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#2578 決算分析 : 株式会社SCORE 第7期決算 当期純利益 399百万円


オンラインショッピングで商品を選ぶとき、「後払い」という選択肢が当たり前になりました。商品を受け取ってから支払える安心感は、特に初めて利用するショップでの買い物のハードルを大きく下げてくれます。しかし、この便利な決済方法の裏側で、もし購入者が支払わなかった場合、そのリスクは誰が負うのでしょうか。EC事業者にとって、代金未回収は常に頭を悩ませる問題です。

今回は、この「未払いリスク」を100%保証するという画期的なサービスでEC市場の成長を支える、後払い決済のプロフェッショナル集団、株式会社SCOREの決算を読み解き、その強固なビジネスモデルと今後の戦略に迫ります。

SCORE決算

【決算ハイライト(第7期)】
資産合計: 4,166百万円 (約41.7億円)
負債合計: 2,763百万円 (約27.6億円)
純資産合計: 1,403百万円 (約14.0億円)

当期純利益: 399百万円 (約4.0億円)

自己資本比率: 約33.7%
利益剰余金: 1,233百万円 (約12.3億円)

まず注目すべきは、総資産が41億円を超える事業規模に成長し、約4億円という力強い当期純利益を確保している点です。自己資本比率も33.7%と健全な水準を維持しており、後払い決済事業特有の信用リスクを適切にコントロールしながら、安定した収益を上げていることがうかがえます。利益剰余金も着実に積み上がっており、事業の安定性と成長性が見て取れます。

企業概要
社名: 株式会社SCORE
設立: 2018年9月
株主: 株式会社DGフィナンシャルテクノロジー
事業内容: 後払い決済事業、決済データを活用した各種金融事業

www.scoring.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
同社の事業の根幹を成すのは、後払い決済サービス「スコア後払い」です。その最大の特徴は、単に決済手段を提供するだけでなく、EC事業者が抱える決済周りのあらゆる手間とリスクを丸ごと引き受ける点にあります。

✔未払いリスクを100%保証するビジネスモデル
「スコア後払い」の最大の価値は、「リスク保証型」であることです。購入者の与信審査から、請求書の発行、代金の回収、そして万が一未払いが発生した際の督促まで、すべてSCORE社が代行します。そして何より、もし購入者からの支払いが最終的になかった場合でも、SCORE社がその代金を100%保証し、EC事業者へ立て替え払いを行います。これにより、EC事業者は未回収リスクを心配することなく、安心して後払い決済を導入し、販売機会の拡大に集中できます。

✔事業者と購入者、双方にとっての利便性
事業者側にとっては、多くのECカートシステムや受注管理システムと既に連携済みのため、簡単な設定だけでスムーズに導入が可能です。購入者側にとっては、全国56,000店以上のコンビニや郵便局に加え、「楽天ペイ」や「LINE Pay」など多様なスマホアプリ決済に対応しており、非常に利便性が高くなっています。

✔通販事業の知見とDGグループのシナジー
「スコア後払い」は、「通販会社がつくった、通販会社のための後払いサービス」として始まりました。この出自により、EC事業者が何を求めているかを深く理解したサービス設計がなされています。現在は、決済サービス大手のデジタルガレージグループの一員として、グループの持つ先進的なテクノロジーや膨大な決済データを活用できるという強力なシナジーも発揮しています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
EC市場の拡大に伴い、後払い決済(BNPL: Buy Now, Pay Later)市場も世界的に急成長を続けています。特にクレジットカードを持たない若年層や、オンラインでのカード情報入力に抵抗がある層を中心に需要が拡大しており、EC事業者にとって導入は不可欠な決済手段となりつつあります。一方で市場の成長は多くの新規参入を呼び、競争は激化しています。

✔内部環境
後払い決済事業の収益性を左右するのは、貸し倒れリスクをいかに低く抑えるか、という点に尽きます。同社が安定して高い利益を計上している背景には、長年の通販事業で培われた、精度の高い独自の与信審査モデルの存在があると推察されます。また、多数のECプラットフォームと連携していることで、多くの事業者が「スコア後払い」を選びやすい状況を作り出しており、これが強力な販売網として機能しています。

✔安全性分析
貸借対照表を見ると、総資産約41.7億円に対し、純資産が約14.0億円を占め、自己資本比率は33.7%と安定しています。事業の性質上、事業者への立て替え払いが発生するため、資産の部には流動資産が大きく計上されています。これに対応する十分な純資産と、これまで着実に積み上げてきた12.3億円の利益剰余金は、不測の貸し倒れが発生した場合の財務的なバッファーとなり、事業の安定性を力強く担保しています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・事業者にとって魅力的な「代金未回収リスク100%保証」モデル
デジタルガレージグループの技術力、ブランド力、顧客基盤
・通販事業由来の豊富な経験と精度の高い与信ノハウ
・多数のECプラットフォームとの連携による導入の容易さ

弱み (Weaknesses)
・ビジネスモデル上、常に貸し倒れリスクを内包している点
・大手競合他社との競争による価格圧力

機会 (Opportunities)
・国内EC市場および後払い決済(BNPL)市場の継続的な成長
・蓄積された決済データを活用した新たな金融事業への展開
・物販EC以外の領域(サービスEC、BtoB決済など)への進出

脅威 (Threats)
・新規参入者による競争の激化と手数料率の低下
・後払い決済に関する法規制の強化や変更
・景気後退による消費者の支払い能力低下と、それに伴う貸し倒れ率の上昇

 

【今後の戦略として想像すること】
この安定した事業基盤と収益力を武器に、さらなる成長を遂げるためには、以下の戦略が考えられます。

✔短期的戦略
既存のEC事業者向けサービスをさらに深耕し、シェアを拡大していくことが基本戦略となります。AIなどを活用して与信審査モデルの精度をさらに向上させ、貸し倒れリスクを低減させながらも、より多くのユーザーに利用機会を提供できる「与信の最適化」を追求していくことが求められます。

✔中長期的戦略
事業概要にもある「決済データを活用した各種金融事業」の展開が、次の成長の鍵を握ります。例えば、優良なEC事業者に対して、売上データを基にした短期の運転資金融資(トランザクションレンディング)を提供したり、個人の支払い実績を基にした新たな与信スコアリングサービスを構築したりと、決済の枠を超えたFinTech領域への進化が期待されます。

 

【まとめ】
株式会社SCOREは、単なる決済サービス提供企業ではありません。それは、EC事業者を代金未回収のリスクから解放し、事業成長を後押しするビジネスパートナーであり、購入者には安心で便利な買い物体験を提供する社会インフラです。通販事業で培ったリスク管理能力と、デジタルガレージグループの先進的なテクノロジーという両輪を武器に、今後も成長が期待される後払い決済市場をリードし続けることが期待されます。

 

【企業情報】
企業名: 株式会社SCORE
所在地: 京都府京都市南区西九条院町26番地
代表者: 代表取締役社長 北原 光
設立: 2018年9月
資本金: 1億円
事業内容: 後払い決済事業、決済データを活用した各種金融事業
株主: 株式会社DGフィナンシャルテクノロジー

www.scoring.jp

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