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#627 決算分析 : リーガルデータ株式会社 第7期決算 当期純利益 1百万円

企業の内部不正調査や情報漏えい対策を支援するリーガルテック・スタートアップ、リーガルデータ株式会社の第7期(2024年9月期)の決算公告が2025年1月24日に掲載されました。今回の公告からは、社会的に重要性が高まる分野で、特定の市場にフォーカスして事業を展開する同社の現状が見えてきます。

20240930_7_リーガルデータ決算

第7期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 3百万円 (約0.0億円)
負債合計: 0百万円 (約0.0億円)
純資産合計: 3百万円 (約0.0億円)
当期純利益: 1百万円 (約0.0億円)


今回の決算における最大の注目点は、当期純利益として1百万円(約0.0億円)を計上し、黒字化を達成したことです。資産合計は約0.0億円、負債合計は約0.0億円、純資産合計は約0.0億円となっています。利益剰余金は▲47百万円(約▲0.5億円)と依然としてマイナスですが、当期の利益計上により前期末から赤字幅が縮小しており、重要な転換点を迎えたことがうかがえます。

 

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
リーガルデータ株式会社は、近年重要性が増しているリーガルテック分野において事業を展開しています。 同社の公式ウェブサイトによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

 

リーガルテックツール「EASY Forensics」の開発・販売:

ITの専門知識がない担当者でも「社内で・簡単に・迅速に」デジタル調査を行えるツールを開発。特に情報セキュリティ体制が脆弱になりがちな中小企業をメインターゲットとし、PC使用状況の定期調査、個人情報ファイルの自動検出、退職者PCのデータ保全といった機能を提供しています。初期投資ゼロ、専門家不要、低コストという導入のしやすさを強みとしています。


リーガルサービス:

デジタル調査ツールだけでなく、専門家による電子証拠調査・開示サービス(フォレンジック調査)や、法務・コンプライアンス分野に特化した人材派遣事業も手掛けており、企業の法務・セキュリティ課題に対して多角的なソリューションを提供しています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第7期決算で当期純利益1百万円を計上し黒字転換を達成したことは、同社にとって極めて重要なマイルストーンです。これまでの研究開発や市場開拓への先行投資が実を結び、事業が本格的な収益化フェーズに入ったことを示唆しています。

 

この黒字化の背景には、主力製品である中小企業向けデジタル調査ツール「EASY Forensics」のサブスクリプション収益が、開発コストや販管費を上回るレベルまで成長したことがあると強く推察されます。サイバー攻撃や内部不正といったリスクへの意識が企業規模を問わず高まる中、専門家不在でも導入できる同社のソリューションが市場に受け入れられ、着実に顧客基盤を拡大してきた成果と言えるでしょう。

 

リーガルデータ株式会社が取り組む事業は、企業の信頼を根底から揺るがしかねない情報セキュリティという社会課題の解決に貢献するものです。特に、大企業に比べてリソースが限られる中小企業のセキュリティレベルを底上げする同社の取り組みは、サプライチェーン全体を守る上でも大きな意義を持ちます。

 

今回の黒字化達成は大きな前進ですが、貸借対照表上の利益剰余金は依然として▲47百万円のマイナスです。したがって、今後の最大の課題は「利益体質を継続・強化し、累積損失を一掃すること」にあります。単年度の黒字に満足することなく、安定的に利益を創出し、財務基盤を盤石にすることが次なるステップです。そのためには、「EASY Forensics」の新規顧客獲得を加速させると同時に、既存顧客の満足度を高めてチャーンレート(解約率)を低く抑えることが不可欠です。また、電子証拠調査や人材派遣といった他のリーガルサービスとのクロスセルを促進し、顧客単価を向上させる戦略も有効でしょう。

 

今後のマイルストーンとしては、まず利益剰余金のプラス転換が具体的な目標となります。さらにその先には、プロダクトの機能強化(AIを活用した脅威検知精度の向上など)、新たな市場(例えば特定の業界特化型プランなど)への展開、そして事業成長を加速させるための戦略的パートナーシップの構築などが考えられます。

 

リーガルデータ株式会社が、中小企業のセキュリティ対策におけるリーディングカンパニーへと飛躍していく今後の展開に、大いに期待が集まります。

 

企業情報
企業名: リーガルデータ株式会社
所在地: 東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町4F
代表者: 森田善明
事業内容: 中小企業向けに、専門家不要で簡単に導入できるデジタル調査ツール「EASY Forensics」の開発・販売。併せて、電子証拠調査や人材派遣などのリーガルサービスも提供し、企業のセキュリティ対策とコンプライアンス体制の構築を支援する。

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