地域の健康を支え、気軽に相談できる身近な存在である「かかりつけ薬局」。しかしその裏側では、経営者の高齢化や後継者不足、2年ごとの薬価改定といった厳しい経営環境の変化により、多くの薬局が事業の存続という大きな課題に直面しています。大切に育ててきた薬局を、地域のためにどう未来へ繋いでいくか。この深刻な悩みに、単なるビジネスライクなM&A(合併・買収)ではなく、「人間らしさ」を大切に寄り添う専門家集団がいます。
今回は、調剤薬局に特化し、経営者の想いを未来へ繋ぐ「かかりつけコンサルタント」を標榜する、株式会社CBコンサルティングの決算を読み解き、その事業内容と、大きな黒字転換を果たした経営状況に迫ります。

【決算ハイライト(第10期)】
資産合計: 323百万円 (約3.2億円)
負債合計: 313百万円 (約3.1億円)
純資産合計: 10百万円 (約0.1億円)
当期純利益: 63百万円 (約0.6億円)
自己資本比率: 約3.2%
利益剰余金: ▲39百万円 (約▲0.4億円)
【ひとこと】
累積損失を抱え、自己資本比率も3.2%と財務基盤はまだ発展途上ですが、何よりも注目すべきは、当期に63百万円という純資産を大きく上回る利益を計上した点です。これは、事業が本格的な成長軌道に乗り、力強い黒字転換を果たしたことを示唆する重要なターニングポイントであり、今後の急速な財務改善と飛躍が期待されます。
【企業概要】
社名: 株式会社CBコンサルティング
設立: 2017年
事業内容: 医療・介護・福祉業界の経営課題解決を支援するCBグループの一員として、調剤薬局に特化した事業承継・M&A支援、経営支援、開業支援を行う「かかりつけコンサルタント」。
【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、薬局経営者が直面するライフサイクルの各段階において、専門性と人間らしさをもって寄り添う、3つの柱で構成されています。その根底には、「あなた以上に、あなたのあしたを創造する」という企業理念が流れています。
✔事業承継・M&A支援(未来へ繋ぐ)
後継者不在に悩む薬局経営者(譲渡側)と、事業エリアの拡大や新規事業展開を目指す法人・薬剤師(譲受側)を繋ぐ、同社の中核事業です。単に企業の売買を仲介するのではなく、経営者が薬局に込めてきた想いや、従業員の雇用の継続、そして地域医療における薬局の役割までを深く理解し、関わるすべての人にとって最善となるM&Aの形を提案します。
✔経営支援(今を支える)
M&Aという大きな決断に至らないまでも、日々の経営に課題を抱える薬局に対し、「かかりつけコンサルタント」として伴走支援を行います。2年ごとの診療報酬・薬価改定への対応策、薬剤師の採用・育成、業務効率化による収益改善など、薬局経営のあらゆる悩みに対し、業界に特化した専門的な知見から最適なソリューションを提供します。
✔開業支援(夢を形にする)
「いつかは自分の薬局で、理想の地域医療に貢献したい」と願う薬剤師の夢と、「自分が引退した後も、この薬局を地域に残したい」と願う経営者の想いを繋ぐ、ユニークなマッチングサービスです。ゼロからの新規開業ではなく、地域に根差した既存薬局を承継する形での独立を支援することで、開業希望者にとってはリスクを抑えたスタートを、引退する経営者にとっては事業と従業員の未来を託せる安心を提供します。
【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
日本の薬局業界は、大きな転換期を迎えています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を目前に、国は地域包括ケアシステムの構築を推進。薬局には、従来の調剤中心の業務から、在宅医療への参画や健康サポート機能の強化など、より地域に密着した役割が求められています。一方で、経営者の高齢化と後継者不足は深刻化しており、事業承継は待ったなしの課題です。この業界再編の流れは、同社の事業にとって非常に大きな追い風となっています。
✔内部環境
当期63百万円という大きな黒字を達成した背景には、この活発なM&A市場において、同社の「かかりつけコンサルタント」というコンセプトが多くの経営者に支持され、成約件数が大きく伸長したことが推測されます。決算書に残る▲39百万円の累積損失は、設立以来、全国6拠点への展開や、優秀なコンサルタントの採用・育成といった、事業基盤を構築するための先行投資の結果と考えられます。当期の大幅な黒字化は、この投資が実を結び、本格的な収益回収フェーズに入ったことを示唆しています。
✔安全性分析
自己資本比率は3.2%と低い水準にあり、財務的な体力はまだ盤石とは言えません。特に、流動負債(3.1億円)が流動資産(2.6億円)を上回っており、短期的な資金繰りの管理は重要な経営課題です。しかし、それを補って余りあるのが、当期の力強い黒字化です。今後、この収益性を維持し、利益を内部留保として積み上げていくことで、財務体質は急速に改善していくことが期待されます。また、医療・介護業界で幅広い事業を展開するCBグループの一員であることも、同社の信用力を補完しています。
【SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・調剤薬局業界に特化した、他社にはない高い専門性と豊富な情報量
・CBグループとしての、医療・介護業界全体を網羅する広範なネットワーク
・全国6拠点を展開し、地域に深く根差した「かかりつけコンサルタント」としての営業体制
・論理だけでなく、経営者の「想い」に寄り添う、人間らしさを重視したサービスコンセプト
弱み (Weaknesses)
・自己資本比率が低く、財務基盤がまだ脆弱である点
・事業の成長が、専門知識を持つ優秀なコンサルタントの採用と育成に大きく依存する点
機会 (Opportunities)
・薬局経営者の高齢化と深刻な後継者不足による、事業承継・M&Aニーズの継続的な増加
・地域包括ケアシステムの推進に伴い、薬局に求められる役割が変化し、新たな経営支援ニーズが生まれている点
脅威 (Threats)
・M&A仲介市場への、金融機関や会計事務所、他業種からの新規参入による競争の激化
・大規模な薬価のマイナス改定など、国の政策によって薬局業界全体の経営環境が急激に悪化するリスク
【今後の戦略として想像すること】
「黒字経営の定着」と「サービスの深化」を両輪で進め、薬局業界における確固たる地位を築いていくことが予想されます。
✔短期的戦略
まずは、当期の黒字化を確固たるものにするため、主力のM&A支援事業で着実に成約件数を積み上げていくことが最優先です。M&Aの成功事例や顧客の声を積極的に発信し、「薬局の事業承継ならCBコンサルティング」というブランド認知度をさらに高めていくでしょう。そして、黒字化によって得られたキャッシュを、優秀なコンサルタントの採用と育成に再投資し、サービスの質と量をさらに向上させていきます。
✔中長期的戦略
中長期的には、M&Aで築いた強固な顧客基盤に対し、経営支援や開業支援といった他のサービスをクロスセル(追加提案)していくことで、顧客との長期的で多面的な関係を構築します。また、CBグループ内の他社(例えば、病院・介護施設のM&Aを手掛けるCBパートナーズ)と連携し、病院・クリニックと薬局の連携支援(門前薬局の承継など)といった、より付加価値の高いコンサルティングサービスを展開していく可能性があります。最終的には、薬局の開業から成長、そして次世代への承継まで、経営者の生涯にわたって寄り添う、業界No.1の「かかりつけコンサルタント」としての地位を確立することを目指します。
【まとめ】
株式会社CBコンサルティングは、後継者不足という深刻な社会課題に直面する日本の薬局業界において、一軒一軒の薬局が持つ価値と想いを未来へ繋ぐ、極めて重要な社会的役割を担う企業です。財務的にはまだ発展途上ながらも、当期に達成した力強い黒字転換は、その独自のビジネスモデルが市場に確実に受け入れられ、本格的な成長軌道に乗ったことを力強く示しています。これからも「専門性と人間らしさ」を武器に、地域医療に不可欠な薬局の永続性に寄り添い、経営者の「あしたを創造」し続けることが期待されます。
【企業情報】
企業名: 株式会社CBコンサルティング
所在地: 東京都港区浜松町1-18-16 住友浜松町ビル 5F
代表者: 金城 和樹
設立: 2017年4月1日
資本金: 1億円
事業内容: 医療・介護・福祉従事者/機関(特に薬局)向けに、事業承継・M&A支援、経営支援、開業支援を展開