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#2414 決算分析 : 株式会社ハッピーヘルツ 第16期決算 当期純利益 ▲13百万円

フィットネスジムやフォトスタジオ、そして保険代理店。一見すると、それぞれ全く異なる分野に見えるこれらのビジネス。しかし、その根底には、「人々のしあわせな人生(こころ)を豊かにしたい」という共通の想いが流れています。今回は、このユニークな理念のもと、多様なライフスタイル事業を展開する、大阪府吹田市の「株式会社ハッピーヘルツ」に焦点を当てます。社名に「しあわせ(Happy)」と「こころ(herz)」を冠し、「しあわせ仕掛け人」を自称する同社は、どのような経営を行っているのか。第16期決算公告から、その財務状況と事業の多様性に迫ります。

ハッピーヘルツ決算

【決算ハイライト(第16期)】
資産合計: 227百万円 (約2.3億円)
負債合計: 10百万円 (約0.1億円)
純資産合計: 217百万円 (約2.2億円)

当期純損失: 13百万円 (約0.1億円)

自己資本比率: 約95.4%
利益剰余金: 157百万円 (約1.6億円)

決算数値でまず驚かされるのが、自己資本比率が約95.4%という、ほぼ無借金経営と言える鉄壁の財務基盤です。総資産約2.3億円に対し、負債はわずか0.1億円に過ぎず、極めて高い経営の安全性を誇ります。資本金50百万円に対し、その3倍以上となる約1.6億円の利益剰余金が積み上がっていることも、長年にわたり安定的に利益を蓄積してきた優良企業の証左です。一方で、当期は13百万円の純損失を計上しました。これは、後述する新規事業への先行投資などが影響した可能性がありますが、この強固な財務基盤があれば、一時的な損失は十分に吸収可能であり、未来への投資と前向きに捉えることができます。

企業概要
社名: 株式会社ハッピーヘルツ
設立: 2010年7月8日
株主: オッペン化粧品株式会社(過去の沿革から親会社であることが明確)
事業内容: 大阪府吹田市を拠点に、フォトスタジオ、フィットネスジム、飲食店舗の企画・運営から、保険代理業、化粧品・健康食品の通信販売まで、多岐にわたるライフスタイル関連事業を展開。

www.happyherz.co.jp


【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、「しあわせを発信し、一人でも多くの人がいつまでもしあわせな『herz(こころ)』でいられますように」という願いのもと、人々の生活を豊かに彩る、多彩なサービスで構成されています。

ウェルネス事業
心身の健康と充実をサポートする事業です。
・フィットネスジムの企画・運営:2021年に、完全個室の貸切ジム「MonoGym(モノジム)」をオープン。プライベートな空間でトレーニングに集中したいという、現代の新たなニーズに応えています。
・健康食品・清涼飲料水の製造・販売:親会社であるオッペン化粧品のノウハウも活かし、体の内側からの健康づくりをサポートします。

✔ライフスタイル・サービス事業
日々の暮らしに喜びと安心を提供する事業です。
・フォトスタジオの企画・運営:人生の大切な瞬間を形に残すサービスを提供。
・飲食店舗の企画・運営:過去にはイタリアンジェラートショップ「マリオジェラテリア」の運営経験もあります。
・保険代理業:万が一のリスクに備え、人々の生活に安心を提供します。
・通信販売業務:化粧品や日用雑貨、食品などを、ECを通じて全国の顧客に届けます。

✔オッペングループとのシナジー
同社のルーツは、大手化粧品メーカーであるオッペン化粧品の子会社として、Web通販事業を手掛ける「株式会社エフトゥーワン」にあります。その後、複数の事業を統合し、現在の形となりました。親会社であるオッペン化粧品との連携は、同社の経営における大きな強みです。化粧品や健康食品の分野における研究開発力やブランド力、そして全国に広がる販売網を活用できることは、事業展開において大きなアドバンテージとなります。


【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
同社が事業を展開するウェルネス市場やライフスタイル関連サービス市場は、人々の価値観の多様化を背景に、常に新たなニーズが生まれる変化の激しい市場です。特に、コロナ禍を経て、健康意識の高まりや、プライベートな空間を重視する傾向が強まっており、「個室ジム」のような新しい業態への追い風となっています。

✔内部環境
同社のビジネスモデルは、性質の異なる複数の小規模事業を組み合わせる「ポートフォリオ経営」です。これにより、特定の市場の浮沈に左右されない、安定した収益構造の構築を目指していると考えられます。当期の13百万円の赤字は、新規事業である「MonoGym」の立ち上げに伴う初期投資や、広告宣伝費が先行した結果である可能性が高いと推察されます。

✔安全性分析
自己資本比率95.4%という数値が示す通り、財務の安全性はこれ以上ないほど万全です。短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産÷流動負債)も約1200%と驚異的な水準にあり、資金繰りには全く懸念がありません。この鉄壁とも言える財務基盤があるからこそ、失敗を恐れずに新たな事業に挑戦し、「しあわせ仕掛け人」としての理念を追求することができるのです。


SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率95.4%を誇る、鉄壁の財務基盤。
・親会社であるオッペン化粧品の、ブランド力、研究開発力、信用力。
・多角的な事業ポートフォリオによる、リスク分散と安定性。
・「個室ジム」など、時代のニーズを捉えたユニークな事業開発力。

弱み (Weaknesses)
・各事業の規模が比較的小さく、スケールメリットを活かしにくい可能性がある。
多角化している分、経営資源が分散し、各分野での専門性が問われる。

機会 (Opportunities)
・健康志向の高まりによる、フィットネス市場や健康食品市場の拡大。
・EC市場の成長に伴う、通信販売事業のさらなる伸長。
・親会社の顧客基盤を活用した、新たなサービスのクロスセル。

脅威 (Threats)
・フィットネスジムや飲食業界における、同業他社との厳しい競争。
・景気後退による、個人の可処分所得の減少と、趣味・嗜好品への支出抑制。
・新たな感染症の発生などによる、店舗型ビジネスへの影響。


【今後の戦略として想像すること】
この事業環境と優れた財務状況を踏まえ、同社が今後どのような戦略を描いていくか、以下のように想像します。

✔短期的戦略
まずは、2021年に立ち上げた個室ジム「MonoGym」事業を軌道に乗せ、収益の柱へと育てていくことに注力するでしょう。大阪・北浜の1号店に続き、多店舗展開を加速させ、ブランド認知度を高めていくと考えられます。同時に、既存の通信販売や保険代理業で、安定したキャッシュフローを確保していきます。

✔中長期的戦略
「しあわせ仕掛け人」として、人々のライフステージに寄り添う、新たなサービスを次々と生み出していくことが期待されます。例えば、フォトスタジオとフィットネスジムを連携させ、結婚式に向けた「ブライダルボディメイクプラン」を提供したり、保険代理業の顧客に健康増進のためのサービスを提案したりと、事業間のシナジーを追求していくでしょう。親会社であるオッペン化粧品との連携をさらに深め、美容・健康・金融を融合させた、新たなウェルネスプラットフォームを構築していく可能性も秘めています。


【まとめ】
株式会社ハッピーヘルツの決算は、13百万円の純損失という結果ながらも、自己資本比率95%超という驚異的な財務基盤を背景に、未来への積極的な投資を行っている、挑戦する企業の姿を映し出すものでした。同社は、特定の分野の専門企業ではありません。それは、「しあわせ」という普遍的な価値をテーマに、フィットネス、フォト、保険、通販といった多様な切り口で、人々の人生を豊かに彩ろうとする、ユニークな「ライフスタイル創造企業」です。この強固な財務基盤と、失敗を恐れないチャレンジ精神があれば、今回の赤字は必ずや未来の大きな成長へと繋がるはずです。これからも、私たちのこころが躍るような、新しい「しあわせ」を仕掛け続けてくれることを大いに期待します。


【企業情報】
企業名: 株式会社ハッピーヘルツ
所在地: 大阪府吹田市岸部南2-17-1
設立: 2010年7月8日
代表者: 伊藤 将志
資本金: 5,000万円
事業内容: フォトスタジオ、フィットネスジム、飲食店舗の企画・運営、保険代理業、通信販売業務、化粧品・健康食品等の販売及び輸出入
株主: オッペン化粧品株式会社

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