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#3711 決算分析 : 株式会社アップルファーム 第11期決算 当期純利益 3百万円


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誰もがその人らしく働き、社会に参加できる共生社会の実現へ。その理想を、福岡県篠栗町で「しいたけ栽培」を通じて形にしている企業があります。株式会社アップルファームは、生活協同組合エフコープの100%子会社として、しょうがい者の就労を支援する「就労継続支援A型事業所」を運営するソーシャルビジネスです。

今回は、営利の追求だけでなく、地域社会への貢献という大きな使命を背負う、このユニークな企業の決算公告を読み解き、その事業内容と驚くべき財務の健全性に迫ります。

アップルファーム決算

【決算ハイライト(11期)】
資産合計: 62百万円 (約0.6億円)
負債合計: 9百万円 (約0.1億円)
純資産合計: 53百万円 (約0.5億円)

当期純利益: 3百万円 (約0.0億円)

自己資本比率: 約85.2%
利益剰余金: 23百万円 (約0.2億円)

【ひとこと】
特筆すべきは、自己資本比率85.2%という鉄壁の財務基盤です。総資産約6,200万円に対し、純資産が5,300万円を超えており、極めて安定した経営が行われています。約300万円の純利益を確保しており、社会的使命を果たしながら、事業としてもしっかりと持続可能性を確立していることがうかがえます。

【企業概要】
社名: 株式会社アップルファーム
設立: 2014年10月1日
株主: エフコープ生活協同組合(100%出資)
事業内容: 就労継続支援A型事業所(しいたけの栽培・加工・販売、各種受託業務)の運営

 

www.applefarm-f.jp

【事業構造の徹底解剖】
株式会社アップルファームの事業は、しょうがいを持つ方々と雇用契約を結び、一般企業への就労に向けた知識や能力の向上を支援する「就労継続支援A型事業」そのものです。その活動は、利用者の「働く喜び」と「成長」を第一に考え、設計されています。

✔事業の核となる「しいたけ栽培」
事業の中心となっているのが、しいたけの菌床栽培・加工・販売です。しいたけ栽培は、年間を通じて室内で安定的に作業ができること、そして生育が早く、利用者が「育てる喜び」や仕事の成果を実感しやすいという利点があります。ここで収穫された肉厚のしいたけは、エフコープなどを通じて消費者の元へ届けられます。

✔安定した事業基盤を支える「受託業務」
エフコープ生活協同組合やその関連会社から、様々な業務を受託しています。例えば、共同購入で使用する発泡スチロール容器への保冷剤セット作業や、ミニトマトのパック詰め、ギフトボックスの箱詰め作業など、多様な仕事があります。これらの安定した業務があることで、利用者に継続的な就労の機会を提供できています。

✔最大の目的は「一般就労へのステップアップ」
アップルファームでの活動は、単に収益を上げるためだけではありません。利用者の方々が、日々の仕事を通じて、労働に必要な知識、健康管理や時間管理、コミュニケーション能力などを身につけ、将来的には一般企業へ就職(ステップアップ)していくことを最大の目標としています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
企業のしょうがい者法定雇用率の引き上げなど、社会全体でしょうがい者雇用への関心は高まっています。これは、アップルファームのような事業所の存在意義を高める追い風です(機会)。一方で、福祉事業所間の競争や、利用者を支援する専門スタッフ(指導員)の人材確保は、常に課題となります。

✔内部環境
最大の強みは、福岡県で約50万人の組合員を擁するエフコープ生活協同組合が100%株主であることです。これにより、経営の安定性が確保されるだけでなく、しいたけの販売先や各種受託業務といった、安定した仕事が供給されるという大きなメリットがあります。事業の目的が営利の最大化ではなく、「社会的使命の達成」と「持続可能な経営」の両立であるため、短期的な収益に左右されない、長期的な視点での利用者支援が可能です。

✔安全性分析
自己資本比率85.2%という数値は、企業として異次元とも言えるほどの高さです。これは、財務リスクが皆無に近い、極めて安全な状態であることを示しています。総資産約6,200万円に対して負債は1,000万円にも満たず、実質的に無借金経営です。純資産5,300万円のうち、利益剰余金が2,300万円と、設立以来着実に利益を積み上げてきたことがわかります。この鉄壁の財務基盤があるからこそ、利用者に安定した雇用の場を提供し続けるという、社会的使命を果たし続けることができるのです。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・エフコープによる、強力な経営・事業上のバックアップ
自己資本比率85%超という、鉄壁の財務基盤
・しょうがい者雇用という、極めて高い社会貢献性と共感を呼ぶ事業内容
・しいたけ栽培と多様な受託業務による、安定した仕事の確保

弱み (Weaknesses)
・事業規模が比較的小さく、大幅な拡大が難しい点
最低賃金の上昇が、利用者(被雇用者)への給与支払い負担を増やす構造

機会 (Opportunities)
・企業のしょうがい者雇用ニーズの高まりと、外部からの作業受託の可能性
SDGsやESG経営への社会的な関心の高まりによる、ソーシャルビジネスへの評価向上
ふるさと納税の返礼品など、新たな販路の開拓

脅威 (Threats)
・国や自治体の福祉制度の変更に伴う、事業運営への影響
・支援スタッフなど、専門人材の獲得競争
・しいたけの菌床など、原材料価格の高騰


【今後の戦略として想像すること】
強固な経営基盤と親会社との連携を活かし、事業の深化と、より多くの就労機会の創出を目指していくと考えられます。

✔短期的戦略
エフコープとの連携をさらに強化し、新たな受託業務を開拓することで、利用者の作業の選択肢を増やし、より多様なスキルを習得できる機会を提供していくでしょう。また、栽培したしいたけの加工品(乾燥しいたけ、佃煮など)を開発・販売し、事業の付加価値を高めていくことも考えられます。

✔中長期的戦略
「アップルファーム篠栗」で培った成功モデルを、福岡県内の他の地域に横展開し、第二、第三の事業所を開設していく可能性があります。また、しいたけ栽培で得た農業ノウハウを活かし、他の農産物の栽培に挑戦するなど、事業を多角化することで、より多くのしょうがいを持つ方々に、多様な働く場の選択肢を提供していくことが期待されます。


【まとめ】
株式会社アップルファームは、単なる農業生産法人ではありません。それは、エフコープの理念を体現し、しょうがいを持つ方々の自立と社会参加を「働く喜び」を通じて支援する、「ソーシャルビジネス」の優れたモデルです。85.2%という驚異的な自己資本比率は、その崇高な使命を永続的に果たしていくための、揺るぎない基盤があることを示しています。
これからも、しいたけ栽培という事業を通じて、多くの人々の可能性を育み、地域社会に貢献し続ける企業として、その活動が期待されます。


【企業情報】
企業名: 株式会社アップルファーム
所在地: 福岡県糟屋郡篠栗町中央1-8-1
代表者: 代表取締役 永芳 陽子
設立: 2014年10月1日
資本金: 30百万円
事業内容: 就労継続支援A型事業所(しいたけの栽培・加工・販売、各種受託業務)の運営
株主: エフコープ生活協同組合 (100%)

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