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#6783 決算分析 : 株式会社カシイ 第61期決算 当期純利益 100百万円


駅構内の案内サイン、マンションのバルコニー、戸建て住宅のカーポート。私たちが日常の中で何気なく目にし、利用している街中の設備の多くは、実は富山県に本社を置くメーカーによって作られています。サイン・エクステリア分野において、企画・開発から製造、施工までを一貫して手掛ける株式会社カシイは、創業60年以上の歴史を持ち、全国の大手サッシメーカーや鉄道会社から高い信頼を得ています。本記事では、同社の第61期決算を読み解きつつ、その堅実な財務体質や事業構造の強みについて詳しく解説していきます。

カシイ決算

【決算ハイライト(第61期)】
資産合計: 5,863百万円 (約58.6億円)
負債合計: 2,111百万円 (約21.1億円)
純資産合計: 3,753百万円 (約37.5億円)

当期純利益: 100百万円 (約1.0億円)
自己資本比率: 約64.0%
利益剰余金: 3,644百万円 (約36.4億円)

【ひとこと】
まず注目したいのは、自己資本比率が約64.0%と極めて高い水準にある点です。製造業は一定の設備投資を前提とする産業であり、負債依存度が高くなりがちですが、同社は豊富な内部留保と高い資本健全性を維持しています。特に利益剰余金は約36億円に達し、資本金1億円の30倍以上に積み上がっています。当期純利益も1億円規模を確保しており、長年にわたる堅実な経営姿勢と安定的な受注基盤が財務指標に如実に表れているといえます。

【企業概要】
企業名: 株式会社カシイ
設立: 1965年(昭和40年) ※創業は昭和32年
株主: 三協立山株式会社、日鉄物産株式会社 他
事業内容: サイン・エクステリア製品の企画開発・製造・販売・施工

www.kashii.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
✔エクステリア製品部門
同社の基盤となる事業であり、創業当時のスチール製バルコニー製造から発展し、現在はアルミ製のテラスやカーポート、デッキなど多様な製品を展開しています。中でも注目すべきは、大手建材メーカーへのOEM供給で、富山工場の高い生産力と品質管理が強固な事業基盤を築いています。

✔サイン・掲示板部門
駅や商業施設、官公庁で見かける案内サインや掲示板を製造する部門です。JR各社や東京メトロOsaka Metroなど、社会インフラを支える顧客を多数抱えており、耐久性や安全性への要求が高い領域で信頼を積み重ねています。

✔企画・施工一貫サービス
単に製品を提供するだけでなく、企画設計から現場施工までワンストップで対応できるのが同社の特徴です。自社に設計部門(二級建築士事務所)を持つため、特注案件やオーダーメイドにも柔軟に対応でき、顧客の細かなニーズに寄り添える点が競争優位につながっています。

✔ワンストップ生産体制
富山県内の広大な自社工場で、材料調達から加工・組立まで完結させる生産体制を持っています。これにより、小ロット多品種への対応や短納期案件の獲得が可能となり、高いコスト競争力を維持しています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
建設業界では資材価格高騰や物流費上昇が課題となっています。一方で、都市再開発の進展に伴うサイン需要、住宅リフォームによるエクステリア需要は底堅く推移しています。さらに公共交通機関の多言語化バリアフリー化推進により、サイン更新需要が継続的に発生しています。

✔内部環境
貸借対照表をみると、流動資産が約42億円と資産の大部分を占めており、非常に高い流動性を確保しています。また固定負債は約1.2億円と小規模で、設備投資を自己資金で賄える水準にあります。主要株主に大手企業が名を連ねている点も、調達面・販売面の安定性につながっています。

✔安全性分析
自己資本比率64.0%は製造業として極めて優秀な数値であり、財務安定性の高さを示しています。負債21億円に対し純資産は37.5億円と十分な資本余力があり、原材料高騰などのリスクにも耐性がある体制といえます。


SWOT分析で見る事業環境】
✔強み
・企画から施工まで一貫対応できる総合メーカー機能
・三協立山や日鉄物産など強力なパートナー企業との関係
・公共交通機関ゼネコンへの豊富な納入実績
自己資本比率64%に象徴される強固な財務基盤と富山工場の生産力

✔弱み
・原材料市況の変動によりコストが影響を受けやすい構造
OEM比率が高い場合、発注元の生産計画に依存するリスク

✔機会
・観光需要回復による案内サイン更新需要
・老朽インフラの改修・更新サイクルの本格化
・エクステリア市場における高付加価値製品ニーズの広がり

✔脅威
・建設業界における人材不足や施工キャパシティの制約
・エネルギー・物流コストの上昇による利益率低下
・住宅着工数減少による市場縮小リスク


【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
資材高騰への対応として、価格転嫁や製造プロセス効率化を進めると考えます。さらに小ロット多品種の生産体制を活かし、特注品や短納期案件を確実に取り込むことで、顧客満足度と単価上昇につなげる展開を進めると考えます。

✔中長期的戦略
環境配慮型素材を用いたサイン・エクステリア製品など、付加価値の高い製品開発を強化すると考えます。また財務基盤を活かし、省力化施工を実現するプレハブ製品への投資や施工ネットワークの強化を進め、工事込み受注比率を高める方向性が想定されます。


【まとめ】
株式会社カシイは、富山県を拠点に日本全国の街づくりを支えてきた企業です。華やかさはありませんが、駅のサインや住宅エクステリアなど、人々の生活に密接に関わる製品を手掛け、社会の安全性や利便性向上に貢献してきました。第61期決算にみられる高い自己資本比率や豊富な利益剰余金は、長年の確かな技術と顧客からの信頼によって積み上げられたものです。今後も安定した財務基盤とワンストップ体制を武器に、暮らしをより快適にするものづくりを着実に進めていく企業として期待されます。


【企業情報】
企業名: 株式会社カシイ
所在地: 富山県富山市新桜町6-24 COI富山新桜町ビル7階
代表者: 代表取締役社長 猫宮功也
設立: 1965年(昭和40年)10月
資本金: 100百万円
事業内容: サイン・エクステリア製品の総合メーカー(企画開発・製造・販売・施工)
株主: 三協立山株式会社、日鉄物産株式会社 他

www.kashii.co.jp

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