社フリービットが持つ、技術力、顧客基盤、ブランド力といった強力なバックアップ
・資金提供に留まらない、ハンズオンでの手厚い成長支援体制
・フリービットの創業者であり副社長が投資会社の社長を兼務することによる、迅速な意思決定

弱み (Weaknesses)
・親会社の事業戦略とのシナジーを重視するため、投資対象の領域が一定の範囲に限定される
・投資の成果が出るまでに長期間を要し、短期的な収益が不安定になりがち

機会 (Opportunities)
・日本のスタートアップエコシステムの拡大と、有望な起業家の増加
・大企業によるスタートアップとの連携(オープンイノベーション)の加速
・AI、IoT、Web3など、新たな技術革新が生み出す、新しい投資領域の出現

脅威 (Threats)
・世界的な景気後退による、スタートアップへの投資マネーの縮小
・有望なスタートアップの獲得を巡る、他のVCやCVCとの競争激化
・投資先の事業失敗による、投資資金の回収不能リスク


【今後の戦略として想像すること】
この独自の強みと安定した経営基盤を活かし、同社が今後さらに成果を上げていくためには、以下の戦略が考えられます。

✔短期的戦略
既存の投資先ポートフォリオ企業の成長支援を、引き続き徹底的に行うことが最優先です。特に、アーリーステージからミドルステージへと移行する企業に対し、フリービットグループとの具体的な事業連携をさらに加速させ、IPO(新規株式公開)やM&Aによる成功事例を一つでも多く創出することを目指します。成功事例は、次の有望なスタートアップを惹きつける、何よりの魅力となるからです。

✔中長期的戦略
親会社であるフリービットが注力する新たな事業領域と連動し、投資の対象範囲を広げていくことが期待されます。例えば、フリービットがヘルスケア事業や地方創生事業に力を入れるのであれば、それらの分野で革新的な技術を持つシード期のスタートアップを早期に発掘・育成する、探索的な投資を強化していくでしょう。また、将来的には、自社で投資・育成した複数のスタートアップ同士を連携させ、新たなエコシステムを創造するような、よりダイナミックな価値創造も視野に入ってきます。


【まとめ】
フリービットインベストメントは、単にお金を投じるだけの投資会社ではありません。それは、親会社であるフリービットが持つ技術力や顧客基盤という強力なエンジンを、未来を創るスタートアップに提供し、その成長を加速させるための「ブースター」のような存在です。決算書が示す鉄壁の財務基盤は、リスクの高いスタートアップ投資を、長期的な視点でじっくりと支援していくという固い決意の表れです。これからも、日本のテクノロジー業界に新たな風を吹き込む有望な企業を発掘し、親会社と共に未来の「生活革命」を実現していくことが期待されます。


【企業情報】
企業名: フリービットインベストメント株式会社
所在地: 〒150-0044 東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー
代表者: 代表取締役 清水 高
設立: 2015年4月1日
資本金: 5,000万円
事業内容: 新規事業の企画、シード・アーリーステージのスタートアップ企業への投資及びM&A
株主: フリービット株式会社(100%)

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