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#6795 決算分析 : ネットチャート株式会社 第19期決算 当期純利益 414百万円


ネットワークは、現代のビジネスや医療現場において「空気のように当たり前に存在するインフラ」となっています。しかし、その安定した通信環境を支えているのは、配線工事からセキュリティ設定、クラウド連携までを手掛ける高度な専門技術です。ネットチャート株式会社は、日本のネットワーク黎明期から業界を牽引してきたIIJの100%子会社として誕生し、現場力と自社製品開発力を兼ね備えた実行力の高い企業です。本記事では、第19期決算から見える堅実な経営基盤と事業特性を整理しながら、同社の今後の戦略を探っていきます。

ネットチャート決算

【決算ハイライト】
・資産合計:3,469百万円(約34.7億円)
・負債合計:1,979百万円(約19.8億円)
・純資産合計:1,491百万円(約14.9億円)

当期純利益:414百万円(約4.1億円)
自己資本比率:43.0%
・利益剰余金:1,381百万円(約13.8億円)

【ひとこと】
第19期の決算を見ると、資産規模約35億円に対して当期純利益414百万円という高い収益性が目を引きます。詳細な売上高は不明ですが、利益率の高さから効率的な事業運営が行われていると推察されます。また、自己資本比率43.0%、利益剰余金約13.8億円と安全性も高く、IIJグループの一員として盤石な財務基盤を維持しています。流動資産の多さから短期的な資金繰りにもしっかりと余裕があり、今後の設備投資や事業拡大を柔軟に進められる健全な状態にある企業といえます。

【企業概要】
企業名:ネットチャート株式会社
設立:2006年(平成18年)
株主:株式会社インターネットイニシアティブ(100%)
事業内容:ネットワーク構築・保守、セキュリティ機器販売、医療ICTソリューションの提供等

www.ncj.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、ICTインフラ構築を中心としたソリューション型ビジネスで構成されています。企業や医療機関、官公庁に対し、ネットワーク環境をワンストップで提供する点が大きな特徴です。

✔ネットワーク・セキュリティソリューション事業
LAN工事などの物理配線から、スイッチ・ルーター設定、Wi-Fi環境の構築まで一貫して対応する総合力が強みです。特に、自社開発の「IntraGuardian」シリーズは、持ち込み端末の不正接続を防ぐ教育・企業向けのセキュリティ製品として高い評価を獲得しています。さらにLANケーブルのツメ折れ問題を解消した「eco-patch」など、現場目線の独自商品開発も行っています。

✔ヘルスケア(医療ICT)事業
医療機関向けに、電子カルテや画像診断システムを支える高速ネットワークの設計・構築を提供しています。特に、遠隔画像診断インフラ「Cloud Radiology Service クララ」は、医療DXの推進と放射線科医不足の課題解決に寄与する重要なサービスです。IIJクラウド基盤との連携も強みとなり、高度で安定したシステム構築が可能です。

✔ファシリティ・BCPソリューション事業
オフィス移転に伴うレイアウト設計、内装・電源工事からIT機器の廃棄まで幅広く対応します。ネットワーク専門会社が手掛けることで、配線の美観や将来拡張性を考慮した設計が可能です。また、データバックアップや避雷針工事など、BCPの観点から企業の運営継続に寄与するサービスも展開しており、工事とITの両方を理解した事業体制は差別化要素となっています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
DXの加速により、企業のネットワーク負荷は増え続けています。GIGAスクール後の教育現場でも維持管理需要が拡大しており、さらに医療DXが国策で進むことから医療機関向け案件も増加が見込まれます。サイバー攻撃への危機意識も高まり、セキュリティ関連の投資意欲は今後も堅調と考えられます。

✔内部環境
流動資産約30億円という高い手元資金が特徴で、短期の資金需要にも十分対応できます。固定負債は約2.3億円と少なく、安全性の高い資本構成を維持しています。IIJグループとの協業により技術・営業面のメリットを享受しており、安定した受注基盤を確保しています。

✔安全性分析
自己資本比率43%、流動比率171%と非常に健全です。利益剰余金の厚みも大きく、財務リスクは低水準に抑えられています。負債構造を見る限り、実質的に無借金に近い状態で、長期的な経営安定性が評価できます。


SWOT分析で見る事業環境】
✔強み(Strengths)
IIJグループに属することで得られる信頼性と技術力
・IntraGuardianやeco-patchなど独自の自社製品
・医療ICT領域での高い専門性と構築実績
・工事からクラウドまで一気通貫で対応できる総合力

✔弱み(Weaknesses)
・IT・建設双方の人材不足に伴う人材確保の難しさ
・親会社IIJへの依存度が一定程度存在する点
・部材価格高騰や納期問題による原価影響

✔機会(Opportunities)
働き方改革に伴うオフィス再設計需要
・医療情報クラウド化を背景にした医療ICT需要の増加
・BYOD普及によるセキュリティ製品の拡販期待

✔脅威(Threats)
Wi-Fi 6E/7への移行に伴う技術陳腐化の速度
・巧妙化するサイバー攻撃による事故リスク
・人件費・資材費の高騰による収益圧迫


【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
直近では、Windows 10のサポート終了を契機としたPCリプレース案件が増加するため、LCMサービスやマスターレスキッティングの需要取り込みが重要になると考えます。また、オフィス回帰の流れを背景に会議室のWeb会議インフラ整備やWi-Fi最適化提案を強化し、単価向上につなげる動きが想定されます。

✔中長期的戦略
中長期的には、医療ICT分野の拡大が柱になると考えます。AI画像診断や地域医療連携ネットワークなど高度領域への対応が求められる可能性が高いです。また、環境配慮型製品の強化やIT機器リサイクル事業の整備により、SDGs対応を通じた企業価値向上を進める方向性が考えられます。


【まとめ】
ネットチャート株式会社は、IIJグループの技術基盤と現場力を掛け合わせることで、他社には真似しにくい総合的なICTインフラ企業へと成長してきました。約4億円の純利益と高水準の安全性は、変化が激しいITインフラ市場において大きな競争力を形成しています。自社製品と医療ICTという独自の強みを磨きつつ、DX・医療DX・オフィス刷新といった社会的な潮流を取り込むことで、今後も安定成長を続ける企業として注目されます。ネットワークという社会の基盤を支える存在として、今後も重要性は増していくと考えられます。


【企業情報】
企業名:ネットチャート株式会社
所在地:神奈川県横浜市港北区新横浜2-15-10 YS新横浜ビル
代表者:代表取締役社長 楠本 和弘
設立:2006年8月10日
資本金:55百万円
事業内容:ネットワーク構築・保守、関連機器販売
株主:株式会社インターネットイニシアティブ(100%)

www.ncj.co.jp

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