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#4209 決算分析 : 株式会社ブロリード 第37期決算 当期純利益 416百万円

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食卓にのぼる鮮やかな緑が人気の野菜、ブロッコリー。サラダや炒め物、お弁当の彩りとして、私たちの食生活にすっかり定着しています。安定して美味しいブロッコリーが一年を通して供給される背景には、気候や病気に強く、優れた品質を持つ品種を開発する「育種家」たちの、地道な研究開発があります。

今回は、三重県津市に拠点を置き、その名の通り「ブロッコリー」の種子開発一筋に道を究める専門メーカー、株式会社ブロリードの決算を分析します。世界的種子メーカーであるサカタのタネグループの一員として、日本の、そして世界のブロッコリー生産を支える「隠れた優良企業」の、驚異的な収益力と盤石な財務基盤の秘密に迫ります。

ブロリード決算

【決算ハイライト(第37期)】
資産合計: 2,244百万円 (約22.4億円)
負債合計: 185百万円 (約1.9億円)
純資産合計: 2,058百万円 (約20.6億円)

当期純利益: 416百万円 (約4.2億円)

自己資本比率: 約91.7%
利益剰余金: 2,008百万円 (約20.1億円)

【ひとこと】
自己資本比率91.7%という、ほぼ無借金経営を示す鉄壁の財務基盤にまず驚かされます。総資産22.4億円に対し、当期純利益が4.2億円と極めて高い収益性を誇り、20億円を超える利益剰余金の蓄積は、長年にわたる成功の証です。まさに「超優良企業」と呼ぶにふさわしい圧巻の決算内容です。

【企業概要】
社名: 株式会社ブロリー
設立: 1988年6月1日
株主: 株式会社サカタのタネ(100%)
事業内容: ブロッコリーに特化した品種改良(育種)、および種子の生産・販売。

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【事業構造の徹底解剖】
株式会社ブロリードの強さは、徹底した「専門特化」戦略と、親会社との強力なシナジーにあります。

✔主要事業1:ブロッコリーの育種(品種改良)事業
同社の価値創造の源泉は、ブロッコリーの新品種を開発する育種事業です。農家が求める「作りやすさ(耐病性、作業性)」、流通・小売が求める「見た目の美しさ(アントシアンレス※低温で紫にならない品種)」、そして消費者が求める「美味しさ」といった、様々なニーズに応える品種を、長年の交配と選抜を繰り返して生み出しています。「ファイター」や「すばる」といった代表品種は、全日本野菜審査会で受賞するなど高い評価を得ており、同社の技術力の高さを証明しています。

✔主要事業2:種子の生産・販売事業
開発した優良な品種の種子を高品質に生産し、市場に供給する事業です。同社は直接農家に販売するのではなく、親会社であるサカタのタネが持つ、全国の種苗店やJA(農協)といった強力な販売網を通じて製品を供給しています。これにより、ブロリードは育種と生産という自社の強みに経営資源を集中させることができています。

✔その他の事業や特徴など:「ブロッコリー専門」と「グループシナジー
同社の最大の独自性は、野菜全般ではなく「ブロッコリー」という一つの品目に経営資源を集中させている点です。これにより、世界でもトップクラスの専門知識と技術力を蓄積しています。そして、その技術力を最大限に活かせるのが、世界的な種子メーカーであるサカタのタネグループの一員であるという事実です。ブロリードはグループの「ブロッコリー開発・生産センター」として機能し、開発した品種をサカタのタネのグローバルな販売網に乗せることで、世界中の農家に届けることを可能にしています。


【財務状況等から見る経営戦略】
今回の決算数値と事業内容から、同社の経営戦略を外部環境と内部環境、そして財務安全性の観点から分析します。

✔外部環境
ブロッコリーは、その栄養価の高さと調理の手軽さから、世界的に需要が拡大している野菜です。一方で、農業生産の現場では、異常気象の頻発や新たな病害の発生など、常に多くの課題に直面しています。そのため、環境の変化に対応できる、より優れた品種へのニーズは尽きることがありません。種子業界は、グローバルな開発競争が激しい市場ですが、優れた品種は高い利益率を生む知的財産ビジネスの側面も持ち合わせています。

✔内部環境
4.2億円という高い当期純利益は、同社が開発した品種が、市場で絶大な支持を得ていることの証左です。優れた品種の種子は高い価格競争力を持ち、高収益率のビジネスを可能にします。利益剰余金が20億円以上積み上がっていることから、一過性ではない、継続的な成功を収めてきたことが分かります。サカタのタネグループの一員として、研究開発に専念できる環境が、この好循環を生み出している最大の要因でしょう。

✔安全性分析
自己資本比率91.7%という数値は、企業の財務安全性を測る上でこれ以上ないほど健全な状態を示しています。総資産22.4億円に対し、負債はわずか1.9億円。資産のほとんどを、過去の利益の蓄積である自己資本で賄っています。この鉄壁の財務基盤があるからこそ、一つの品種開発に10年以上の歳月がかかるとも言われる、長期的でリスクの高い育種研究に、外部環境に左右されずにじっくりと取り組むことが可能です。資産の大部分(20.5億円)が流動資産であることからも、キャッシュフローが潤沢な、極めて収益性の高い事業であることが見て取れます。


SWOT分析で見る事業環境】
これまでの分析を踏まえ、株式会社ブロリードの事業環境をSWOT分析で整理します。

強み (Strengths)
ブロッコリー育種における世界トップクラスの技術力と実績
・「ファイター」など、市場で高い評価を得ている多数の独自品種
自己資本比率91.7%という、ほぼ無借金の鉄壁な財務基盤
・親会社サカタのタネの強力な販売網とグローバルな研究開発ネットワーク

弱み (Weaknesses)
・事業がブロッコリーという単一品目に完全に依存しており、未知の病害などが発生した場合のリスク
・販売を親会社に依存しているため、グループ全体の戦略変更の影響を受けやすい

機会 (Opportunities)
・世界的な健康志向の高まりによる、ブロッコリー需要のさらなる拡大
・ゲノム編集技術など、新品種開発を加速させる新技術の登場
・気候変動に対応できる品種(耐暑性、耐乾性など)への需要増

脅威 (Threats)
・世界的な種子メジャー企業との熾烈な開発競争
・予期せぬ新たな病害の発生による、既存品種の価値低下
・優良品種の知的財産(種子)が海外で不正に流出・増殖されるリスク


【今後の戦略として想像すること】
SWOT分析を踏まえ、同社が今後どのような戦略を展開していくか考察します。

✔短期的戦略
まずは、既存の優良品種の安定生産・供給を継続し、親会社と連携して国内外でのシェアをさらに拡大していくことが基本戦略となります。また、潤沢な資金を活かし、最新の分析機器を導入するなど、育種研究の環境をさらに高度化させていくでしょう。

✔中長期的戦略
中長期的には、気候変動という世界的な課題に対応する品種開発が、さらに重要性を増してくると考えられます。例えば、猛暑に強い品種や、少ない水で育つ品種などを開発できれば、世界中の食料問題の解決に貢献する、極めて価値の高い知的財産となり得ます。サカタのタネグループのグローバルな研究拠点と連携し、世界各地の気候に適したブロッコリー品種を開発する、グループの「頭脳」としての役割がますます期待されます。


【まとめ】
株式会社ブロリードは、一般にはその名を知られていなくとも、日本の農業、ひいては世界の食卓を支える、まさに「隠れた巨人」です。その経営戦略は、「ブロッコリー一筋」という徹底した専門特化と、世界的企業であるサカタのタネグループの一員としての役割分担という、二つの要素が完璧に噛み合った、お手本のような成功事例と言えます。

第37期決算で示された91.7%という驚異的な自己資本比率と4億円を超える純利益は、一つのことを究めた専門家集団が生み出す価値の大きさを物語っています。これからも、三重の地から、気候変動や食料問題といった地球規模の課題に「品種改良」というアプローチで挑み続ける同社の、静かなる活躍から目が離せません。


【企業情報】
企業名: 株式会社ブロリー
所在地: 三重県津市安濃町田端上野1138
代表者: 代表取締役社長 柳原 忠信
設立: 1988年6月1日
資本金: 50百万円
事業内容: 野菜(ブロッコリー)の品種改良、野菜種子の生産及び販売
株主: 株式会社サカタのタネ

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