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#7118 決算分析 : 上田ガス株式会社 第167期決算 当期純利益 199百万円


私たちが毎日当たり前のように使う「ガス」。お風呂を沸かし、料理を作り、冬には部屋を暖める。この日常の風景の裏側には、100年以上にわたり地域インフラを支え続けてきた企業の存在があります。長野県上田市に拠点を置き、大正2年(1913年)の創業以来、地域住民の生活を守ってきた「上田ガス株式会社」。都市ガス供給を中心に、電気小売やリフォーム事業などにも挑戦する同社の第167期決算公告をもとに、堅実な財務基盤と地域密着型ビジネスモデルを分析し、次なる100年への戦略を読み解きます。

上田ガス決算

【決算ハイライト(第167期)】
資産合計: 6,584百万円 (約65.8億円)
負債合計: 1,112百万円 (約11.1億円)
純資産合計: 5,472百万円 (約54.7億円)

当期純利益: 199百万円 (約2.0億円)
自己資本比率: 約83.1%
利益剰余金: 5,372百万円 (約53.7億円)

【ひとこと】
同社は自己資本比率約83.1%と、極めて高い財務健全性を誇ります。インフラ企業として一般的に負債比率が高くなる傾向にありますが、上田ガスは借入金に依存せず、潤沢な内部留保を積み上げることで安定した資本構成を実現しています。利益剰余金約53.7億円は長年の堅実経営の成果であり、設備更新や新規事業への投資余力も十分に備えています。地域住民への安定供給を支える土台として、この数字は非常に信頼性の高いものです。

【企業概要】
企業名: 上田ガス株式会社
設立: 1913年(大正2年
事業内容: ガス小売事業、ガス導管事業、プロパン販売、ガス工事、ガス器具販売、電気小売事業など

www.uedagas.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
上田ガスの事業は「総合エネルギー事業」に集約され、地域住民や法人顧客に対し、ライフラインとしてのエネルギーと快適な住環境を提供するビジネスです。

✔都市ガス・プロパンガス供給事業
創業以来の中核事業で、1913年に石炭ガスの生産から始まり、昭和37年に天然ガスへの転換を果たしました。現在は上田市内の約3万件の顧客に環境負荷の低い天然ガスを供給し、都市ガス導管が届かないエリアにはプロパンガス(LPG)を販売。地域全体をカバーする体制を整えています。

✔ガス機器販売・工事およびリフォーム事業
コンロや給湯器、ガスヒートポンプエアコン(GHP)などの販売に加え、ガス工事や住宅リフォームを提供。関連会社との連携により、水回りや住設機器を含めたトータルリフォームを提案し、顧客の住環境全体を向上させています。

✔電力小売事業
平成30年4月に開始した新規事業で、登録番号A0439として電気小売を展開。ガスと電気のセット販売による顧客囲い込みを図り、家庭内エネルギーをワンストップで管理できる体制を構築しています。

✔地域密着の「地区分割制」サービス体制
昭和44年から導入されている制度で、供給エリアを分割し各地区に専任担当者を配置。顧客対応を迅速化し、地域からの高い信頼と好評につながっています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
脱炭素化が求められる中で、天然ガスは低環境負荷エネルギーとして評価される一方、地方都市特有の人口減少やオール電化住宅との競合、原料価格の高騰など課題も存在します。経営環境は変化が激しく、慎重な戦略が求められます。

✔内部環境
固定資産3,322百万円は資産全体の約50%を占め、ガス導管や供給設備への投資が反映されています。無借金経営を維持できるのは、長年にわたる内部留保(利益剰余金5,372百万円)によるもので、将来の設備更新や新規事業投資の原資として強みとなります。

✔安全性分析
自己資本比率83.1%、流動比率387%と安全性は極めて高く、短期的支払い能力にも問題はありません。この安定性が、地域インフラ企業としての供給責任を全うする土台になっています。


SWOT分析で見る事業環境】
✔強み (Strengths)
・創業110年以上の歴史と地域における高い信頼・ブランド力
自己資本比率80%超の強固な財務基盤
・地区分割制による顧客との顔の見える関係性と迅速なサービス体制
・都市ガス・プロパン・電気の総合エネルギー提案が可能

✔弱み (Weaknesses)
・供給エリアが限定的で、地域経済や人口動態の影響を受けやすい
・ガス導管などインフラ維持管理に継続的な固定費が必要
・原料価格の変動が収益に影響するリスク

✔機会 (Opportunities)
天然ガスの需要維持や燃料電池・GHPなど高効率ガス機器の普及
・リフォーム需要の拡大による住環境提案ビジネスの成長
・災害時のエネルギーセキュリティの観点からガスの再評価

✔脅威 (Threats)
・人口減少や少子高齢化による長期的需要縮小
オール電化住宅の普及や競合によるエネルギー獲得競争の激化
・大規模災害による供給インフラ損壊リスク
・世界的なエネルギー価格高騰による調達コスト上昇


【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
DXによる検針業務効率化やWeb明細導入などで固定費を抑制し、浮いたリソースをリフォーム提案や機器販売など顧客接点強化に振り向けることが考えられます。また、省エネ機器の提案による光熱費軽減など、コンサルティング営業の重要性が増すでしょう。

✔中長期的戦略
「ガス会社」から「地域生活創造企業」への進化が想定されます。リフォーム事業の拡大、高齢者向け見守りサービス、地域の不動産活用など生活全般をサポートする事業展開、さらに合成メタン活用などカーボンニュートラルへの対応や地域内M&A、新規事業への投資も視野に入ると考えます。


【まとめ】
上田ガス株式会社は単なるエネルギー供給企業ではなく、上田市における不可欠な社会インフラです。約65億円の資産と80%超の自己資本比率は、地域との信頼関係と長年の堅実経営の結果です。地区分割制による顧客との密接な関係を武器に、変化する環境への対応力も備えています。今後も、地域の豊かな生活を支え続ける基盤を保持しつつ、新たな事業領域への挑戦を通じ、地域生活創造企業としての存在感を強化していくことが期待されます。


【企業情報】
企業名: 上田ガス株式会社
所在地: 長野県上田市天神4丁目29-3
代表者: 伊藤 恒一
設立: 1913年(大正2年
資本金: 1億円
事業内容: ガス小売事業、ガス導管事業、プロパン販売、ガス工事、ガス器具販売、電気小売事業

www.uedagas.co.jp

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