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#2962 決算分析 : 株式会社プロモート 第18期決算 当期純利益 17百万円


企業が従業員に配布するスマートフォンタブレット。私たちが新しいデバイスを手にする時、それは既に必要なアプリがインストールされ、セキュリティ設定が施され、すぐに使える状態になっています。この、デバイスをすぐに使える状態に準備する一連の作業は「キッティング」と呼ばれ、数千、数万台規模の導入プロジェクトの裏側では、膨大な時間と人手を要する極めて地道な作業が繰り返されています。この作業の効率と正確性を、独自のテクノロジーで劇的に改善する専門企業が存在します。

今回は、この「キッティング」作業を支援するRPAツールやシステム開発で、特許も取得するニッチトップ企業、株式会社プロモートの第18期決算を読み解きます。自己資本比率81%超という盤石の財務基盤は、いかにして築かれたのか。企業のDX化の最前線を、縁の下で支える技術者集団の強さと、そのビジネスモデルに迫ります。

プロモート決算

【決算ハイライト(第18期)】
資産合計: 218百万円 (約2.2億円)
負債合計: 40百万円 (約0.4億円)
純資産合計: 177百万円 (約1.8億円)
当期純利益: 17百万円 (約0.2億円)
自己資本比率: 約81.4%
利益剰余金: 107百万円 (約1.1億円)

まず注目すべきは、自己資本比率が81.4%という極めて高い水準にあることです。これは企業の財務的な安定性を示す最も重要な指標の一つであり、同社が外部からの借入にほとんど頼らず、事業で得た利益を着実に内部留保してきた(利益剰余金約1.1億円)結果であり、非常に健全な経営体質を物語っています。ソフトウェア開発という知的資本が中心の事業でありながら、この盤石な財務基盤の上で、着実に1,700万円の当期純利益を確保しています。

企業概要
社名: 株式会社プロモート
設立: 2008年1月28日
株主: 日本エンタープライズ株式会社
事業内容: スマートフォンやPCの大量初期設定作業(キッティング)を自動化・効率化する、特許取得済みの支援システムの企画・開発・販売。および、システムエンジニアリングサービス(SES)、受託開発。

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【事業構造の徹底解剖】
株式会社プロモートの事業は、企業のIT導入における「最後の、しかし最も手間のかかる工程」であるキッティング作業を、独自のソフトウェア技術で効率化するソリューション提供に集約されます。

✔事業の核:特許技術に基づくキッティング支援システム
同社の競争力の源泉は、自社で開発し、特許も取得している一連のキッティング支援システムです。
・Certino2: 1台のPCから最大20台(マルチキャスト機能で最大200台)のスマートフォンタブレットを同時に操作し、初期設定を自動で実行するツール。手作業による設定ミスを防ぎ、作業時間を劇的に短縮します。
・Semble: デバイスごとに異なる個別情報(ID、パスワード、メールアドレスなど)を、Excelで一元管理し、ミスなく正確に各端末へ設定するためのツール。GIGAスクール構想で数万台のタブレットを導入する際などに絶大な効果を発揮します。
・SC2000: 設定完了後の端末のスクリーンショットと、あらかじめ用意した「正解」の画像を比較し、設定ミスがないかを自動でチェックする画像比較ツール。人による目視確認の限界を超え、品質を担保します。
これらのツールを組み合わせたRPAツール「Kitting-One」が、同社のフラッグシップソリューションです。

✔大手企業が認める実績と信頼
これらのユニークなソリューションは、ドコモCSやロジスティード(旧日立物流)、ソフトバンクといった、日々膨大な数のデバイスを取り扱う通信キャリアや大手物流企業に採用されており、その高い品質と効果が証明されています。

✔技術力を活かした多角的なITサービス
キッティングシステムの開発で培った高度な技術力を活かし、顧客の要望に応じたオーダーメイドのシステムを開発する「受託開発」や、専門のITエンジニアを顧客企業へ派遣する「システムエンジニアリングサービス(SES)」も手掛けています。これにより、キッティングというニッチな市場に留まらない、安定した収益基盤を構築しています。

✔日本エンタープライズグループとのシナジー
同社は、モバイルコンテンツなどを手掛ける上場企業「日本エンタープライズ株式会社」のグループ企業です。役員にも同社の役員が名を連ねており、経営基盤の安定性と、グループが持つ顧客基盤や技術ノウハウを活用できるというシナジーが、同社の成長を支えています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
企業のDX推進や、働き方改革に伴うリモートワークの普及により、企業が従業員に貸与するスマートフォンやPCの台数は増加の一途を辿っています。また、GIGAスクール構想による教育現場へのタブレット導入など、大規模なデバイス導入プロジェクトは今後も継続的に発生が見込まれます。これに伴い、キッティング作業の需要は拡大しており、その効率化・自動化に対するニーズは極めて高まっています。

✔内部環境
同社のビジネスモデルは、自社開発のソフトウェアという、一度開発すれば複製コストがほとんどかからない製品をライセンス販売する、利益率の高い事業です。貸借対照表の資産の部に有形固定資産がほとんどなく、知的財産(ソフトウェア)が競争力の源泉であることを示しています。自己資本比率81.4%という強固な財務基盤は、こうした安定した高収益ビジネスの賜物です。

✔安全性分析
財務の安全性は、非の打ち所がないほど高いレベルにあります。負債が少なく、自己資本が極めて厚いため、外部環境の変化に対する抵抗力は盤石です。短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産÷流動負債)も約497%と驚異的な高さであり、資金繰りの懸念は皆無です。1億円を超える潤沢な利益剰余金は、将来の成長に向けた新たなソフトウェアの研究開発を、自己資金で十分に賄えるだけの強力な体力を示しています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率81.4%を誇る、極めて健全で安定した「無借金経営」の財務基盤。
・キッティングシステムにおける、他社が容易に模倣できない特許技術。
・ドコモCSやロジスティードといった、大手企業への豊富な導入実績と高い信頼。
・日本エンタープライズグループの一員であることによる、経営の安定性と事業シナジー

弱み (Weaknesses)
・キッティング支援という、市場規模が比較的ニッチな領域に事業が特化している。
・OS(Android/iOS/Windows)のメジャーアップデートなど、プラットフォーム側の仕様変更に、製品の収益性が影響を受ける可能性がある。

機会 (Opportunities)
・企業のDX推進と、それに伴うモバイルデバイスやPCの導入・更新需要の継続的な拡大。
GIGAスクール構想の次のステップである、端末の更新(リプレース)需要の発生。
・キッティングだけでなく、導入後の資産管理(MDM連携など)やセキュリティ対策といった、周辺領域へのサービス拡大。
・IoT機器の普及に伴う、多種多様なデバイスへのキッティング・プロビジョニング需要の創出。

脅威 (Threats)
・OSメーカー自身が、より高度なデバイス管理・自動設定機能(ゼロタッチキッティングなど)を標準で提供することによる、自社ツールの価値の相対的な低下。
・同業他社や、RPAツールベンダーによる、類似ソリューションの提供と競争の激化。
・景気後退による、企業のIT投資抑制の動き。


【今後の戦略として想像すること】
この盤石な経営基盤とニッチトップのポジションを活かし、同社はさらなる成長を目指していくでしょう。

✔短期的戦略
まずは、主力のキッティング支援システムの販売を、既存の大口顧客との関係を深化させながら、さらに拡大していくでしょう。特に、GIGAスクール構想で導入された端末の更新時期が数年後に迫っており、この巨大なリプレース需要を確実に取り込むための営業活動を強化していくと考えられます。また、キッティング作業そのものを代行するサービスも手掛けており、ソフトウェア販売とサービス提供の両輪で顧客をサポートしていく体制を強化するでしょう。

✔中長期的戦略
中長期的には、キッティングという「入口」で築いた顧客との関係を活かし、デバイスのライフサイクル全体をカバーするソリューションへの展開が期待されます。例えば、導入後の資産管理やセキュリティアップデートの管理、そして廃棄時のデータ消去までを一貫して支援するプラットフォームを構築することなどが考えられます。また、キッティング技術を応用し、今後爆発的に増加が見込まれる工場のセンサーや監視カメラといった、多種多様なIoT機器の初期設定を自動化するソリューションへと事業領域を拡大していく可能性も秘めています。


【まとめ】
株式会社プロモートは、単なるソフトウェア開発会社ではありません。それは、企業のDX化という華やかな舞台の裏側で、数万台ものデバイスを設定するという、地道で、しかし極めて重要な作業を、テクノロジーの力で支える「静かなるイノベーター」です。決算書に示された自己資本比率81%超という鉄壁の財務基盤は、その独自技術の高さと、顧客からの深い信頼の証です。スマートフォンやPCがビジネスに不可欠なツールであり続ける限り、そしてあらゆるモノがインターネットに繋がるIoT時代が本格化する中で、同社が担う役割はますます重要になっていくに違いありません。


【企業情報】
企業名: 株式会社プロモート
所在地: 東京都渋谷区渋谷一丁目17番8号
代表者: 森元 正彦
設立: 2008年1月28日
資本金: 55,130,000円
事業内容: キッティング作業支援システム(Certino2, Semble, SC2000, Kitting-One)の企画、開発、販売。その他業務効率化ツール開発、受託開発、システムエンジニアリングサービス。
株主: 日本エンタープライズ株式会社

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