トイレットペーパーの芯を捨てる際に「もったいない」と感じたことはありませんか。オフィスで出る機密書類やラミネート紙など、リサイクルが難しい紙ゴミの行方に気を配ったことはありますか。コアレックス三栄株式会社は、独自技術で「芯なしトイレットペーパー」の普及を進めるだけでなく、難再生古紙のリサイクルも実現。静岡県富士宮市を拠点に、世界初の「ゼロ・エミッション製紙工場」など環境技術を駆使して循環型社会を牽引する同社の第63期決算から、その高収益ビジネスモデルと戦略を読み解きます。

【決算ハイライト(第63期)】
資産合計: 11,659百万円 (約116.6億円)
負債合計: 1,355百万円 (約13.6億円)
純資産合計: 10,304百万円 (約103.0億円)
当期純利益: 1,982百万円 (約19.8億円)
自己資本比率: 約88.4%
利益剰余金: 10,266百万円 (約102.7億円)
【ひとこと】
注目すべきは、自己資本比率約88.4%という圧倒的な財務安全性です。総資産約116.6億円に対して当期純利益約19.8億円、ROAは約17%と非常に高い収益性を誇ります。製紙業という装置産業でここまで効率的かつ健全な財務体質を築く企業は稀で、利益剰余金も100億円を超えています。長年の環境経営が経済的価値にも直結していることを示しており、サステナビリティと収益性の両立を体現している点が特筆されます。
【企業概要】
企業名: コアレックス三栄株式会社
本社所在地: 静岡県富士宮市安居山字上の原775番地の1
代表者: 代表取締役社長 黒崎 暁
事業内容: 製紙業(トイレットペーパー等の製造・販売)、古紙リサイクル事業
【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は「資源循環型製紙事業」に集約されます。原料回収から製造、再資源化まで一貫して行うことで、環境負荷を低減しつつ高収益を実現するビジネスモデルです。
✔難再生古紙のリサイクル技術
他社では処理が困難な「難再生古紙」を活用できる技術が同社の強みです。防水加工紙や金具付きファイル、機密書類などを分離・溶解し、トイレットペーパーに再生。安価で豊富な原料調達と、企業の廃棄物削減ニーズへの対応を両立させています。
✔ゼロ・エミッション工場の運営
東京工場をはじめとする同社工場は「ゼロ・エミッション」を実現。製造工程で出るペーパースラッジや廃プラスチックをエネルギーとして再利用し、排水も高度処理して循環利用。環境負荷低減とエネルギーコスト削減を同時に達成しています。
✔「芯なし」製品のパイオニア
「コアレックス」の名の通り、芯のないトイレットペーパーを開発・普及。廃棄物削減だけでなく、1ロールの長さを延ばすことで輸送効率を高め(CO2削減)、交換の手間も軽減。環境と利便性を両立させた製品力が強みです。
✔総合エンジニアリング企業としての出自
紙パルプ機械の自動制御機器メーカーとしてスタートした背景を持ち、自社で機械設計・改良が可能。これにより独自製造ラインの構築や高生産効率が可能となっています。
【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
SDGsへの関心の高まりにより、企業や自治体での環境配慮型製品の需要は拡大しています。一方、エネルギー価格の高騰は製造コスト増要因ですが、サーマルリサイクルによる自家発電などのエネルギー循環システムを有しており、耐性があると考えられます。
✔内部環境
固定資産8,490百万円は最新鋭工場設備への投資の結果であり、借入金をほぼ使わず自己資本で賄っています。固定負債は39百万円に留まり、無借金経営に近い状態です。これにより、環境対策や防災対策への先行投資が可能となっています。
✔安全性分析
流動資産2,896百万円に対し流動負債は1,316百万円で流動比率200%超。短期支払い能力は万全で、利益剰余金10,266百万円は純資産のほぼ全てを占め、内部留保を次の成長投資やリスク対応に活用する堅実経営が伺えます。
【SWOT分析で見る事業環境】
✔強み (Strengths)
・他社が真似できない「難再生古紙」のリサイクル技術とエンジニアリング力
・自己資本比率88.4%という強固な財務基盤と高収益性
・「芯なしトイレットペーパー」における高いブランド認知度とシェア
・大消費地に隣接した最新鋭生産拠点
✔弱み (Weaknesses)
・国内人口減少によるトイレットペーパー市場全体の縮小リスク
・古紙回収システムへの依存度が高く、市況や発生量変動の影響を受ける可能性
✔機会 (Opportunities)
・企業の環境意識向上による機密文書溶解処理やリサイクル製品購入需要増
・インバウンド需要回復による業務用製品消費拡大
・防災備蓄用「長巻トイレットペーパー」への注目度向上
✔脅威 (Threats)
・ペーパーレス化によるオフィス古紙発生量減少
・物流コスト上昇による配送費負担増
・大規模災害リスク(東京工場は高度な津波・耐震対策済み)
【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
エネルギーコストや物流費上昇への対応として、効率的な環境配慮型物流を推進すると考えます。地産地消や1ロール長巻製品の販売比率を高め、輸送効率向上を図るでしょう。また、オフィス向け機密書類リサイクルサービス拡販により、原料調達と顧客開拓を同時に進める戦略が想定されます。
✔中長期的戦略
「コアレックスサーキュラー」の輪を拡大し、自治体や他企業とのパートナーシップを強化すると考えます。単なる製紙メーカーではなく、地域の廃棄物処理と資源循環を担うインフラ企業としての地位を確立し、高度なリサイクルプラント技術を海外展開やエンジニアリング事業として外販する可能性もあります。
【まとめ】
コアレックス三栄株式会社は、製紙メーカーの枠を超えた「環境エンジニアリング企業」です。圧倒的な財務力と技術力に支えられ、廃棄物を資源に変えつつ環境を守り、利益を生むサステナビリティ経営の理想形を体現しています。今後も「にっぽんの暮ら紙」を支える黒子として、循環型社会のリーダーとして存在感を高め続けることが期待されます。
【企業情報】
企業名: コアレックス三栄株式会社
所在地: 静岡県富士宮市安居山字上の原775番地の1
代表者: 代表取締役社長 黒崎 暁
資本金: 38百万円
事業内容: 製紙業、古紙リサイクル事業
株主: JPコアレックスホールディングス株式会社