決算公告データ倉庫

決算公告を自分用に保管している倉庫。あくまでも、自分用です。引用する決算公告を除いて、内容の正確性/真実性を保証できない点はご容赦ください。


#11060 決算分析 : 株式会社五ヶ瀬ハイランド 第31期決算 当期純損失 29百万円(赤字)


日本最南端の天然雪スキー場をご存知でしょうか?宮崎県と熊本県の県境、九州山地の中央部に位置する「五ヶ瀬ハイランドスキー場」です。南国・宮崎にありながら、標高1,600m級の向坂山(むこうざかやま)の北斜面に位置するため、良質な雪質を誇り、九州各地からスキーヤーやスノーボーダーが集まります。
このスキー場と、併設する宿泊施設「ごかせ温泉 森の宿 木地屋」を運営しているのが、株式会社五ヶ瀬ハイランドです。
しかし、近年の暖冬による雪不足やレジャーの多様化など、スキー場経営を取り巻く環境は決して平坦ではありません。今回は、南国の奇跡とも言えるスキー場を守り続ける同社の第31期決算を読み解き、その厳しい財務状況と、地域観光の拠点としての再起に向けた課題を分析していきます。

五ヶ瀬ハイランド決算


【決算ハイライト(第31期)】

資産合計 16百万円 (約0.2億円)
負債合計 136百万円 (約1.4億円)
純資産合計 ▲119百万円 (約▲1.2億円)
当期純損失 29百万円 (約0.3億円)
自己資本比率 債務超過


【ひとこと】
純資産がマイナス1億1,900万円となっており、大幅な債務超過の状態です。当期純損失も2,900万円と赤字が継続しており、財務的には極めて厳しい状況にあります。自力での再建は困難なフェーズにあり、自治体等の支援や抜本的な構造改革が不可欠です。


【企業概要】
企業名: 株式会社五ヶ瀬ハイランド
事業内容: スキー場、宿泊施設、飲食店の運営

www.gokase.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は「観光レジャー事業」に集約されます。季節性の高いスキー場運営を核に、通年営業の宿泊施設で収益の平準化を図るビジネスモデルです。

✔スキー場運営事業(五ヶ瀬ハイランドスキー場)
日本最南端の天然雪スキー場として、初心者向けのパラダイスコースから上級者向けのダイナミックコースまで多彩なコースを提供しています。レンタルショップやレストランも直営しており、冬の五ヶ瀬町の観光の目玉です。

✔宿泊・温泉事業(ごかせ温泉 森の宿 木地屋[楽天トラベルで確認]
スキー場から車で約25分の場所にある宿泊施設です。「美人の湯」として知られる温泉や、地元の食材(ヤマメ、高千穂牛、山菜)を使った料理を提供し、スキー客だけでなく登山客やビジネス利用も取り込んでいます。

✔物販・飲食事業
施設内の売店で、特産品の「五ヶ瀬ワイン[Amazonで確認]」や「釜炒り茶」などを販売しています。また、夏期にはビアガーデンを開催するなど、地域住民の憩いの場としての機能も果たしています。


【財務状況等から見る経営環境】
第31期決算(2025年5月期)の数値を基に、同社の危機的な経営環境を分析します。

✔外部環境
スキー人口の減少に加え、暖冬による雪不足が深刻です。人工造雪機を稼働させるためのコスト(電気代、燃料費)が高騰しており、営業日数の確保と運営コストのバランスを取ることが年々難しくなっています。また、施設の老朽化も進んでおり、修繕費の増加も懸念材料です。

✔内部環境
BS(貸借対照表)を見ると、資産合計がわずか1,600万円しかありません。これは、スキー場やホテルの建物・設備といった主要資産を会社が保有しておらず、自治体(五ヶ瀬町)からの指定管理や賃借によって運営している可能性が高いことを示唆しています(「固定資産」が158万円と極端に少ないため)。一方、負債は1億3,600万円あり、その大半が流動負債(9,100万円)です。資金繰りは綱渡り状態と推測されます。

✔安全性分析
自己資本比率はマイナス730%超であり、完全な債務超過です。利益剰余金(累積赤字)は約1.7億円に達しています。通常の民間企業であれば存続が危ぶまれるレベルですが、地域経済への影響や雇用の維持という観点から、親会社(自治体等)の支援によって支えられている構図が見て取れます。


【SWOT分析で見る事業環境】
✔強み (Strengths)
「日本最南端の天然雪スキー場」という圧倒的な知名度とブランド力です。九州で本格的なスキー・スノボが楽しめる希少性は高く、福岡や熊本からのアクセスも悪くありません。また、温泉と宿泊施設をセットで提供できる点も強みです。

✔弱み (Weaknesses)
天候リスクへの脆弱性と、老朽化したインフラです。雪不足は営業日数に直結し、売上を激減させます。また、財務体質の悪化により、リフトや降雪機などの設備更新投資がままならない状況です。

✔機会 (Opportunities)
インバウンド需要とグリーンシーズンの活用です。雪を見たことがないアジア圏(台湾、タイなど)からの観光客誘致にはポテンシャルがあります。また、雲海の名所としても知られており、スキー以外の季節の観光資源化も期待できます。

✔脅威 (Threats)
気候変動の加速と人口減少です。温暖化が進めばスキー場としての存続自体が危ぶまれます。また、地元人口の減少は、スタッフ確保の難航や地域内消費の縮小に繋がります。


【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
徹底的な経費削減と、雪に頼らない集客イベントの強化です。SNS等を活用した低コストでのプロモーション(過去にはユニークなCMで話題になりました)を再開し、若年層の取り込みを図る必要があります。また、クラウドファンディング等で設備改修資金を募るなど、ファンを巻き込んだ支援体制の構築も有効かもしれません。

✔中長期的戦略
「スキー場一本足打法」からの脱却です。トレッキング、星空観察、高地トレーニングなど、四季を通じて楽しめるマウンテンリゾートへの転換が必要です。また、経営の持続可能性を確保するために、公設民営の枠組みを見直し、より民間活力を導入しやすい指定管理制度への移行や、広域連携による観光ルート開発なども検討すべきでしょう。


【まとめ】
株式会社五ヶ瀬ハイランドの第31期決算は、地方の観光第三セクターが抱える構造的な厳しさを浮き彫りにしました。しかし、五ヶ瀬ハイランドスキー場は、九州の冬のレジャー文化を支えてきた象徴的な存在でもあります。
赤字からの脱却は容易ではありませんが、南国の雪山という「奇跡」を守り抜くために、地域と企業が一体となった再生への挑戦が待たれます。


【企業情報】
企業名: 株式会社五ヶ瀬ハイランド
所在地: 宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町大字鞍岡4647番地171
代表者: 代表取締役社長 小迫 幸弘
資本金: 50,000千円
事業内容: スキー場、宿泊施設、飲食店の運営

www.gokase.co.jp

©Copyright 2018- Kyosei Kiban Inc. All rights reserved.