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#4130 決算分析 : 株式会社ロカリオ 第13期決算 当期純利益 56百万円

優れた商品やサービスを持ちながらも、その魅力をどう伝えればいいか分からない。多くの地方企業や中小企業が抱える、マーケティングの課題です。大企業のように潤沢な広告予算や専門部署を持てないため、デジタルの世界で顧客と繋がる機会を逃しているケースは少なくありません。この課題に対し、国内トップクラスのノウハウを携えて、真正面から向き合う専門家集団がいます。

今回は、博報堂DYグループのデジタルエージェンシー・アイレップから生まれ、地方・中小企業のWeb広告支援に特化する「株式会社ロカリオ」の決算を分析します。「地方の良さを、デジタルを通じて全国に届ける」という熱い想いを胸に、全国に拠点を広げる同社の、極めて健全な財務内容と、その独自のビジネスモデルに迫ります。

ロカリオ決算

【決算ハイライト(第13期)】
資産合計: 639百万円 (約6.4億円)
負債合計: 227百万円 (約2.3億円)
純資産合計: 413百万円 (約4.1億円)

当期純利益: 56百万円 (約0.6億円)

自己資本比率: 約64.6%
利益剰余金: 313百万円 (約3.1億円)

【ひとこと】
まず驚くべきは、自己資本比率が約64.6%という、鉄壁とも言える財務の健全性です。実質的に無借金経営であり、極めて安定した経営基盤を誇ります。当期純利益も堅調に確保し、3億円を超える利益剰余金を蓄積していることからも、同社のビジネスモデルが、持続可能かつ高収益であることが証明されています。

【企業概要】
社名: 株式会社ロカリオ
設立: 2012年12月3日
事業内容: 中堅・中小及び地方企業に特化したデジタルマーケティング支援(リスティング広告・ソーシャル広告の代理店事業)

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【事業構造の徹底解剖】
株式会社ロカリオの事業は、デジタルマーケティングの恩恵を、日本全国の中小・地方企業に届けることに集約されます。その根幹には、日本最大級の広告グループの知見があります。

✔運用型広告代理店事業
同社の事業の中核です。GoogleYahoo!の検索結果に表示される「リスティング広告」や、InstagramFacebookなどの「ソーシャル広告」の運用を、クライアント企業に代わって行います。単に広告を出稿するだけでなく、誰に、どんなメッセージを、いくらの予算で届けるかという戦略立案から、広告クリエイティブ(バナーなど)の制作、日々の効果測定と改善までを一気通貫で支援します。

✔中小・地方企業への特化
同社の最大の特徴は、そのターゲット顧客です。多くの大手広告代理店が、大規模予算を持つ大企業を主な対象とするのに対し、ロカリオは明確に「中堅・中小及び地方企業」に特化しています。これにより、地域ごとの市場特性や、限られた予算の中で最大の効果を出すための独自のノウハウを蓄積しています。北海道から九州まで全国9箇所に営業拠点を置くことで、地域に密着した手厚いサポートを可能にしています。

✔その他の特徴など
同社の揺るぎない強みは、その出自にあります。「博報堂DYグループ」であり、運用型広告で国内トップシェアを誇る「株式会社アイレップ」から生まれた専門企業である点です。これにより、ロカリオは、アイレップが長年培ってきた最先端の広告運用ノウハウ、独自の分析ツール、そしてGoogleYahoo!といったメディアとの強固なパートナーシップを、中小・地方企業のクライアントのために活用することができます。まさに、「日本トップクラスの実力を、地域のために」を実践している企業です。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
企業のマーケティング活動において、デジタル広告の重要性はますます高まっています。特に、費用対効果を細かく測定できる運用型広告は、予算が限られる中小企業にとって、極めて有効な手段です。このデジタルシフトの大きな潮流は、同社にとって強力な追い風となっています。一方で、広告代理店事業への参入障壁は低く、競争は常に激しい環境にあります。

✔内部環境
同社のビジネスモデルは、広告運用の専門知識を持つ「人(コンサルタント)」が資産となる、知識集約型のサービス業です。収益は、クライアントが投下する広告費の一部を、運用手数料として得ることで成り立っています。このモデルで成功するためには、クライアントの広告効果を最大化させ、長期的な信頼関係を築くことが不可欠です。アイレップグループのノウハウを活用できることは、サービスの品質を担保し、顧客満足度を高める上で大きな内部的強みとなっています。

✔安全性分析
自己資本比率が約64.6%という数値は、企業の財務安全性を語る上で、これ以上ないほどの強みです。総資産約6.4億円のうち、負債はわずか2.3億円。事業活動の大部分を、返済不要の自己資本で賄っている、実質的な無借金経営です。
短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産÷流動負債)も約2.7倍(608百万円 ÷ 227百万円)と非常に高く、資金繰りに関する懸念は皆無と言えます。資本金と資本準備金を合わせた約1億円の元手から、10年余りで3億円を超える利益剰余金を積み上げてきた事実は、同社が創業以来、一貫して高い収益性を維持し、その利益を堅実に内部に留保してきた、極めて優れた経営手腕の証明です。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
アイレップ博報堂DYグループが持つ、国内トップクラスの広告運用ノウハウとブランド力
自己資本比率64.6%を誇る、鉄壁とも言える無借金経営の財務基盤
・中小・地方企業という、専門性が活きる明確なターゲット市場への特化
・全国をカバーする営業拠点網による、地域密着型のサポート体制

弱み (Weaknesses)
・事業の成長が、採用・育成できる優秀なコンサルタントの数に制約される労働集約的な側面
・中小企業クライアントの景気変動による広告予算削減の影響を受けやすい可能性

機会 (Opportunities)
・日本全国に存在する、デジタルマーケティング未着手の中小・地方企業という巨大な潜在市場
・広告運用だけでなく、SEOやWebサイト制作、CRM導入支援など、提供サービスの多角化
・グループの技術力を活かした、中小企業向けの廉価なマーケティングツールの開発・提供

脅威 (Threats)
ウェブ広告代理店業界の熾烈な競争
プラットフォーマーGoogle、Metaなど)による、広告アルゴリズムの急な変更
・AIの進化による、広告運用の自動化と、代理店の役割の変化


【今後の戦略として想像すること】
この盤石な事業・財務基盤を持つロカリオの今後の戦略を考察します。

✔短期的戦略
引き続き、全国の営業拠点をハブとして、各地域でのシェアを拡大していくことが基本戦略となります。セミナーやウェビナーを積極的に開催し、地域の企業経営者に対してデジタルマーケティングの重要性を啓蒙することで、新たな顧客を獲得していくでしょう。また、広告運用だけでなく、ランディングページ制作やSEOといった周辺サービスを組み合わせた、包括的な提案を強化していくと考えられます。

✔中長期的戦略
「地方・中小企業のDXパートナー」としての地位を確立することが、大きな目標となるでしょう。広告運用という入口から、クライアントの事業全体のデジタル化を支援する、より上流のコンサルティング領域へとサービスを拡大していく可能性があります。また、グループの技術力を背景に、中小企業でも手軽に導入できる独自のマーケティング支援ツール(SaaS)を開発・提供できれば、労働集約的な代理店モデルからの飛躍も期待されます。


【まとめ】
株式会社ロカリオは、「地方を元気にしたい」という熱い想いを、日本トップクラスのデジタルマーケティング力で実現する、ユニークな立ち位置の企業です。大手広告代理店グループの一員でありながら、その巨大なノウハウを、これまで光が当たりにくかった中小・地方企業のために惜しみなく提供しています。

その誠実な事業は、自己資本比率64.6%という驚異的な財務の健全性となって、見事に結実しています。ロカリオは、単なる広告代理店ではありません。それは、日本の隅々にまでデジタルの力を届け、地域経済の活性化を後押しする、社会的な意義の大きな存在です。これからも、多くの地方企業にとって、頼れる”羅針盤”であり続けることでしょう。


【企業情報】
企業名: 株式会社ロカリオ
所在地: 東京都港区赤坂6-2-4 S-GATE赤坂4F
代表者: 辻 純也
設立: 2012年12月3日
資本金: 4,980万円
事業内容: 中堅・中小及び地方企業向けデジタルマーケティング支援。リスティング広告、ソーシャル広告(SNS広告)の運用代行を主軸とする広告代理店事業。博報堂DYグループの株式会社アイレップの子会社。
株主: 株式会社アイレップ

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