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#2917 決算分析 : 株式会社タム・タム 第37期決算 当期純利益 43百万円


子供の頃に夢中になった鉄道模型やラジコン、そして作り込んだプラモデル。大人になった今でも、その魅力に惹きつけられ、趣味として楽しむ人々は少なくありません。「推し活」という言葉に代表されるように、好きなものにとことん没頭する文化は、今や大きな経済圏を形成しています。こうした根強いホビー市場を、最前線で支えているのが専門店の存在です。

今回は、岐阜県での創業から全国に店舗網を広げる、日本最大級の総合ホビー専門店「ホビーショップ タムタム」を運営する、株式会社タム・タムの決算を読み解きます。その財務内容と、リアル店舗ならではの強みを活かした独自の事業戦略に迫ります。

タム・タム決算

【決算ハイライト(第37期)】
資産合計: 3,301百万円 (約33.0億円)
負債合計: 2,700百万円 (約27.0億円)
純資産合計: 601百万円 (約6.0億円)
当期純利益: 43百万円 (約0.4億円)
自己資本比率: 約18.2%
利益剰余金: 516百万円 (約5.2億円)

総資産約33億円、ウェブサイトによれば売上高50.8億円(令和7年5月期)と、ホビー専門店として確固たる事業規模を築いています。当期も43百万円の純利益を確保し、着実に利益を積み上げていることが分かります。自己資本比率は18.2%とやや低めに見えますが、これは小売業特有の財務構造であり、商品の仕入れに伴う買掛金(流動負債)が大きいことや、店舗設備への投資を反映したものです。利益剰余金も5億円以上あり、安定した経営が行われています。

企業概要
社名: 株式会社 タム・タム
設立: 1989年3月(創業は1975年)
事業内容: 鉄道模型、ラジコン、プラモデルなどを扱う総合ホビー専門店の全国チェーン展開

www.hs-tamtam.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、多種多様なホビー関連商品を専門的に取り扱い、愛好家たちのニーズに応える「総合ホビー小売事業」に集約されます。その最大の特徴は、「モノ」を売るだけでなく、ホビーを楽しむための「コト(体験)」を提供する空間づくりにあります。

✔幅広い専門商品の販売
鉄道模型、ラジコン(車、飛行機、ヘリ)、プラモデル(ガンプラスケールモデル)、ミリタリー(エアガン)、フィギュアなど、あらゆるジャンルのホビー商品を深く、そして幅広く取り揃えています。初心者向けのエントリーモデルから、熟練者が求める専門的なパーツや工具まで、ワンストップで揃う品揃えが最大の強みです。オンラインショップも展開し、全国の顧客に対応しています。

✔体験型施設の併設
同社の多くの店舗には、単なる売場だけでなく、購入した商品をその場で楽しめる施設が併設されています。
・ラジコンサーキット:本格的なオンロード・オフロードコースでラジコンを走行させることができます。
・レンタルレイアウト:精巧なジオラマの中を、自慢の鉄道模型車両で走らせることができます。
ミニ四駆サーキットやシューティングレンジ:子供から大人まで気軽に楽しめる体験スペースです。
これらの施設は、商品の販売促進につながるだけでなく、顧客の滞在時間を延ばし、ファンが集うコミュニティを形成する上で、極めて重要な役割を果たしています。

✔全国への店舗展開とリユース事業
北海道から九州まで、全国に大型店舗を戦略的に展開しています。また、秋葉原などでは「リユースホビー クルクル」という屋号で、中古品の買取・販売も手掛けており、顧客がホビーを始めやすく、また続けやすい環境を整えることで、市場全体の活性化にも貢献しています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
日本のホビー市場は、少子化という逆風がある一方で、SNSの普及による情報共有の活発化や、巣ごもり需要を経て、趣味にかける時間やお金を惜しまない「大人買い」層によって、底堅く支えられています。しかし、インターネット通販との競争は激しく、リアル店舗ならではの付加価値を提供できるかどうかが、生き残りの鍵となっています。

✔内部環境
当期43百万円の純利益は、この厳しい競争環境の中で、専門性と体験価値というリアル店舗の強みを活かした結果と言えます。自己資本比率が18.2%と比較的低いのは、小売業の特性上、常に豊富な在庫(棚卸資産)を抱え、その仕入れ代金(買掛金)が流動負債として計上されるためです。また、サーキットなどの大型設備への投資も固定負債として計上されます。重要なのは、これらの資産や負債を効率的に回転させ、着実に利益を生み出せている点です。

✔安全性分析
貸借対照表(BS)を見ると、流動資産が約26億円であるのに対し、流動負債が約14億円であり、短期的な支払い能力を示す流動比率は約188%と、一般的な安全基準である100%を大きく上回っています。これにより、短期的な資金繰りの懸念は全くないと言えます。5億円を超える利益剰余金は、不測の事態への備えとなるとともに、新規出店や既存店のリニューアルといった、次なる成長への投資原資となります。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・全国に展開する店舗網と、「タムタム」というホビー業界での高いブランド認知度
・ラジコンサーキットやレンタルレイアウトといった、他社が容易に模倣できない体験型施設
・幅広いジャンルを網羅する、専門性の高い商品知識と品揃え
・創業から約50年で培った、メーカーや卸売業者との強固な関係

弱み (Weaknesses)
・店舗運営にかかる人件費や賃料といった、固定費の負担が大きい
・オンライン専業のディスカウントストアとの価格競争

機会 (Opportunities)
・巣ごもり需要を経て定着した、インドアで楽しめる趣味への関心の高まり
SNSYouTubeなどを通じた、ホビーの魅力の拡散と新たな顧客層の獲得
・インバウンド(訪日外国人観光客)による、日本製の高品質なホビー製品への需要回復
・中古品市場(リユース)の拡大

脅威 (Threats)
少子高齢化による、若年層のホビー人口の中長期的な減少
・オンラインゲームやスマートフォンなど、他のエンターテインメントとの可処分時間の奪い合い
・原材料価格の高騰に伴う、ホビー製品のメーカー希望小売価格の上昇


【今後の戦略として想像すること】
この独自の強みと安定した経営基盤を活かし、同社が今後さらに成長するためには、以下の戦略が考えられます。

✔短期的戦略
「コト消費」のさらなる強化が鍵となります。店舗で開催するラジコンレースやプラモデルのコンテストといったイベントをより活発化させ、SNSでの情報発信を強化することで、店舗への来店動機を創出します。また、オンラインショップと実店舗の連携(店舗受け取りサービスなど)を強化し、顧客の利便性を高めることも重要です。初心者向けの体験会やスクールを定期的に開催し、新たなホビーファンの裾野を広げる取り組みも加速させるでしょう。

✔中長期的戦略
新たな顧客層の開拓が大きなテーマとなります。例えば、女性やファミリー層がより気軽に来店できるような、明るく開放的な店づくりや、キャラクターグッズや雑貨などを組み合わせた売り場作りなどが考えられます。また、リユース事業「クルクル」の店舗網を拡大し、新品販売と中古販売のシナジーを追求することも有効な戦略です。将来的には、自社で企画・開発したオリジナル商品(PB商品)の比率を高め、収益性の向上と他社との差別化を図っていくことも期待されます。


【まとめ】
株式会社タム・タムは、単にホビー商品を販売する小売店ではありません。それは、ラジコンサーキットやレンタルレイアウトといった「遊び場」を提供し、ファンが集う「コミュニティ」を育むことで、日本のホビー文化そのものを豊かにしている存在です。決算書に示された堅実な経営数値は、創業以来、一貫して「楽しい・おもしろい・ありがとう」という顧客の感動を追求してきた経営姿勢の証左です。デジタル化が進む現代において、あえてリアルな体験価値にこだわる同社の戦略は、これからの小売業のあり方の一つの答えを示しているのかもしれません。


【企業情報】
企業名: 株式会社 タム・タム
所在地: 〒452-0842 愛知県名古屋市西区城町237
代表者: 代表取締役社長 安藤 治
設立: 1989年3月
資本金: 4,900万円
事業内容: 鉄道模型、ラジコン、プラモデル、ミリタリーグッズなどを取り扱う総合ホビー専門店の運営、およびオンラインショップでの販売

www.hs-tamtam.jp

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