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#3014 決算分析 : ユニオン・メディエイト株式会社 第24期決算 当期純利益 91百万円

マンションやオフィスビルを所有するオーナーにとって、「空室」と「家賃滞納」は経営を揺るしかねない二大リスクです。入居者募集から日々のクレーム対応、建物の維持管理、そしてリフォームまで、賃貸経営には実に多岐にわたる専門知識と手間がかかります。もし、これらの煩雑な業務をすべて高いレベルで代行し、資産価値の最大化にコミットしてくれるプロフェッショナルなパートナーがいたとしたら。

今回は、管理物件の稼働率97.8%という高い実績を誇る、プロパティマネジメント(PM)専門の管理会社、ユニオン・メディエイト株式会社の決算を読み解き、その強固な経営基盤と、不動産オーナーから選ばれる理由に迫ります。

ユニオンメディエイト決算

【決算ハイライト(第24期)】
資産合計: 2,325百万円 (約23.3億円)
負債合計: 372百万円 (約3.7億円)
純資産合計: 1,953百万円 (約19.5億円)

当期純利益: 91百万円 (約0.9億円)

自己資本比率: 約84.0%
利益剰余金: 1,853百万円 (約18.5億円)

【ひとことコメント】
自己資本比率が84.0%と驚異的な高さを誇り、財務基盤は鉄壁とも言えます。資本金の18倍以上もの利益剰余金を積み上げており、長年にわたり安定して高収益を上げてきた、極めて優良な財務内容の企業であることがわかります。

【企業概要】
社名: ユニオン・メディエイト株式会社
設立: 2001年4月
事業内容: プロパティマネジメント(不動産賃貸管理)、リフォーム・リノベーション、不動産売買仲介など

www.unionmediate.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社は、自らを「PM専業型管理会社」と位置づけ、不動産オーナーの資産価値を最大化するための、包括的かつ専門性の高いサービスを提供しています。

✔プロパティマネジメント(賃貸管理)事業
同社の中核事業です。マンションやオフィスビルといった収益不動産の管理をオーナーから受託し、経営を代行します。その業務は多岐にわたります。
・リーシングマネジメント(入居者募集):空室をなくすための、的確なマーケティングと募集活動。
・テナントリレーション(入居者対応):入居者からのクレームや相談への迅速な対応、賃料滞納の防止・督促。
・ビルディングマネジメント(建物管理):日常の清掃から、法定点検、長期修繕計画の策定まで、建物の物理的な維持管理。
ウェブサイトで公表されている「稼働率97.8%」という数字は、これらの業務を高いレベルで遂行していることの何よりの証左です。

✔リフォーム・リノベーション事業
賃貸管理事業と密接に連携し、物件の価値をさらに高めるための事業です。退去時の原状回復工事はもちろんのこと、時代のニーズに合わせて間取りやデザインを刷新するリノベーション、建物全体の寿命を延ばす大規模修繕までを手掛けます。管理物件の特性を熟知しているからこそ、費用対効果の高い、的確な提案が可能です。

✔売買仲介・コンサルティング事業
長年の賃貸管理で培った知見を活かし、不動産の売買仲介も行っています。また、新築物件の企画段階から、賃貸市場で人気が出るデザインや設備についてアドバイスを行う「人気デザインプロデュース」業務など、コンサルティング的な役割も担っています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
賃貸不動産市場は、人口動態や景気の変動、金利の動向など、様々なマクロ要因の影響を受けます。近年では、リモートワークの普及によるオフィスのあり方の変化や、ライフスタイルの多様化に伴う住宅へのニーズの変化など、新たな潮流も生まれています。このような環境下では、市場の変化を的確に捉え、物件の魅力を維持・向上させる専門的な管理能力の重要性が増しています。

✔内部環境
同社のビジネスモデルは、管理物件のオーナーから毎月受け取る「管理委託料」が基盤となる、安定した「ストック型」の収益構造です。そこに、リフォーム工事や売買仲介といった「フロー型」の収益が上乗せされます。高い稼働率を維持し、管理戸数を増やしていくことが、事業成長の鍵となります。「PM専業」を掲げることで、自社で物件を保有してオーナーと競合することなく、純粋にオーナーの利益最大化に貢献するという、明確なスタンスを打ち出しています。

✔安全性分析
自己資本比率が84.0%という数値は、企業の財務安全性を語る上で、これ以上ないほどの指標です。実質的な無借金経営であり、財務的なリスクは極めて低いと言えます。資本金1億円に対し、その18倍以上となる18.5億円もの利益剰余金を蓄積している事実は、設立以来、一貫して高い収益性を維持し、堅実な経営を続けてきたことの力強い証明です。この盤石な財務基盤が、オーナーからの信頼の源泉であり、質の高いサービスを提供し続けるための土台となっています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率84.0%という、鉄壁とも言える財務基盤
稼働率97.8%という、高い実績に裏打ちされたプロパティマネジメント能力
・賃貸管理からリフォーム、売買仲介まで一貫して提供できる、ワンストップのサービス体制
・「PM専業」という、オーナーの利益を最優先する明確な事業スタンス

弱み (Weaknesses)
・事業エリアが首都圏中心であり、地域の不動産市況に業績が左右される
・事業の成長が、優秀なプロパティマネージャーの採用・育成ペースに依存する

機会 (Opportunities)
・不動産オーナーの高齢化や、副業としての賃貸経営者の増加に伴う、専門的な管理会社へのニーズ拡大
・中古物件をリノベーションして価値を高める、「再生」市場の活性化
・DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した、管理業務の効率化とオーナー向け情報提供の高度化

脅威 (Threats)
・不動産市況の悪化による、賃料の下落や空室率の上昇
・同業のプロパティマネジメント会社や、ITを活用した新興プレイヤーとの競争激化
・建設コストの高騰による、リフォーム・修繕費用の増加


【今後の戦略として想像すること】
中核であるPM事業の質をさらに高めつつ、テクノロジーの活用を推進していくことが予想されます。

✔短期的戦略
引き続き、得意とするエリアで質の高い管理サービスを提供し、既存オーナーからの紹介や口コミを通じて、着実に管理物件数を増やしていくでしょう。また、空室対策として、デザイン性の高いリノベーションの提案を強化し、成功事例を積極的に発信することで、新たな顧客を獲得していくと考えられます。

✔中長期的戦略
オーナー向けのポータルサイトを導入・拡充し、管理物件の収支状況や修繕履歴、周辺の賃貸市場データなどをリアルタイムで提供するなど、DXを活用したサービスの高度化を進めていくことが期待されます。将来的には、蓄積された膨大な賃貸データを分析し、オーナーに対してより精度の高い投資戦略やポートフォリオ組み換えを提案する、資産コンサルティング事業をさらに強化していくのではないでしょうか。


【まとめ】
ユニオン・メディエイトは、不動産オーナーという顧客に徹底的に寄り添い、その資産価値の最大化という結果を出し続ける、賃貸管理のプロフェッショナル集団です。その実力は、稼働率97.8%という目に見える実績と、自己資本比率84%という盤石な財務内容に、明確に表れています。変化の激しい不動産市場において、同社のような信頼できるパートナーの存在は、オーナーにとって何よりも心強い灯台となるでしょう。これからも、多くの不動産オーナーの賃貸経営を成功に導き、その先の入居者の快適な暮らしを支え続けていくことが期待されます。


【企業情報】
企業名: ユニオン・メディエイト株式会社
所在地: 東京都新宿区西新宿7-7-26 ワコーレ新宿第一ビル
代表者: 代表取締役 小檜山 隆
設立: 2001年4月
資本金: 1億円
事業内容: 不動産賃貸管理業務の受託、不動産の売買並びに仲介、建物の内外装工事・設備工事の請負など

www.unionmediate.co.jp

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