東京、埼玉、千葉、神奈川で地域密着型の「かちどき薬局」を20店舗展開し、地域の健康を見守り続ける、かちどき薬品株式会社の第68期(令和7年3月31日現在)の決算公告が、令和7年5月23日付の官報に掲載されました。本記事では、その決算概要と、70年以上の歴史を持つ同社の事業内容について分析します。

第68期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 2,735百万円 (約27.4億円)
負債合計: 925百万円 (約9.3億円)
純資産合計: 1,810百万円 (約18.1億円)
当期純損失: 9百万円 (約0.1億円)
今回の決算では、当期純損失として9百万円が計上されました。しかし、特筆すべきは同社の盤石な財務基盤です。純資産合計は約18.1億円に達し、総資産に占める自己資本比率は約66.2%と極めて高い水準を誇ります。利益剰余金も1,711百万円(約17.1億円)と潤沢に積み上がっており、今回の小規模な損失は、同社の長年にわたる堅実な経営と安定性を揺るがすものではないと言えます。
事業内容と今後の展望(考察)
【事業内容の概要】
かちどき薬品株式会社は、1950年に「勝鬨橋」のたもとで創業した薬局をルーツに持つ、70年以上の歴史を誇る企業です。その事業の中核は、地域住民の健康を支える保険薬局「かちどき薬局」の運営です。
保険調剤事業: 東京を中心に神奈川、埼玉、千葉に20店舗の調剤薬局ネットワークを展開。医療機関からの処方箋に基づき、正確かつ安全な調剤を行うことを事業の根幹としています。
物販・健康サービス: 医薬品や健康食品、化粧品などの販売を通じて、治療だけでなく「予防」領域のニーズにも応えています。「顧客第一主義」の理念のもと、利用者の生涯にわたる健康サービスを提供することを目指しています。
メディパルグループとの連携: 2019年に医薬品卸大手である株式会社メディパルホールディングスの一員となっています。これにより、安定した医薬品供給や最新の医療情報の入手、経営ノウハウの活用など、グループのシナジーを活かした事業展開が可能となっています。
社訓に禅語の「我人に逢うなり」を掲げ、人と人との出会いを大切にする文化が根付いており、ロゴマークの「かえる」には「無事にかえる」という願いが込められるなど、独自の温かい企業文化も特徴です。
【財務状況と今後の展望・課題】
当期、9百万円の純損失を計上した背景には、薬局業界全体が直面する厳しい経営環境があると推察されます。定期的な薬価改定による利益率の低下圧力や、ドラッグストアなど他業態との競争激化、そして質の高いサービスを提供するための薬剤師の人件費上昇などが、収益を圧迫した要因として考えられます。
しかしながら、前述の通り、自己資本比率66.2%という極めて健全な財務基盤は、同社の大きな強みです。この安定性があるからこそ、目先の利益のみにとらわれず、企業理念である「顧客第一主義」や、社訓である「我人に逢うなり」の精神を大切にした、心のこもったサービスを追求し続けることができます。
今後の薬局業界では、単に処方箋通りに薬を渡すだけでなく、地域住民の健康を包括的にサポートする「かかりつけ薬局」としての機能がますます重要になります。代表挨拶にもある通り、「キュア(治療)とケア(予防)」の両面から利用者を支える「身近なヘルスケアアドバイザー」を目指すことが、今後の成長の鍵を握ります。
具体的な戦略としては、在宅医療への積極的な参画、複数の医療機関にかかっている患者の一元的な服薬管理、健康相談会の実施、そして予防医療に貢献する健康食品やサプリメントの提案強化などが挙げられます。
また、メディパルグループの一員であることも、今後の展開における大きなアドバンテージです。グループの持つ広範なネットワークやデジタル技術を活用し、オンライン服薬指導や電子処方箋への対応といったDX化を推進することで、業務効率と患者の利便性を両立させることが期待されます。
かちどき薬品は、長年の歴史で築いた地域からの信頼と、盤石な財務基盤、そしてメディパルグループという強力なバックボーンを持っています。厳しい事業環境の中でも、その理念をぶらすことなく、地域になくてはならない「かかりつけ薬局」としての価値を高めていくことで、今後も着実な歩みを続けていくことでしょう。
企業情報
企業名: かちどき薬品株式会社(メディパルホールディングスグループ)
所在地: 東京都中央区日本橋箱崎町17番8号 7山京ビル
代表者: 代表取締役社長 小林 正佳
事業内容: 保険調剤薬局の運営、医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品などの販売。
