福岡を拠点に、老舗オンラインゲームポータル「ハンゲ」や、”感性”をカタチにするアバターサービスなどを手掛けるcocone v株式会社。同社の第16期(2024年1月1日~2024年12月31日)の決算公告が、2025年4月1日付の官報に掲載されました。そこからは、安定した収益基盤を維持しつつ、未来の成長に向けて戦略的な投資を行う同社の現在の姿が浮かび上がってきます。

第16期 決算ハイライト
売上高: 2,895百万円 (約29.0億円)
営業損失: 89百万円 (約0.9億円)
経常損失: 92百万円 (約0.9億円)
当期純損失: 194百万円 (約1.9億円)
資産合計: 1,492百万円 (約14.9億円)
純資産合計: 812百万円 (約8.1億円)
第16期は、売上高約29億円を計上しました。これは、同社が運営する長寿サービスが引き続き多くのユーザーに支持されていることを示すものです。一方で、営業損失89百万円、当期純損失1.9億円を計上しており、新たな事業領域への挑戦や既存サービスの強化に向けた先行投資が積極的に行われた期であったことがうかがえます。財務面では、純資産を8.1億円確保し、自己資本比率も約54.4%と健全な水準を維持しており、将来の成長に向けた投資余力は十分にあると言えるでしょう。
事業内容と今後の展望(考察)
【事業内容の概要】
cocone vは、その前身であるNHNハンゲーム時代から続く長い歴史と、2019年に加わったココネグループの革新性を併せ持つユニークな企業です。
PCオンラインゲームプラットフォーム「ハンゲ」:
2000年のサービス開始から20年以上にわたり、日本のPCオンラインゲーム市場を牽引してきた老舗プラットフォーム。現在も70種類以上の多彩なゲームを提供し、多くのファンコミュニティの基盤となっています。
「感性をカタチに」するアバターサービス:
親会社であるココネグループが得意とするCCP(Character Coordinating Play)の思想を受け継ぎ、「利便性」や「機能性」だけでは測れない、ユーザーの自己表現やコミュニケーションを豊かにするサービスを展開。『ピュアニスタ』をはじめとするアバターアプリは、まさに同社のビジョン「感性をカタチに 感性を身近に」を体現しています。
多彩なオリジナルゲーム:
PCで長年愛されるMORPG『チョコットランド』や、おえかきコミュニケーションゲーム『あつまれ!おえかきの森』など、独自の世界観を持つオリジナルタイトルをPC・スマートフォンの両輪で開発・運営しています。
【業績の背景と事業フェーズの分析】
今期の決算は、同社が安定期から次なる成長を目指す「転換点」にあることを示唆しています。
安定収益源としての長寿サービス:
売上高29億円という数字は、一朝一夕に築けるものではありません。これは主に「ハンゲ」や『チョコットランド』といった長寿サービスが、長年にわたり築き上げてきた強固なユーザー基盤とコミュニティに支えられ、安定した収益を生み出していることの証左です。
損失の背景にある「未来への投資」:
一方で計上された1.9億円の当期純損失は、未来への布石と捉えるべきでしょう。その要因として、以下の3点が考えられます。
1.新規事業・タイトルへの開発投資
『チョコットスタジアム』のような新作ゲームの開発や、事業内容に掲げる「デジタルワールド事業」といった、次世代のサービス構築に向けた研究開発費が増加した可能性があります。
2.既存サービスの価値向上
長寿サービスを現代の市場環境やユーザーの期待に応え続けるためには、継続的なアップデートやイベント運営、サーバーインフラの維持・強化が不可欠であり、それに伴うコストが発生します。
3.マーケティングと人材獲得
新規ユーザーを獲得するためのプロモーション費用や、「世界一のクリエイティブ集団へ」というミッションを実現するための優秀な人材への投資も、先行的な費用として計上されていると推察されます。
【ココネグループとしてのシナジーと成長戦略】
2019年のココネグループ入りは、同社の歴史において極めて重要なマイルストーンです。このグループシナジーこそが、今後の成長を読み解く鍵となります。
アバターとコミュニティのDNA:
アバターで自己表現し、他者と繋がるという体験は、ココネグループが最も得意とする領域です。cocone vは、グループの持つ最先端のアバター技術やコミュニティ運営のノウハウを、自社が持つゲーム開発力やプラットフォーム運営力と融合させることで、他社にはないユニークなサービスを生み出していくでしょう。『ピュアニスタ』の運営は、その好例です。
「デジタルワールド」への挑戦:
同社が掲げる「デジタルワールド事業」は、単なるゲームに留まらない、アバターを中心としたメタバース空間の構築を目指すものと見られます。これはココネグループ全体が注力する戦略でもあり、cocone vは福岡の開発拠点として、その構想の実現に向けた重要な役割を担っていくことが期待されます。
グローバル市場への飛躍:
ココネグループは、東京、ソウル、ニューヨーク、エストニアに拠点を持ち、グローバル展開を加速しています。cocone vが開発・運営するサービスも、このグローバルなネットワークを活用し、世界中のユーザーに届けられる可能性があります。日本の「カワイイ」カルチャーを源流に持つアバターサービスは、海外でも高い受容性を持つと考えられます。
今回の決算における損失は、未来の大きな飛躍に向けた助走期間であることを示唆しています。財務基盤の安定性を保ちながら、戦略的な投資を継続し、既存のファンを大切にしつつ、新たなヒットサービスを創出できるか。福岡から世界へ、「感性」を届けるcocone vの冒険に、今後も注目が集まります。
企業情報
企業名: cocone v 株式会社
所在地: 福岡県福岡市博多区東比恵三丁目1番2号
代表者: 代表取締役 崔 童竣
事業内容: PCオンラインゲームプラットフォーム「ハンゲ」の運営、PC・スマートフォン向けオンラインゲームの開発・運営、アバターを用いたソーシャルネットワークサービスの企画・開発・運営など。ココネグループの一員として「感性」を軸としたサービスを展開。
沿革: 2009年にNHST Japanとして設立後、NHNハンゲームなど複数の商号変更を経て、2019年にココネグループに参画。2022年より現商号。