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#10446 決算分析 : 株式会社あつまる 第12期決算 当期純利益 56百万円


「働きがいのある会社」ランキングで数年連続1位を獲得し、福岡と東京を拠点に急成長を続ける企業をご存じでしょうか。
人口減少と少子高齢化が進む日本において、多くの企業が直面している「集客」と「採用」という二大課題。この難問に対し、単なるツール提供ではなく、企業のビジョンに踏み込んだコンサルティングで成果を出し続けているのが「株式会社あつまる」です。

同社は、従業員の幸福を追求する「個人ビジョン経営」を掲げながら、クライアント企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。今回は、2025年9月に公開された第12期決算公告の数値をもとに、その成長の裏側にある財務戦略とビジネスモデルの強さをコンサルタントの視点で紐解いていきます。

あつまる決算


【決算ハイライト(第12期)】

資産合計 590百万円 (約5.9億円)
負債合計 462百万円 (約4.6億円)
純資産合計 128百万円 (約1.3億円)
当期純利益 56百万円 (約0.6億円)
自己資本比率 約21.7%


【ひとこと】
まず注目すべきは、純資産128百万円に対し、当期純利益が56百万円という高い収益性です。自己資本利益率ROE)を簡易計算すると約40%を超えており、極めて効率的に利益を生み出しています。負債を活用しながら成長投資を行う、勢いのあるベンチャー企業特有の「攻めの財務構造」が見て取れます。


【企業概要】
企業名: 株式会社あつまる
事業内容: 集客コンサルティング、新卒採用コンサルティング

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【事業構造の徹底解剖】
同社のビジネスモデルは、「集客」と「採用」という企業の成長エンジンを、データとクリエイティブの両面から支援することにあります。具体的には、以下の2つの柱で構成されています。

✔集客コンサルティング事業
「あいまいな集客」からの脱却を掲げ、データに基づいたマーケティング戦略を提供しています。WEBサイト制作や広告運用にとどまらず、「マーケティングレポート」による現状分析と、「超あつまる会議」と呼ばれる定期コンサルティングを通じて、PDCAを高速で回す伴走型の支援を行っています。これにより、単発の施策ではなく、顧客企業の経営数値に直結する成果を創出しています。

✔新卒採用コンサルティング事業
「優秀な人材が採用できない」という中小・ベンチャー企業の悩みを解決する事業です。採用サイトや動画の制作だけでなく、採用計画の策定から説明会の運営支援までをトータルでサポート。自社が「働きがいのある会社」ランキングで上位に入賞し続けている実績そのものが強力なショーケースとなり、説得力のあるノウハウ提供を可能にしています。


【財務状況等から見る経営環境】
第12期決算の数値から、同社の経営環境と財務戦略を分析します。

✔外部環境
デジタルマーケティング市場は拡大を続けていますが、競合も激化しています。一方で、労働人口の減少により「採用難」は全業種で深刻化しており、採用ブランディングへの投資意欲は非常に高い水準にあります。同社はこの「採用×デジタル」の領域で確固たるポジションを築いており、市場の追い風を十分に受けていると言えます。

✔内部環境
財務面では、自己資本比率が約21.7%と、一般的な安定企業(40%目安)と比較すると低めに見えます。しかし、これは成長フェーズにある企業としては健全な範囲です。固定資産が約2.5億円計上されていますが、これは福岡(大名ガーデンシティ)や東京(GINZA SIX)へのオフィス移転に伴う内装設備や、自社プロダクト開発への投資と考えられます。
重要なのは「稼ぐ力」です。総資産約5.9億円の規模で年間56百万円の純利益を上げている点は、コンサルティングという知的集約型ビジネスならではの高収益性を証明しています。

✔安全性分析
流動比率流動資産÷流動負債)は約113%となっており、短期的な支払い能力に問題はありません。負債合計の約4.6億円は、積極的な事業拡大のための「前向きなレバレッジ」と捉えるべきでしょう。今後、利益の蓄積(内部留保)が進めば、自己資本比率は自然と上昇し、財務基盤はさらに盤石になっていくと予想されます。


SWOT分析で見る事業環境】
同社の戦略環境をSWOT分析で整理します。

✔強み (Strengths)
最大の強みは「自社での実践と実績」です。「働きがいのある会社」ランキングでの連続受賞や、自社の急成長自体が、提供するサービスの品質証明となっています。また、データ分析(左脳)とクリエイティブ(右脳)を融合させた提案力は、他社との明確な差別化要因です。

✔弱み (Weaknesses)
積極的な拠点展開と採用を行っているため、固定費(人件費・家賃)の負担が重くなる傾向があります。景気後退局面でクライアントが広告宣伝費や採用費を削減した際、損益分岐点が高い構造だと利益へのインパクトが大きくなるリスクがあります。

✔機会 (Opportunities)
地方企業のDX化はまだ始まったばかりです。福岡と東京を拠点に持つ同社は、首都圏の最新トレンドを地方へ、地方の成功事例を全国へと展開できるハブ機能を持っています。また、新規事業として立ち上げた「ReNestエンターテインメント」など、事業領域の拡張も新たな収益源となる可能性があります。

✔脅威 (Threats)
生成AIの普及により、Web制作や広告運用の自動化が進み、単純な作業代行の価値は低下していくでしょう。いかにAIには代替できない「戦略立案」や「人間味のあるブランディング」の価値を高められるかが鍵となります。


【今後の戦略として想像すること】
同社の短期・中期の戦略について、以下のように推測します。

✔短期的戦略
短期的には、2025年12月の東京本社銀座移転を機に、首都圏でのブランディングと営業攻勢を強化するでしょう。一等地へのオフィス移転は、優秀な人材の確保と、大手クライアントからの信頼獲得という二重の効果を狙った戦略的投資です。これにより、単価の高いコンサルティング案件の獲得を加速させることができると考えられます。

✔中長期的戦略
中長期的には、「100年企業」に向けた多角化が進むと予想されます。既存のマーケティング・採用支援に加え、エンターテインメントや教育など、人の心を動かす領域への進出が示唆されています。また、蓄積された膨大な成功事例データを活用した、SaaS型プロダクトの開発やAIソリューションの提供により、労働集約型から知識集約型へと収益モデルをさらに進化させていく可能性があります。


【まとめ】
株式会社あつまるは、単なるマーケティング会社ではありません。それは、自らが「ビジョン経営」を体現し、その熱量とノウハウを顧客に伝播させる「成長支援のパートナー」です。
第12期決算に見られる高い収益性と積極的な投資姿勢は、同社が現状に満足せず、さらなる高みを目指していることの表れです。テクノロジーとヒューマニティを融合させ、日本企業の経営課題に挑み続ける同社の次なる展開に、期待が高まります。


【企業情報】
企業名: 株式会社あつまる(ATSUMARU Inc.)
所在地: 東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 13F(東京本社)
代表者: 代表取締役社長 石井 陽介
資本金: 19百万円
事業内容: マーケティングコンサルティング事業(集客・新卒採用支援)

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