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#3988 決算分析 : 日本ビルド株式会社 第41期決算 当期純利益 450百万円

郊外のロードサイドに立ち並ぶ、おなじみのチェーン店や商業施設。私たちが普段利用するこれらの便利な場所は、実は、土地の選定から企画・建設、そして有力なテナントの誘致まで、複雑なプロセスを経て生み出されています。今回は、この商業施設の開発・再生を専門に手掛ける「プロデューサー」であり、金融や地方創生など多岐にわたる事業を展開するISホールディングスグループの中核を担う、日本ビルド株式会社の決算を読み解き、街の賑わいを創出するビジネスの最前線に迫ります。

日本ビルド決算

【決算ハイライト(41期)】
資産合計: 11,442百万円 (約114.4億円)
負債合計: 7,359百万円 (約73.6億円)
純資産合計: 4,082百万円 (約40.8億円)

当期純利益: 450百万円 (約4.5億円)

自己資本比率: 約35.7%
利益剰余金: 3,525百万円 (約35.3億円)

【ひとこと】
自己資本比率が35.7%と、多額の不動産を保有する企業として非常に健全な財務基盤を維持しています。35億円を超える巨額の利益剰余金を背景に、当期も4.5億円という高い純利益を確保。長年にわたる安定した高収益ビジネスが確立されている、優良企業です。

【企業概要】
社名: 日本ビルド株式会社
設立: 1984年8月
株主: 株式会社ISホールディングス (100%)
事業内容: 商業施設を中心とした、不動産投資事業、賃貸事業、建設事業

www.nbld-dev.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、商業施設の企画・開発から建設、そして完成後の運営・管理まで、不動産の価値を最大化するための一連のプロセスを、ワンストップで提供できる点に最大の強みがあります。

✔建設事業
商業施設の企画から設計・施工までをトータルでプロデュースします。土地を有効活用したいオーナーのために新たな施設を建設するだけでなく、既存の古い商業施設を、時代のニーズに合わせて改築(リノベーション)し、新たな価値を吹き込む「再生プロジェクト」も数多く手掛けています。

✔賃貸事業(テナントリーシング)
同社の事業の核となるのが、開発・再生した商業施設に、魅力的なテナントを誘致し、賃貸する事業です。ウェブサイトに記載されている取引実績には、イオン、セブン-イレブンニトリ日本マクドナルドなど、日本を代表するナショナルチェーンがずらりと並びます。こうした有力テナントを惹きつけるリーシング能力が、施設の価値を決定づけ、安定した賃料収入の源泉となっています。

✔不動産投資事業
自らがデベロッパーとして商業施設を開発・保有するだけでなく、そうして価値を高めた不動産を、信託受益権などの金融商品として投資家へ販売する事業も展開。これにより、開発した資産を流動化させ、新たなプロジェクトへの再投資を可能にする、効率的なビジネスサイクルを構築しています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
Eコマースの台頭により、小売業界の環境は大きく変化していますが、スーパーマーケットやドラッグストア、飲食店といった、日常生活に密着したロードサイドの商業施設への需要は依然として底堅いものがあります。一方で、施設の老朽化は全国的な課題となっており、同社が得意とする「再生プロジェクト」の市場は、今後も拡大が見込まれます。

✔内部環境
最大の強みは、ISホールディングスグループの一員であることです。これにより、大規模な開発プロジェクトを推進するための強力な資金調達力と信用力を確保しています。また、1984年の設立以来、40年以上にわたって築き上げてきた、大手テナント企業との強固な信頼関係は、他社が容易に模倣できない参入障壁となっています。このネットワークこそが、同社の「リーシング力」の源泉です。

✔安全性分析
自己資本比率が35.7%というのは、92億円もの固定資産(主に不動産)を保有する企業として、非常に健全で安定した財務水準です。過度な借入に頼ることなく、バランスの取れた資金調達が行われていることを示しています。特に、35億円を超える巨額の利益剰余金は、長年にわたり、手掛けたプロジェクトが高い収益を上げ続けてきたことの力強い証明です。財務的には全く懸念がなく、盤石な経営基盤を誇ります。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・企画、建設、リーシング、管理まで一貫して手掛ける、ワンストップの事業モデル
・大手ナショナルチェーンとの、長年にわたる強固なリレーションシップ
ISホールディングスグループとしての、高い信用力と資金調達力
・35億円超の利益剰余金が示す、高い収益性と盤石な財務基盤

弱み (Weaknesses)
・事業が国内の商業用不動産市場に集中しており、市場全体の動向に業績が左右されやすい
・建設事業における、資材価格高騰の影響

機会 (Opportunities)
・全国に存在する、老朽化したロードサイド商業施設の再生・活性化需要
・地方創生の流れの中での、地域の中核となる商業施設の開発
ISホールディングスグループ内の他事業(地方の観光施設開発など)とのシナジー創出

脅威 (Threats)
・景気後退による、企業の出店意欲の減退や、テナントの賃料支払い能力の低下
金利の上昇による、不動産開発の資金調達コストの増大
・建設業界における、人手不足の深刻化


【今後の戦略として想像すること】
盤石な経営基盤と、商業施設開発のプロとしての専門性を武器に、さらなる事業の深化と拡大を進めていくことが予想されます。

✔短期的戦略
まずは、これまでの成功モデルである、有力テナントを核とした商業施設の開発・再生プロジェクトを着実に推進していくでしょう。同時に、既存の管理物件の価値を維持・向上させるための、きめ細やかなプロパティマネジメントを継続し、安定した収益基盤を盤石なものにします。

✔中長期的戦略
ISホールディングスグループの総合力を活かし、より複雑で大規模なプロジェクトに挑戦していくことが期待されます。例えば、グループが近年力を入れている福島の地方創生事業と連携し、観光地における新たな商業施設を開発するなど、グループ内でのシナジーを創出する役割を担う可能性があります。また、商業施設開発で培ったノウハウを、物流施設やヘルスケア施設といった、新たな不動産アセットクラスへと展開していくことも考えられます。


【まとめ】
日本ビルド株式会社は、ISホールディングスグループの不動産戦略を担う、極めて収益性の高い中核企業です。街の風景を創り、地域の利便性を高める商業施設開発のプロとして、企画から建設、そして有力テナントの誘致までを一気通貫で手掛けることで、40年以上にわたり安定した成長を続けてきました。その成功は、35億円を超える利益剰余金と、健全な財務内容に如実に表れています。これからも、時代のニーズを的確に捉え、人々が集う魅力的な「場」を創造し続けることで、社会に貢献していくことでしょう。


【企業情報】
企業名: 日本ビルド株式会社
所在地: 東京都千代田区丸の内一丁目11番1号 パシフィックセンチュリープレイス丸の内24階
代表者: 遠藤 昭二
設立: 1984年8月
資本金: 4億9,000万円
事業内容: 不動産投資事業、賃貸事業、建設事業
株主: 株式会社ISホールディングス (100%)

www.nbld-dev.co.jp

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