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#5828 決算分析 : 株式会社こうこく 第75期決算 当期純利益 169百万円

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私たちが日常目にする街路樹や公園の緑、安全な暮らしを支える山林の管理。こうした「緑」と「安全」は、誰かが専門的な技術をもって維持・管理することで成り立っています。特に、気候変動による豪雨や台風の増加、インフラの老朽化が社会問題となる中、その役割はますます重要になっています。

今回は、広島市に拠点を置き、昭和26年(1951年)の創業から70年以上にわたり、地域の緑化・造園から専門的な山林調査・伐採まで、幅広く手掛けてきた「株式会社こうこく」の決算を読み解きます。第75期決算で約1.7億円もの純利益を計上し、鉄壁とも言える財務基盤を築いている同社の、安定した経営の秘密と多角的なビジネスモデルをみていきます。

こうこく決算

【決算ハイライト(第75期)】 
資産合計: 1,670百万円 (約16.7億円) 
負債合計: 616百万円 (約6.2億円) 
純資産合計: 1,054百万円 (約10.5億円) 

当期純利益: 169百万円 (約1.7億円) 
自己資本比率: 約63.1% 
利益剰余金: 1,006百万円 (約10.1億円)

【ひとこと】 
まず注目すべきは、自己資本比率が63.1%という極めて健全な財務体質です。純資産が10億円を超える一方、負債合計はその6割程度に抑えられています。さらに、その純資産のほとんどが利益剰余金(10.1億円)で構成されており、長期間にわたり着実に利益を積み上げてきた老舗企業の強さが表れています。

【企業概要】 
企業名: 株式会社こうこく 
設立: 昭和26年6月29日 
事業内容: 緑化・造園工事、外構・植栽工事、山林調査・伐採、公園施設管理・運営など

www.e-kokoku.co.jp


【事業構造の徹底解剖】 
同社の事業は、単なる「造園業」に留まらず、「緑」を軸にしながらインフラ維持や施設運営までをカバーする、多角的かつ社会貢献性の高いポートフォリオで構成されています。

✔造園・緑化事業(公共・民間) 
同社の中核を成す事業です。公共分野では、都市公園、自然公園、道路緑化、河川空間の緑化など、インフラとしての「緑」の整備を担います。民間分野では、ビル、工場、発電所といった大規模施設の景観緑化から、個人邸の和風・洋風庭園、外構工事まで、幅広い顧客のニーズに応える設計・施工・管理を一貫して提供しています。

✔山林調査・管理事業 
これが同社の事業の大きな特徴の一つです。一般的な造園業と異なり、より専門性の高い「山林」の領域まで踏み込んでいます。ウェブサイトには「近接する工作物などの安全性を考慮した管理」と明記されており、これは電力会社の送電線網や、高速道路・鉄道といった交通インフラの安全を確保するため、周辺の樹木を調査・伐採する、極めて重要な役割(インフラ維持)を担っていると推測されます。

✔公園施設管理・運営事業 
「可部運動公園」や「海田総合公園」など、自治体からの指定管理者として公園施設の管理・運営を行っています。これは、工事のように一度きりの「フロー収益」ではなく、数年単位の契約に基づき安定した収益を生み出す「ストック収益」源となります。

✔その他関連事業 
緑化や土木に関連する付帯サービスとして、建物保守管理業や産業廃棄物の収集・運搬業も手掛けています。これにより、顧客の多様なニーズに対してワンストップで応えられる体制を構築しています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】 
✔外部環境 
同社を取り巻く事業環境は、複数の追い風と逆風が混在しています。 追い風としては、国土強靭化計画やインフラ老朽化対策による、公共事業の底堅い需要が挙げられます。また、近年のゲリラ豪雨や台風の激甚化により、山林保全、特にインフラ周辺の危険木伐採(倒木による停電や交通網の寸断を防ぐ)といった「防災・減災」ニーズは急速に高まっています。ESG経営の観点から、企業の工場緑化などへの投資も増加傾向です。

一方で、建設・土木業界共通の脅威として、熟練技術者の高齢化と若手入職者の不足、資材価格や燃料費の高騰、人件費の上昇が利益を圧迫する要因となっています。

✔内部環境 
こうした環境下で、第75期に169百万円という高水準の純利益を達成できたのは、同社のバランスの取れた事業ポートフォリオによるものと考えられます。公共工事(フロー)の安定受注に加え、社会的要請が高まる「山林管理」という専門領域が収益に貢献し、さらに「公園運営」というストック収益が経営基盤を支える構図がうかがえます。

✔安全性分析 
BS(貸借対照表)が示す財務の安全性は、特筆すべきレベルです。 総資産16.7億円に対し、純資産は10.5億円。自己資本比率は63.1%と、一般的な製造業や建設業の平均をはるかに上回る水準です。 さらに、利益剰余金が10.1億円に達していることは、創業以来の黒字経営の蓄積であり、強固な経営体力そのものです。 短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産 10.7億円 ÷ 流動負債 3.9億円)も約274%と極めて高く、資金繰りに関する懸念は皆無と言えます。この鉄壁の財務基盤こそが、公共事業の入札参加資格(経審)においても高く評価され、安定した受注につながる好循環を生んでいると考えられます。

 

SWOT分析で見る事業環境】 
強み (Strengths) 
自己資本比率63.1%、利益剰余金10億円超という盤石な財務基盤。 
・昭和26年創業という長い業歴に裏打ちされた、広島地域での豊富な実績と信用力。 
・造園(公共・民間)、山林管理、公園運営という、景気変動に強い多角的な事業ポートフォリオ。 
・インフラ維持に不可欠な「山林調査・伐採」という高度な専門技術とノウハウ。 
国土交通大臣許可(特)を保有し、大規模な公共工事も受注可能な技術・経営水準。 
・公園運営などのストック型ビジネスを有している点。

弱み (Weaknesses) 
・労働集約的なビジネスモデルであり、建設業界全体の人手不足や高齢化の影響を受けやすい。 
・事業エリアが広島市及び周辺地域に集中しており、当該地域の経済動向や災害リスクの影響を受けやすい。

機会 (Opportunities) 
・インフラ老朽化対策、国土強靭化政策による公共事業の継続的な需要。 
・気候変動対策(台風、豪雨)としての山林保全、危険木伐採ニーズの全国的な増大。 
カーボンニュートラルやESG投資の観点から、企業や自治体による緑化・環境整備需要の増加。 
指定管理者制度の活用による、ストック型収益(公園運営など)のさらなる拡大。

脅威 (Threats) 
・公共事業予算の変動、特に自治体の財政状況悪化による発注減のリスク。 
・入札における価格競争の激化。 
・燃料費、建設資材、人件費の継続的な高騰による利益率の圧迫。 
・深刻化する人手不足と、技術継承の課題。

 

【今後の戦略として想像すること】 
この盤石な財務基盤と専門性の高い事業を背景に、同社はさらなる成長と社会貢献の拡大を目指すと考えられます。

✔短期的戦略 
・インフラ維持事業の深耕: 社会的ニーズが急増している「山林調査・伐採」事業を強化し、電力会社、鉄道会社、NEXCO自治体(道路・河川管理者)などへのトップラインを強化します。専門技術を持つ企業として、防災・減災ソリューションの提供を前面に打ち出すことが予想されます。 
・ストック収益の拡大: 指定管理者としての公園運営のノウハウを活かし、管理施設の数を増やすとともに、民間企業(工場、ビル、商業施設)の年間緑地管理契約の獲得を推進し、安定収益の比率を高めます。 
・人材戦略: 160名の従業員の技術継承と、若手人材の確保・定着が最重要課題です。潤沢な資金を活かした処遇改善、DX(ドローンによる山林調査、管理業務のデジタル化)による生産性向上と職場環境の改善が鍵となります。

✔中長期的戦略 
・「防災・減災」ソリューション企業への進化: 山林管理のノウハウをさらに発展させ、土砂災害リスクのある地域の調査・対策工事や、治山事業など、より高度な防災分野への事業拡大を図ります。 
M&Aによる事業拡大: 10億円を超える利益剰余金(内部留保)を戦略的に活用し、同業他社(後継者不足に悩む企業など)や、関連サービス(産廃処理、測量、建物管理など)企業を買収することで、技術者の確保と事業エリア・規模の拡大を一気に進める可能性があります。

 

【まとめ】 
株式会社こうこくは、単なる造園会社ではありません。それは、都市の景観から山林の安全まで、地域の「緑」と「インフラ」を守る、広島になくてはならない社会基盤維持企業です。

第75期決算で示された自己資本比率63.1%、利益剰余金10億円超という圧倒的な財務の健全性は、70年以上にわたる堅実な経営と、時代(とき)のニーズに応え続けた技術力の賜物です。 気候変動やインフラ老朽化という社会課題が深刻化する現代において、「山林管理」という専門技術を持つ同社の役割は、ますます重要になるでしょう。これからも、その盤石な経営基盤を武器に、広島の「安全」と「豊かな緑」を守り続けることが期待されます。

 

【企業情報】
企業名: 株式会社こうこく 
所在地: 広島市安佐北区亀山7丁目9-45 
代表者: 代表取締役社長 栗栖 重久 
創立: 昭和26年6月29日 
資本金: 4,700万円 
事業内容: 緑化、造園工事の設計・施工・管理、外構、植栽工事の設計・施工、山林の調査・伐採・管理、公園施設の管理・運営、建物保守管理業、産業廃棄物の収集・運搬、その他

www.e-kokoku.co.jp

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