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#1028 決算分析 : 日本測器株式会社 第106期決算 当期純利益 478百万円

創業110年超、日本の「モノづくり」を“はかる”ことで支え続けてきた計測機器の専門商社、日本測器株式会社。東証プライム上場のニチモウ株式会社を親会社に持つ同社の第106期(2025年3月期)決算が、2025年6月16日付の官報に掲載されました。激動の時代を乗り越え、近年はM&Aによる事業拡大や脱炭素ソリューションといった新たな挑戦を続ける老舗企業の経営戦略と財務状況を、公式サイトの情報とあわせて掘り下げます。 

20250331_106_日本測器決算

第106期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 11,119百万円 (約111.2億円)

負債合計: 7,103百万円 (約71.0億円)

純資産合計: 4,016百万円 (約40.2億円)

当期純利益: 478百万円 (約4.8億円)

 

今回の決算では、売上高175億円(単体)に対し、当期純利益として478百万円(約4.8億円)という力強い利益を計上しました。総資産約111.2億円に対し、純資産合計は約40.2億円、自己資本比率は36.1%と安定した財務基盤を維持しています。資本金2.3億円に対し、利益剰余金が約32.9億円まで厚く積み上がっている点は、長年にわたる着実な利益の蓄積を物語っています。

 

また、純資産の部に計上されている「その他有価証券評価差額金」が約4.4億円と大きなプラスになっている点は、同社が保有する投資有価証券等の含み益が相当額あることを示しており、潜在的な財務余力も見て取れます。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
日本測器は、単なる機器の販売代理店ではありません。顧客の「モノづくり」におけるあらゆる計測ニーズに対し、最適なソリューションを提供する技術商社です。その事業領域は、創業時の航海用計器から、現代の産業を支えるあらゆる分野へと広がっています。

 

計測機器の総合ソリューション提供:
同社のコア事業は、国内外の多種多様なメーカーの計測機器(工業用計測器、電気・電子計測器、分析・環境・検査器など)を、顧客の課題に応じて提案・販売することです。プラント、発電所、工場、建設現場から、浄水場やビル空調といった身近なインフラまで、文字通り「あっち、こっち、日本測器。」のキャッチコピーが示す通り、社会のあらゆる場面で同社の扱う製品が活躍しています。台湾ITECH社の総代理店として、高性能な電源・電子負荷装置を供給するなど、特徴的な製品ラインナップも強みです。

 

M&Aによる事業領域の拡大:
2008年の(株)中島商会の買収を皮切りに、近年は阿部商事(株)、(有)第一理研、シマ産業(株)と、立て続けに同業他社のM&Aを成功させています。これにより、取り扱い製品群の拡充と、顧客基盤の拡大を加速させており、オーガニックな成長に加えてM&Aを重要な成長戦略の一環と位置付けていることが明確です。

 

未来に向けた新規事業への挑戦:
従来の機器販売にとどまらず、未来の社会課題解決に向けた新たな事業の創出に積極的に取り組んでいます。

1.CEP2030 (CLEAN ENERGY PROJECT 2030)

脱炭素化を目指す顧客に対し、省エネ計測やクリーンエネルギー関連のソリューションを提供する専門プロジェクト。

2.技術サービス

IoT導入による工場のDX化支援や、販売した機器の保守メンテナンスまでを一貫して手掛ける新事業部を2024年に発足。単なる「モノ売り」から、顧客の課題解決を支援する「コト売り」へのシフトを鮮明にしています。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
第106期決算における4.78億円の純利益は、幅広い産業分野にわたる顧客基盤と、M&Aによる事業規模の拡大がもたらした成果と言えるでしょう。特定の業界の景気変動に左右されにくい、安定した収益構造を構築しています。175億円という単体売上高は、専門商社として業界内で確固たる地位を築いていることを示しています。

 

この安定した事業基盤と財務体力を武器に、同社はさらなる成長を目指しています。
最大の強みは、創業110年超の歴史で培われた「顧客とメーカーとの強固な信頼関係」と、全国26カ所、海外11カ所に及ぶ「広範なネットワーク」です。この基盤があるからこそ、顧客の潜在的なニーズを掘り起こし、最適なメーカーの製品をマッチングさせることができます。

 

しかし、技術革新のスピードが速い現代において、専門商社には常に変化への対応が求められます。


第一の課題は「技術的専門性の維持・向上」です。AI、IoT、5G、脱炭素といった新たな技術トレンドに対応し、顧客に最適なソリューションを提案し続けるためには、社員一人ひとりが常に最新の知識を学び続ける必要があります。同社が「人財の採用・教育に力を注ぐ」と明言しているのは、この課題に対する強い意志の表れです。

 

第二に「商社不要論との戦い」です。インターネットの普及により、顧客がメーカーから直接情報を得たり、購入したりすることが容易になりました。その中で、日本測器のような商社が介在する価値をいかに示し続けるかが問われています。技術サービス部の設立によるソリューション提案力の強化は、この課題に対する明確な回答と言えるでしょう。

 

今後の展望として、短期的にはM&Aでグループ化した企業とのシナジー創出を加速させ、収益基盤をさらに盤石なものにしていくことが予想されます。


中長期的には、「CEP2030」と「技術サービス部」が成長の二大エンジンとなります。企業の脱炭素化への取り組みは、今後あらゆる産業で必須となり、そこには必ず「計測」技術が必要となります。「CEP2030」は、この巨大な市場を開拓する試みです。また、人手不足に悩む製造現場に対し、IoTを活用した省人化・自動化ソリューションを提案する「技術サービス部」も、大きな成長が見込める分野です。

 

「すぐやる、丁寧にやる、最後までやる」という行動指針を掲げる日本測器。その実直な姿勢と、時代の変化を捉えて果敢に挑戦する進取の精神は、次の100年も日本のモノづくりを力強く支え続けることでしょう。専門商社からソリューションプロバイダーへと進化を遂げようとしている同社の今後に、大いに注目です。

 

企業情報
企業名: 日本測器株式会社

本社所在地: 兵庫県神戸市中央区磯辺通3丁目1番19号

代表者: 代表取締役社長 明石 仁成

事業内容: 計測機器・電子機器の専門商社。工業用計測器から電気・電子計測器、分析・環境機器まで幅広く取り扱い、近年はM&Aによる事業拡大や、脱炭素ソリューション(CEP2030)、IoT導入支援(技術サービス部)など、新たな事業領域にも積極的に挑戦している。

www.nippon-sokki.co.jp

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