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#3600 決算分析 : 株式会社協同 第48期決算 当期純利益 104百万円

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物価上昇が続く中、私たちの食生活の強い味方となっているのが「業務スーパー」です。その圧倒的な安さとユニークな品揃えで、多くのファンを魅了しています。しかし、その緑色の看板を掲げる店舗の多くが、実は地域に根差したフランチャイズ企業によって運営されていることはあまり知られていません。今回は、神奈川県横須賀市を拠点に3店舗の業務スーパーを展開する、株式会社協同の決算を読み解きます。「神奈川の酪農振興」という創業の志を持つこの地域企業が、いかにして全国区のブランドを武器に驚異的な高収益・高安定企業へと成長したのか、その経営の秘密に迫ります。

協同決算

【決算ハイライト(第48期:令和6年8月31日現在)】
資産合計: 1,199百万円 (約12.0億円)
負債合計: 279百万円 (約2.8億円)
純資産合計: 920百万円 (約9.2億円)
当期純利益: 104百万円 (約1.0億円)
自己資本比率: 約76.7%
利益剰余金: 892百万円 (約8.9億円)

【ひとこと】
まず驚かされるのが、自己資本比率約76.7%という、小売業としては異例の高さです。これは、ほぼ無借金で極めて安定した経営が行われていることを示します。資本金の32倍以上となる約9億円の利益剰余金は、長年の成功の歴史を物語っています。1億円を超える当期純利益も、高い収益力を証明しており、まさに優良企業のお手本のような決算内容です。

【企業概要】
社名: 株式会社協
設立: 1977年4月28日
事業内容: 食肉卸販売及び、「業務スーパー」のフランチャイズ店舗運営

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【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、創業以来の「食肉卸販売」と、現在の成長エンジンである「業務スーパーフランチャイズ運営」という、二つの柱で構成されています。

✔成長エンジンとしての「業務スーパー」運営
同社は現在、神奈川県の横須賀市野比横浜市富岡、そして東京都町田市に3店舗の「業務スーパー」をフランチャイズとして運営しています。神戸物産が展開する「業務スーパー」の強力なブランド力、ユニークな商品開発力、そして圧倒的な価格競争力を活用することで、地域で高い集客力を実現しています。これが、現在の同社の収益の根幹を成す事業です。

✔原点である地域密着の「食肉卸販売」
同社のウェブサイトには、「神奈川県内の酪農振興を目的とし、地元市民へ新鮮で栄養豊富な食品を供給すること」という、創業以来の理念が掲げられています。この理念を体現するのが食肉卸販売事業です。関連会社に「株式会社協同牛乳」があることからも、そのルーツが地域の酪農・畜産業にあることがうかがえます。現在では、この事業で培ったノウハウや仕入れルートが、直営店の精肉部門などで独自の強みを発揮している可能性があります。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
節約志向の高まりを背景に、ディスカウントストア業態は活況を呈しており、特に「業務スーパー」ブランドは好調を維持しています。同社はこの市場の追い風を存分に受けています。一方で、スーパーマーケット業界全体の競争は激しく、人件費や水道光熱費の上昇といったコスト増の圧力は、常に経営課題となります。

✔内部環境
同社の経営戦略は、強力なナショナルブランド業務スーパー)の力を借りつつ、地域に根差した堅実な店舗運営を行う、というものです。決算書が示す高い収益性は、各店舗における徹底したコスト管理や、顧客ニーズを的確に捉えた品揃えなど、優れた店舗オペレーション能力の賜物と言えるでしょう。3店舗という少数精鋭の店舗展開も、1店舗あたりの収益性を高めることに繋がっていると考えられます。

✔安全性分析
自己資本比率76.7%という財務内容は、企業の安全性を測る上で「鉄壁」と呼ぶにふさわしい水準です。総資産約12億円のうち、9億円以上が返済不要の自己資本で構成されています。これは、過去の利益を着実に内部留保(利益剰余金)として蓄積し、新規出店などの成長投資を借入に頼らず、自己資金で賄ってきたことを示唆しています。小売業は一般的に借入への依存度が高い業態ですが、同社はその常識を覆す、極めて堅固な財務基盤を築き上げています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・「業務スーパー」という、集客力の高い強力なブランド
自己資本比率76.7%という、業界トップクラスの財務健全性
・1億円を超える純利益を生み出す、高い収益力
・横須賀を拠点とする、長年の地域での信頼と実績

弱み (Weaknesses)
フランチャイズ本部(神戸物産)のブランドイメージや経営方針への依存度が高い
・店舗数が3店舗と限られており、特定エリアの競合激化の影響を受けやすい

機会 (Opportunities)
・継続する節約志向を背景とした、ディスカウント業態市場の拡大
・潤沢な自己資金を活用した、神奈川・東京エリアでの新規出店
・食肉卸事業のノウハウを活かした、店舗での独自商品の展開

脅威 (Threats)
・競合スーパーマーケットやディスカウントストアの出店攻勢
フランチャイズ本部の方針変更やブランドイメージの毀損リスク
・人件費、物流費、光熱費などの継続的なコスト上昇


【今後の戦略として想像すること】
その圧倒的な財務力を武器に、さらなる成長を目指す戦略が考えられます。

✔短期的戦略
既存3店舗の収益力を維持・向上させることが基本戦略となります。地域の顧客ニーズをさらに深掘りし、品揃えやサービスを最適化することで、競合との差別化を図ります。また、原点である食肉卸事業や関連会社との連携を強化し、「協同の業務スーパー」ならではの、地元の特色を活かした商品を展開することも有効でしょう。

✔中長期的戦略
最大の焦点は、その潤沢な自己資金をどう活用するかです。最も有力な選択肢は、神奈川県や東京都南部エリアにおける「業務スーパー」の新規出店です。自社の資金で土地や建物を取得し、ドミナント戦略(特定地域への集中出店)を強化することで、地域でのシェアをさらに高めていく可能性があります。また、M&Aによって、他のフランチャイジーから店舗を譲り受けるといった展開も考えられます。


【まとめ】
株式会社協同は、「地域の酪農振興」という志から始まり、時代の変化を的確に捉えて「業務スーパー」という強力なパートナーと手を組むことで、見事な成功を収めた地域企業の鑑です。その決算書は、派手さはないものの、堅実な店舗運営と規律ある財務管理がいかに強固な企業を創り上げるかを雄弁に物語っています。地域の信頼と全国区のブランド力、そして鉄壁の財務基盤。この3つの武器を手に、同社はこれからも地域の人々の食生活を豊かに支え、着実な成長を続けていくに違いありません。


【企業情報】
企業名: 株式会社協
所在地: 神奈川県横須賀市野比四丁目3番1号
代表者: 代表取締役 飯島 敏雄
設立: 1977年4月28日
資本金: 2,750万円
事業内容: 食肉卸販売、「業務スーパーフランチャイズ店舗(野比店、町田南大谷店、富岡店)の運営

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