決算公告データ倉庫

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#21051 【倉庫管理人のDeep Dive】インハウス化率86%、それでも仕事は消えない ── 広告・PR3社の決算が示す「切られる」より怖い「残される」という結末

広告市場は、絶好調です。電通「2025年 日本の広告費」によれば、2025年の日本の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)となり、2021年から5年連続で成長し、4年連続で過去最高を更新しました。インターネット広告費は前年より3,942億円増えて4兆459億円(前年比110.8%)に達し、総広告費に占める構成比は50.2%と、1996年の推定開始以来はじめて過半数を超えています。企業は、かつてないほど広告にお金を使っているのです。

では、そのお金はどこへ行っているのでしょうか。株式会社オプトが2025年8月に経営者416名を対象に実施した調査によれば、割合の差こそあれ、86%の企業が広告運用体制のなかでインハウス化を実施しています。米国でも全米広告主協会(ANA)の2023年レポート「The Continued Rise of the In-House Agency」において、調査対象企業の82%が社内にインハウス・エージェンシーを保有していると回答し、2018年時点から増加しています。広告費は増え、代理店を通さない広告費はもっと増えている。これが2026年の構図です。

しかし、この記事で扱いたいのは、もっと厄介な事実です。同じオプトの調査では、インハウス化に着手した企業の6割以上がサポート会社を利用しているのです。つまり、代理店の仕事はなくなりません。もしかすると、減りもしないかもしれない。変わるのは、その中身です。そして決定的なのは、インハウス化を進めた目的の第1位が「マーケティング施策のスピード向上と柔軟性の改善」(38.6%)であり、「コスト、予算の削減」は20.1%で第3位にとどまっているという事実です。クライアントは、代理店が高いから切っているのではありません。遅いから切っているのです。だとすれば、値下げをしても、彼らは戻ってきません。

  • ENGAWA株式会社(第11期):当期純損失 0.3億円(赤字)/1970年創刊の英字誌「Tokyo Weekender」運営、KOL・インフルエンサーマーケティング、「OMOTENASHI Selection」、地域創生、DX研修(六本木ヒルズ、自己資本比率約12%・利益剰余金▲0.3億円)

    ryo-nakamura1.hatenablog.jp

  • 株式会社マッキャンエリクソン(第16期):当期純損失 0.5億円(赤字)/総合広告代理業、ブランドマーケティング、クリエイティブ開発。ネスレ日本・三菱電機・キユーピー等を担当(IPG系マッキャン・ワールドグループHD傘下、純資産▲75.0億円(債務超過)・自己資本比率約▲91.6%・流動比率51.5%)

    ryo-nakamura1.hatenablog.jp

  • 株式会社電通北海道(第32期):当期純損失 0.5億円(赤字)/マーケティング/ビジネス・トランスフォーメーション/スポーツ&コンテンツの統合成長ソリューション(電通グループ100%子会社、社員139名・自己資本比率約18.1%・利益剰余金4.9億円)

    ryo-nakamura1.hatenablog.jp

ここで問うべきは、これらの赤字が「上流シフトのための先行投資」なのか、それとも「代理店というビジネスモデルそのものが、価値の源泉を失った」という構造的欠陥なのか、という点です。この3社は、日本の広告・PR産業の三つの立場を代表しています。新興のPRブティック、外資メガエージェンシー、そして国内最大手の地方子会社。規模も資本も歴史もまったく違う3社が、そろって赤字で、そろって自己資本が薄い。そして3社とも、口をそろえて同じことを言っています。「上流のソリューションへシフトする」と。全員が上流へ向かうとき、上流には何が残っているのでしょうか。

※以下の分析は公開情報・決算データに基づく倉庫管理人の見解であり、内容の正確性や真実性を保証するものではありません。

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