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#2454 決算分析 : 石巻アスコン株式会社 第35期決算 当期純利益 ▲56百万円

日々の暮らしを支え、物流を繋ぎ、災害時には命の道となる「みち」。私たちが安全で快適な道路を利用できる裏側には、その路面を創り、守り続ける専門企業の存在が不可欠です。特に、東日本大震災からの復興と共に歩んできた宮城県石巻市において、道路は地域再生の象徴であり、未来へと続く希望の道でもあります。

今回は、その石巻の地で、道路舗装の材料であるアスファルト合材の製造・販売と、廃材のリサイクルを両輪に、地域のインフラ整備を力強く支える、石巻アスコン株式会社の決算を分析します。

地域社会に不可欠な役割を担う企業が、なぜ赤字に直面しているのか。その財務内容から、地域インフラ企業の経営実態と、その揺るぎない安定性に迫ります。

石巻アスコン決算

【決算ハイライト(第35期)】
資産合計: 393百万円 (約3.9億円)
負債合計: 187百万円 (約1.9億円)
純資産合計: 205百万円 (約2.1億円)

当期純損失: 56百万円 (約0.6億円)

自己資本比率: 約52.3%
利益剰余金: 195百万円 (約2.0億円)

まず注目すべきは、当期は56百万円の純損失を計上している一方で、自己資本比率が約52.3%と極めて高い水準にある点です。利益剰余金も約2億円と潤沢に蓄積されており、長年にわたり健全な経営を続けてきたことがうかがえます。これは、公共事業の動向に左右されやすい事業の特性上、厳しい年度であったことを示唆しますが、それを十分に吸収できるだけの強固な財務基盤が確立されていることを証明しています。

企業概要
社名: 石巻アスコン株式会社
設立: 1990年
事業内容: アスファルト合材の製造販売を主軸に、建設廃材(アスファルト殻・コンクリート殻)のリサイクル、舗装資材の販売、技術支援などを手掛ける総合舗装ソリューション企業。

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【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、単にアスファルト合材を製造するだけでなく、資源循環と、顧客である建設会社への包括的なサポートまでを視野に入れた、地域密着のビジネスモデルを構築しています。

アスファルト合材供給事業
石巻市に自社工場を構え、道路舗装の主材料である各種アスファルト合材を製造・販売しています。グループ工場との連携により、宮城県内全域をカバーできる供給ネットワークが強みです。同社の出荷実績を見ると、その供給先は国土交通省宮城県石巻市などが発注する公共工事がほとんどであり、地域のインフラ整備に不可欠な役割を担っていることがわかります。

✔資源循環・環境事業
同社の大きな特徴が、建設現場で発生する古いアスファルトやコンクリートの廃材を受け入れ、それを破砕処理し、新たなアスファルト合材や路盤材として再生させるリサイクル事業です。これは、廃棄物の削減と資源の有効活用を両立する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を実践するものであり、「宮城県グリーン製品」としての認定も受けています。

✔総合舗装ソリューション事業
モノの提供に留まらず、顧客への技術的なサポートも手厚く行っています。アスファルト乳剤などの関連資材の販売から、グループ内の施工会社(近代建設株式会社)の紹介、さらには現場での各種品質試験の実施や、舗装に関する技術相談まで、顧客の「困りごと」をワンストップで解決できる体制を整えています。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
同社の事業は、その出荷実績が示す通り、国や県、市町村による公共事業(道路工事)の量にほぼ完全に連動します。東日本大震災以降、復興・復旧事業が長期にわたり活発であったことが、同社の成長を支えてきた大きな要因と考えられます。近年は、復興事業から、既存インフラの維持・補修へと需要がシフトしています。

✔内部環境
当期の56百万円という赤字は、いくつかの要因が考えられます。公共事業は年度ごとに発注量が変動するため、大型案件が少ない年度は売上が落ち込み、工場の固定費(減価償却費、人件費、光熱費など)を吸収しきれず、赤字となる可能性があります。また、昨今の原油価格高騰は、アスファルトの主原料であるビチューメンの価格に直結するため、コストを急激に押し上げ、利益を圧迫したことも大きな要因と推測されます。

✔安全性分析
自己資本比率約52.3%という数値は、製造業として極めて健全であり、高い財務安定性を示しています。約2億円の利益剰余金は、過去の好調な時期に得た利益を堅実に蓄積してきた証です。これにより、公共事業の波による一時的な赤字の年度があっても、経営が揺らぐことはありません。むしろ、こうした厳しい時期を乗り越えるための体力が十分にあることを証明しています。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
石巻という地域に深く根差し、公共事業を担う建設会社との強固な信頼関係。
・廃材を資源として再利用する、環境配慮型のサーキュラーエコノミーを実践している点。
自己資本比率52.3%という、盤石な財務基盤と経営の安定性。
・グループ連携による、宮城県内をカバーする供給網と、施工まで含めた総合提案力。

弱み (Weaknesses)
・公共事業への依存度が高く、国の予算編成や自治体の財政状況によって業績が大きく変動する。
原油価格など、原材料の国際市況の変動が、直接的にコストを圧迫する。

機会 (Opportunities)
・全国的なインフラ老朽化対策としての、道路の維持・補修工事の継続的な需要。
・防災・減災のための「国土強靭化計画」に伴う、インフラ整備の拡大。
・環境意識の高まりによる、リサイクル資材(グリーン製品)への需要増加。

脅威 (Threats)
・公共事業予算の大幅な削減。
・同業他社との、公共工事の入札における価格競争の激化。
・大規模な自然災害による、工場設備の被災リスク。


【今後の戦略として想像すること】
盤石な財務基盤を持つ同社は、引き続き地域社会への貢献を軸に、事業の安定化と付加価値向上を目指していくと考えられます。

✔短期的戦略
公共事業の発注動向を注視し、地域の建設会社と密に連携しながら、安定した受注の確保に努めることが最優先です。同時に、原油・エネルギー価格の動向に対応するため、製造工程の省エネ化など、徹底したコスト管理を推進していくでしょう。

✔中長期的戦略
強みであるリサイクル技術をさらに進化させ、より付加価値の高い環境配慮型製品を開発・提供していくことが期待されます。例えば、再生材の使用比率をさらに高めたアスファルト合材や、特殊な機能を持つ舗装材などを市場に投入することで、価格競争から一線を画す存在を目指す可能性があります。


【まとめ】
石巻アスコンは、道路という社会の礎を、文字通り足元から創り上げている企業です。第35期決算が示した赤字は、公共事業に依存する企業の宿命とも言える、厳しい事業環境の一断面を切り取ったものです。

しかし、同時に明らかになった自己資本比率52.3%という強固な財務基盤は、同社が幾多の困難を乗り越え、地域と共に歩んできた歴史の証そのものです。東日本大震災からの復興を支え、そして今も日々の暮らしと安全を守る道を創り続ける。その社会的意義は、単年度の損益計算書だけでは決して測ることはできません。


【企業情報】
企業名: 石巻アスコン株式会社
所在地: 宮城県石巻市鹿又字山下西100番地
代表者: 代表取締役社長 櫻井 勝規
設立: 1990年10月
資本金: 1,000万円
事業内容: アスファルト合材製造販売、産業廃棄物処理アスファルト殻・コンクリート殻)、舗装資材販売など

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