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#5843 決算分析 : 大阪ガス都市開発アセットマネジメント株式会社 第3期決算 当期純利益 31百万円

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Daigasグループ(大阪ガス)が、エネルギー事業に次ぐ経営の柱として、不動産事業を急速に拡大させています。特に、優良な自社開発物件(都市型賃貸マンション「Urbanex(アーバネックス)」シリーズなど)を外部の投資家資金を活用して運用・売却し、得られた資金で「次の開発」を行う「アセットリサイクル戦略」が加速しています。

その戦略の「司令塔」として、Daigasグループの不動産中核会社・大阪ガス都市開発(OGUD)の100%子会社として2022年に設立されたのが、大阪ガス都市開発アセットマネジメント株式会社です。今回は、設立から第3期を迎え、そのビジネスモデルが本格的に始動した同社の決算を読み解き、その強固な財務基盤と将来性に迫ります。

大阪ガス都市開発アセットマネジメント決算

【決算ハイライト(第3期)】
資産合計: 534百万円 (約5.3億円) 
負債合計: 15百万円 (約0.1億円) 
純資産合計: 519百万円 (約5.2億円)

当期純利益: 31百万円 (約0.3億円) 
自己資本比率: 約97.2% 
利益剰余金: 19百万円 (約0.2億円)

【ひとこと】
まず注目すべきは、設立3期目(2022年設立)にして、自己資本比率が97.2%という驚異的な高さです。これは、事業をほぼ無借金(負債0.15億円)の強固な財務基盤でスタートさせていることを示します。2023年9月からの投資法人REIT)の本格運用開始に伴い、当期純利益31百万円を確保し、設立以来の累積赤字(推計▲11百万円)を解消して利益剰余金19百万円の黒字化を達成しており、極めて順調な滑り出しと言えます。

【企業概要】
企業名: 大阪ガス都市開発アセットマネジメント株式会社 
設立: 2022年5月23日 
株主: 大阪ガス都市開発株式会社(100%) 
事業内容: 「大阪ガス都市開発プライベートリート投資法人」の資産運用(アセットマネジメント)業務。

www.ogam.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社のビジネスモデルは、自らが不動産を保有する「デベロッパー」とは異なり、不動産(資産)を「運用する」専門家集団、すなわち「アセットマネジメント会社(AM会社)」であるという点が最大の特徴です。

✔スポンサー(大阪ガス都市開発)の役割 
Daigasグループの不動産中核会社である親会社、大阪ガス都市開発(OGUD)が「スポンサー」として機能します。スポンサーは、都市型賃貸マンション「Urbanex」シリーズやオフィスビルなど、優良な不動産を開発・供給(創出)します。

✔当社の役割(資産運用会社) 
同社(大阪ガス都市開発アセットマネジメント)は、スポンサーが開発した優良物件を投資対象として組み入れるための「器(うつわ)」、すなわち「大阪ガス都市開発プライベートリート投資法人」を設立し、その運用(アセットマネジメント)を担います。

投資法人REIT)の仕組み 
大阪ガス都市開発プライベートリート投資法人」は、機関投資家など、限定された投資家から資金を集めます。そして、その集めた資金で、スポンサー(OGUD)から「Urbanex」などの優良物件を取得します。投資法人は、取得した物件から得られる家賃収入(インカムゲイン)から、同社に支払う「資産運用報酬(AMフィー)」や諸経費を差し引いた利益を、投資家に分配します。

✔当社の収益源 
同社の収益は、この投資法人REIT)から受け取る「資産運用報酬(AMフィー)」が全てです。REIT保有する不動産の資産残高(AUM)が増えれば増えるほど、同社のフィー収入も増加する、安定的なストック型ビジネスモデルです。

✔Daigasグループの「アセットリサイクル戦略」 
この仕組みにより、Daigasグループ全体としては、自ら開発した物件をREITに売却することで、開発投資資金を早期に回収(=開発利益の確定)できます。そして、その回収した資金を「次の開発」に回すことができます。この資本効率を最大化する「アセットリサイクル戦略」において、同社はまさに「核」となる役割を担っています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境 
不動産投資市場では、インフレヘッジ(資産防衛)の手段として、安定した家賃収入が期待できる「レジデンス(住宅)」セクターへの投資需要が極めて旺盛です。また、投資家が投資判断を下す上で、ESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮が不可欠となっており、物件の環境性能(グリーンビル認証など)が、投資の可否や資金調達コストを左右する重要な要因となっています。

✔内部環境 
同社が運用するREITは、まさにこのトレンドを捉えています。投資対象は、スポンサー(OGUD)が開発する「Urbanex」という、需要が堅調な都市型賃貸レジデンスが中心です。 さらに、DaigasグループのESG経営方針のもと、このREITは2025年1月時点で「保有する賃貸住宅の全物件でグリーンビル認証を取得」しており、ESG投資を重視する機関投資家に対して、極めて高い訴求力を持っています。

✔安全性分析 
第3期決算は、このビジネスモデルが、いかに「アセットライト(資産軽量型)」かつ「高収益性(高利益率)」であるかを示しています。 まず、自己資本比率は97.2%。資本金・資本剰余金(合計5億円)という潤沢な自己資本で事業をスタートしており、負債はわずか15百万円(流動負債のみ)。財務基盤は鉄壁です。 アセットマネジメント会社であるため、巨額の不動産(資産)そのものはREIT保有します。同社の資産(約5.3億円)は、主に運転資金(流動資産4.7億円)が中心であり、固定資産(60百万円)は非常に少なく、極めて「アセットライト」な経営です。 そして、2023年9月からのREIT運用開始に伴い、AMフィー収入が本格的に発生。設立3期目にして、当期純利益31百万円(30,523千円)を確保し、それまでの設立準備費用等(推計▲11百万円)を一気に解消し、利益剰余金19百万円の黒字化を達成。これは、ビジネスモデルが計画通りに収益化フェーズに入ったことを明確に示しています。

 

SWOT分析で見る事業環境】

強み (Strengths) 
・Daigasグループ(大阪ガス都市開発)という、関西屈指の強力なスポンサーが持つ信用力とブランド。 
・スポンサーが継続的に開発する、都市型賃貸レジデンス「Urbanex」という、優良な資産(物件)の安定的な供給パイプライン。 
自己資本比率97.2%という、ほぼ無借金の圧倒的な財務基盤。 
REIT保有全物件でグリーンビル認証を取得する、高いESG競争力。 
・アセットライト(AM事業)であり、高利益率が期待できるビジネスモデル。

弱み (Weaknesses) 
・設立3期目であり、REITの運用実績(トラックレコード)がまだ浅いこと。 
・収益源が、現在のところ「大阪ガス都市開発プライベートリート投資法人」からのAMフィーにほぼ100%依存している点。

機会 (Opportunities) 
機関投資家による、安定インカムを生む「レジデンス(住宅)」セクターへの根強い投資需要。 
・ESG投資の世界的拡大(DaigasグループのESG戦略と親和性が高い)。 
・スポンサー(OGUD)のさらなる開発強化による、REITの運用資産(AUM)拡大。

脅威 (Threats) 
・将来的な金利の本格的な上昇(→REITの資金調達コスト増、投資利回りの低下)。 
・不動産市況(特に賃貸市場)の悪化による、賃料下落や空室率上昇リスク。 
・他の不動産AM会社やREITとの、優良物件の取得競争および投資家資金の獲得競争の激化。

 

【今後の戦略として想像すること】
黒字化を達成した同社の当面の目標は、事業規模の拡大、すなわち「REITの運用資産残高(AUM)の拡大」です。

✔短期的戦略 
2024年8月には既に第2回増資と追加の物件取得を実行しており、今後もスポンサー(大阪ガス都市開発)からの優良物件の取得(パイプライン)を順調に実行していくことが最優先となります。AUMを拡大させることで、AMフィー収入を安定的に増やし、収益基盤(利益剰余金)をさらに盤石にしていきます。

✔中長期的戦略 
中長期的には、スポンサー開発物件に加え、Daigasグループの広範なネットワークを活用し、外部からの物件取得(第三者物件)も進め、REITポートフォリオの多様化と、さらなるAUM拡大を目指すことが予想されます。 また、Daigasグループならではの「エネルギー」×「不動産」(例:ZEH-M、カーボンニュートラル対応物件など)という、卓越したESG性能を最大の武器として、他のREITとの差別化を明確にし、ESG投資を重視する投資家からの資金をさらに呼び込んでいく戦略が期待されます。

 

【まとめ】
大阪ガス都市開発アセットマネジメント株式会社は、Daigasグループの不動産事業における「資本効率の向上(アセットリサイクル戦略)」を担う、極めて重要な「核」として設立された、アセット運用の専門家集団です。

設立3期目にして、自己資本比率97.2%という鉄壁の財務基盤を背景に、「大阪ガス都市開発プライベートリート投資法人」の運用を本格化させ、31百万円の当期純利益(黒字化)を達成しました。 今後は、強力なスポンサーが供給する「Urbanex」シリーズと、「全物件グリーンビル認証」という高いESG性能を両輪に、運用資産(AUM)を拡大させ、Daigasグループの成長と、投資家への価値ある投資機会の提供という、二つの使命を果たしていくことが期待されます。

 

【企業情報】
企業名: 大阪ガス都市開発アセットマネジメント株式会社 
所在地: 大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目2-16 
代表者: 代表取締役社長 岡本 明 
設立: 2022年5月23日 
資本金: 1億円 (100,000千円) 
事業内容: 不動産投資信託REIT)「大阪ガス都市開発プライベートリート投資法人」の資産運用業務(金融商品取引業投資運用業))、宅地建物取引業など。 
株主: 大阪ガス都市開発株式会社(100%)

www.ogam.co.jp

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