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#2423 決算分析 : 株式会社リハス 第13期決算 当期純利益 13百万円


高齢化社会が加速する現代の日本において、「医療」と「福祉」は私たちの暮らしを支える根幹です。病気や障がいを抱えても、住み慣れた地域で自分らしく生きたい、社会とつながりを持ち続けたい。これは多くの人にとって切実な願いですが、在宅での療養生活や障がいを持つ方の就労には、依然として多くのハードルが存在します。

もし、訪問看護で心身の健康をプロが支え、同時に就労支援を通じて社会参加や働く喜びを創出する、そんな一気通貫のサービスを提供する企業があったらどうでしょうか。

今回は、石川県金沢市で創業し、「医療」と「福祉」を両輪に独自の事業モデルを構築、全国へと急拡大する株式会社リハスの第13期決算を分析。「真のQOL向上」を理念に掲げ、社会課題の解決に真正面から挑む同社のビジネスモデルと成長戦略に迫ります。

リハス決算

【決算ハイライト(第13期)】
資産合計: 1,250百万円 (約12.5億円)
負債合計: 871百万円 (約8.7億円)
純資産合計: 378百万円 (約3.8億円)

当期純利益: 13百万円 (約0.1億円)

自己資本比率: 約30.2%
利益剰余金: 128百万円 (約1.3億円)

総資産は約12.5億円に達しており、事業が急速に成長・拡大している様子がうかがえます。自己資本比率は約30.2%と、成長のための投資を行いながらも、企業の安定性の目安とされる30%台を維持しています。当期純利益が13百万円に留まっているのは、ウェブサイトからも読み取れる全国への拠点展開など、未来の成長に向けた先行投資が積極的に行われている結果と推測されます。現在は利益の最大化よりも事業規模の拡大を優先する戦略的フェーズにあると言えるでしょう。

企業概要
社名: 株式会社リハス
設立: 2012年
事業内容: 訪問看護リハビリテーションを提供する「在宅医療事業」と、障がいを持つ方のための就労継続支援(A型・B型)・就労移行支援を手掛ける「障がい者就労支援事業」を二本柱として展開。

rehas.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社のビジネスモデルは、「医療」と「福祉(就労支援)」という二つの専門領域を分断せず、有機的に連携させることで、利用者の人生を多角的にサポートする点に最大の特徴があります。

✔在宅医療事業
訪問看護・リハビリステーション「リハス」を運営しています。看護師や理学療法士作業療法士といった国家資格を持つ専門職が利用者の自宅を訪問し、病状の管理、医療的ケア、日常生活動作のリハビリなどを提供します。高齢者はもちろん、小児、精神疾患、終末期(ターミナルケア)まで、幅広い対象者と多様なニーズに対応できる体制を構築しています。

障がい者就労支援事業
障がいを持つ方々の「働きたい」「社会の役に立ちたい」という想いを実現するための事業です。一般企業への就職を目指す「就労移行支援」、雇用契約を結んで働く「就労継続支援A型」、本人のペースに合わせた軽作業などを通じて社会参加を目指す「就労継続支援B型」という3つのサービスを提供しています。支援内容も、デザイン制作、農作業(農福連携)、清掃業務など多岐にわたり、一人ひとりの特性や希望に合った「働きがい」を創出しています。

✔事業間のシナジー(たす。かける。シナジー。)
同社の本質的な強みは、これら2つの事業が深く連携している点にあります。例えば、脳梗塞の後遺症で訪問リハビリを受けていた方が、心身機能の回復に伴い、同社の就労支援サービスを利用して再び働くことを目指す、といったシームレスな支援が可能です。医療の視点と福祉の視点を併せ持つことで、単なる身体機能の回復に留まらない、利用者の「真のQOL(生活の質)向上」という高い理念を具現化しているのです。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
在宅医療・介護のニーズは、日本の高齢化に伴い今後も拡大の一途をたどります。また、共生社会の実現に向けた国策として障がい者の就労機会の創出が推進されており、両事業ともに成長市場であると言えます。一方で、この分野は専門人材の確保が事業成長の生命線であり、全国的な人材不足と採用競争の激化が大きな経営課題となっています。

✔内部環境
ウェブサイトで横浜、仙台、川崎など全国各地での事業所開設が告知されていることから、フランチャイズモデルなども活用し、スピーディーな全国展開を推し進めていることがわかります。この拡大戦略が、現在のバランスシート(BS)に表れています。新規事業所の開設には、人材採用費、教育研修費、設備投資などが先行して発生するため、一時的に利益を圧迫します。当期純利益が13百万円であるのは、まさにこの成長痛の現れであり、将来の収益源を確保するための戦略的な投資の結果と分析できます。

✔安全性分析
自己資本比率は約30.2%です。急速な事業拡大に伴い、設備投資や運転資金のための借入金が増加していると推測されますが、成長企業としては健全な財務バランスを保っています。負債の内訳を見ると、固定負債(約4.6億円)が流動負債(約4.1億円)を上回っており、事業所の開設など、長期的な視点での投資に資金を充当していることがうかがえます。約1.3億円の利益剰余金は、創業から着実に利益を蓄積し、それを成長の原動力として再投資してきた歴史を物語っています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・「在宅医療」と「障がい者就労支援」を両輪で展開する、競合の少ない独自の事業モデル。
・医療と福祉の連携による、利用者への包括的で質の高いサービス提供能力。
・全国へのスピーディーな拠点展開を可能にする事業拡大のノウハウ。
・「農福連携」など、地域社会とも連携した多様な就労機会の創出。

弱み (Weaknesses)
・事業の急拡大に、人材の採用・育成・定着が追いつかないリスク。
・多拠点化に伴う、サービス品質の標準化とガバナンス体制維持の難しさ。
・先行投資フェーズにあるため、現時点での収益性が低いこと。

機会 (Opportunities)
・高齢化の進展による、在宅医療・リハビリニーズの継続的な増大。
・共生社会の実現に向けた、障がい者の社会参加・就労に対する社会的要請の高まり。
SDGsサステナビリティ経営(SX)への関心の高まりによる、事業への追い風。

脅威 (Threats)
・看護師、療法士、福祉専門職など、医療・福祉分野における専門人材の全国的な獲得競争の激化。
介護保険制度や障害福祉サービス報酬の改定が、収益に直接的な影響を与えるリスク。
・成長市場であるがゆえの、他社の新規参入による競争の激化。

【今後の戦略として想像すること】
この分析を踏まえると、リハスは成長の踊り場を迎え、次の飛躍に向けた基盤固めと新たな展開を模索していくと考えられます。

✔短期的戦略
まずは、新規に開設した全国の拠点を早期に軌道に乗せ、黒字化させることが最優先課題となります。そのためには、採用活動のさらなる強化と同時に、本社や先行拠点に蓄積された運営ノウハウを効率的に移植する仕組みの構築が不可欠です。サービス品質を全国で高いレベルに維持・標準化することが、ブランド価値を高める上で極めて重要になります。

✔中長期的戦略
全国に張り巡らせた拠点網は、将来の大きな資産となります。このネットワークをプラットフォームとして、新たなサービスを展開することが可能です。例えば、蓄積された利用者の健康・就労データを活用した予防医療サービスの開発や、企業向けの障がい者雇用コンサルティング、健康経営支援など、BtoB事業への展開も視野に入ってくるでしょう。「医療×福祉」で培ったノウハウを、ひきこもり支援や生活困窮者支援といった、さらに広い社会課題の解決に応用していく可能性も秘めています。


【まとめ】
株式会社リハスは、単に医療サービスや福祉サービスを提供する企業ではありません。それは、医療と福祉の垣根を越え、病気や障がいを持つ一人ひとりが自分らしい人生を歩むことを包括的に支援する、新しい形の社会インフラを創造する企業です。第13期決算は、全国展開という大きな未来図に向けた先行投資のフェーズであることを示していました。

現在は、いわば成長のための「産みの苦しみ」の時期ですが、この挑戦の先に大きな飛躍が待っていることは想像に難くありません。日本の重要課題である医療・福祉分野において、社会課題の解決と事業の成長を両立させる先進的企業として、株式会社リハスの今後の動向から目が離せません。


【企業情報】
企業名: 株式会社リハス
所在地: 石川県金沢市広岡三丁目3番77号
代表者: 代表取締役 岩下 琢也
設立: 2012年1月11日
資本金: 9,010万円
事業内容: 訪問看護・リハビリステーション事業、障がい者就労支援事業、SX支援事業、研修事業

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