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#4399 決算分析 : 竹内セントラル株式会社 第63期決算 当期純利益 144百万円

私たちが毎日を過ごす住まい、オフィス、学校、病院。その空間が快適で、安全であることは、当たり前のようでいて、実は目に見えない様々な設備によって支えられています。夏は涼しく、冬は暖かい空気を届けるエアコン。蛇口をひねれば清潔な水が出て、使った水は適切に排出される給排水システム。そして、万が一の際に私たちの命を守るスプリンクラーなどの消防設備。これらの「建築設備」は、建物の血管や神経とも言える、生命線です。今回は、埼玉県草加市を拠点に、60年以上にわたり「人がやさしくなれる心地よい環境」を創造し続けてきた建築設備のプロフェッショナル、竹内セントラル株式会社の決算を分析。地域社会の快適と安全を支える、その堅実な経営と事業の強みに迫ります。

竹内セントラル決算

【決算ハイライト(第63期)】
資産合計: 1,587百万円 (約15.9億円)
負債合計: 556百万円 (約5.6億円)
純資産合計: 1,031百万円 (約10.3億円)

当期純利益: 144百万円 (約1.4億円)

自己資本比率: 約65.0%
利益剰余金: 1,011百万円 (約10.1億円)

【ひとこと】
まず注目すべきは、65.0%という極めて高い自己資本比率と、10億円を超える潤沢な利益剰余金です。長年にわたり地域に根差した堅実な経営を続け、強固な財務基盤を築き上げてきたことが明確に見て取れます。1.4億円を超える当期純利益も確保しており、高い収益性も兼ね備えた優良企業です。

【企業概要】
社名: 竹内セントラル株式会社
設立: 1962年8月29日
事業内容: 空気調和設備、給排水衛生設備、消防設備、建築工事、土木工事などの設計・施工

www.tk-central.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
竹内セントラル株式会社の事業は、建物の快適性と安全性を支える設備工事を核としながら、建築・土木分野までをカバーする、総合的なサービスで構成されています。

空気調和設備工事
事業の柱の一つであり、冷暖房や換気といった、人々が快適に過ごすための空間づくりを担います。一般住宅からオフィス、工場、学校、病院まで、多種多様な建物の特性に合わせて最適なシステムを設計・施工しています。「人がやさしくなれる心地よい環境」という企業理念が、最も色濃く反映される分野です。

✔給排水衛生設備工事
建物のライフラインである、給水、給湯、排水、ガス設備などを手掛けます。人々の健康で衛生的な生活を支える、社会に不可欠なインフラ工事です。草加市八潮市の指定工事事業者として、地域社会からの厚い信頼を得ています。

✔消防設備工事
スプリンクラーや消火栓など、人命と財産を守るための消防設備の設置も重要な事業です。法律で厳しく基準が定められている専門分野であり、確かな技術力が求められます。

✔建築・土木工事
同社の強みは、設備工事に留まらない点にあります。建築工事や土木工事の許可も有しており、建物の新築・改修から、近年では橋脚の耐震補強工事といった、より専門性の高いインフラ事業にも進出しています。これにより、顧客の多様なニーズにワンストップで応えられる総合力を有しています。


【財務状況等から見る経営戦略】
自己資本比率65.0%という鉄壁の財務は、同社の安定した事業環境と堅実な経営戦略の賜物です。

✔外部環境
建設業界、特に設備工事分野は、新規建設だけでなく、既存の建物の改修・リニューアルという安定した需要が存在します。高度経済成長期に建てられた多くの建物が更新時期を迎えており、省エネルギー性能の高い空調設備への更新や、老朽化した給排水管の改修といった市場は今後も拡大が見込まれます。また、頻発する自然災害への備えとして、橋脚の耐震補強など防災・減災関連の公共事業も、安定した事業機会となっています。

✔内部環境
同社は、管工事、建築工事、電気工事など、複数の分野で埼玉県の特定建設業許可を取得しています。これにより、大規模なプロジェクトを元請けとして受注できるだけでなく、顧客に対して「設備も建築も一括で任せられる」という利便性を提供でき、これが大きな競争優位性となっています。1962年の創業以来、60年以上にわたって埼玉県南東部という地域に密着し、築き上げてきた実績と信頼が、安定した受注基盤の源泉です。

✔安全性分析
自己資本比率65.0%は、建設業としては極めて高い水準であり、経営の安定性は抜群です。これは、事業から得た利益を安易な投資に回すことなく、着実に内部留保(利益剰余金は約10億円)として蓄積してきた堅実な経営姿勢の表れです。短期的な支払い能力を示す流動比率も約221%と非常に高く、資金繰りにも全く不安がありません。この強固な財務基盤があるからこそ、公共事業などの大規模案件にも安心して取り組むことができ、景気の波にも揺るがない安定経営を実現しています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率65.0%という、業界トップクラスの強固な財務基盤
・60年以上にわたる歴史と、地域社会からの厚い信頼
・管工事から建築、土木までを網羅する、ワンストップ対応が可能な総合力
・埼玉県からの特定建設業許可や一級建築士事務所登録など、高い技術力の客観的な証明

弱み (Weaknesses)
・事業エリアが埼玉県南東部が中心であり、地域経済の動向に業績が左右されやすい
・建設業界共通の課題である、技術者の高齢化と若手人材の確保

機会 (Opportunities)
・既存建築物の老朽化に伴う、リニューアル・メンテナンス市場の継続的な拡大
・省エネや脱炭素への関心の高まりによる、高効率な空調・衛生設備への更新需要
・「国土強靱化」を背景とした、橋脚耐震補強などの防災関連工事の増加

脅威 (Threats)
・公共事業、民間事業における入札・受注競争の激化
・建設資材価格や人件費の高騰による、利益率の圧迫
・建設業界全体での深刻な人手不足による、施工能力の制約


【今後の戦略として想像すること】
強固な経営基盤を持つ竹内セントラルは、その総合力を活かして、時代のニーズに対応した事業展開を進めていくと考えられます。

✔短期的戦略
引き続き、草加市八潮市を中心とした地域に密着し、公共施設(学校、市庁舎など)や民間施設(工場、マンションなど)の改修・リニューアル工事を安定的に受注していくことが基本戦略となるでしょう。「設備のことなら竹内セントラルに任せれば安心」という地域でのブランドをさらに強固なものにしていきます。

✔中長期的戦略
環境への配慮という社会的な要請に応え、省エネルギー性能の高い空調・給湯システムの提案など、「グリーン化」をキーワードにした高付加価値な設備工事に注力していくことが予想されます。また、橋脚耐震補強工事で培ったノウハウを活かし、他のインフラメンテナンス分野へ事業を拡大していく可能性も秘めています。そして、持続的な成長のためには、次世代を担う技術者の採用と育成が最重要課題として取り組まれるはずです。


【まとめ】
竹内セントラル株式会社は、単なる工事会社ではありません。それは、「人がやさしくなれる心地よい環境」という理念のもと、建物の隅々にまで快適と安全という血液を送り込む、社会に不可欠な存在です。60年以上の歴史の中で築き上げた地域からの信頼と、65%という高い自己資本比率に支えられた盤石の経営基盤。その両輪を武器に、同社はこれからも埼玉の街と人々の暮らしを支え続けます。建物のリニューアルやインフラの長寿命化がますます重要となるこれからの時代、竹内セントラルの果たす役割は、さらに大きなものとなっていくことでしょう。


【企業情報】
企業名: 竹内セントラル株式会社
所在地: 埼玉県草加市氷川町2112番地6
代表者: 代表取締役社長 前田 富夫
設立: 1962年8月29日
資本金: 2,000万円
事業内容: 空気調和設備、給排水衛生設備、消防設備、浄化槽設備、建築工事、土木工事の設計施工

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