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#2092 決算分析 : 株式会社総合設計 第47期決算 当期純利益 283百万円


私たちが日々利用する橋やトンネル、そして働くオフィスビルや住むマンション。その安全性の根幹を支えているのが、建物の骨格を計算し、形にする「構造設計」という専門技術です。株式会社総合設計は、1978年の設立以来、この極めて重要な役割を担い、特に上下水道施設といった複雑な社会インフラから一般建築物まで、幅広い構造物の設計と、地震国・日本に不可欠な耐震診断・補強を手掛けてきた技術者集団です。今回は、東証プライム上場企業・カーリットグループの一員として、日本の安全・安心を支える同社の、驚異的な財務内容と経営戦略に迫ります。

今回は、建築と土木の両分野で高度な構造設計・耐震技術を提供する株式会社総合設計の決算を読み解き、そのビジネスモデルや戦略をみていきます。

総合設計決算

【決算ハイライト(47期)】
資産合計: 1,636百万円 (約16.4億円)
負債合計: 654百万円 (約6.5億円)
純資産合計: 982百万円 (約9.8億円)

当期純利益: 283百万円 (約2.8億円)

自己資本比率: 約60.0%
利益剰余金: 972百万円 (約9.7億円)

まず注目すべきは、自己資本比率が約60.0%という、極めて高い水準にあることです。これは財務基盤が非常に強固で、安定した経営が行われていることを示しています。さらに、利益剰余金が約9.7億円と、資本金(1,000万円)の97倍にも達しており、長年にわたり非常に高い収益を上げ続けてきた超優良企業であることがわかります。2.8億円という高い当期純利益も、その専門性と収益力の高さを物語っています。

企業概要
社名: 株式会社総合設計
設立: 1978年11月
株主: 株式会社カーリットホールディングス(100%)
事業内容: 建築・土木構造物の構造設計、意匠設計、耐震診断・耐震補強、構造解析

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【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、建物の「骨格」を創り、守るという、社会的に極めて重要な役割を担っています。その最大の特徴は、建築と土木という2つの領域を高いレベルで融合させている点にあります。

✔建築設計・土木設計(構造)
事業の中核をなすのが、建築物および土木構造物の構造設計です。住宅やマンションといった一般的な建築物はもちろん、上下水道施設のような、水圧など特殊な力がかかる大規模で複雑なインフラの構造設計を得意としており、これが同社の高い技術力を象徴しています。

✔建築・土木 耐震診断/耐震補強
地震大国である日本において、同社のもう一つの重要な柱がこの事業です。既存の建築物や橋梁、トンネルなどが、現在の耐震基準を満たしているかを診断し、必要に応じて最適な補強方法を設計します。インフラの老朽化が社会問題となる中、その需要は年々高まっています。

✔カーリットグループとしてのシナジー
同社は、産業用化学品や発炎筒などを手掛ける東証プライム上場企業、カーリットホールディングスの100%子会社です。安定した経営基盤を得られるだけでなく、親会社が持つ化学・素材分野の知見を、将来的に新たな耐震補強材料や工法の開発に活かせる可能性も秘めています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
驚異的な財務内容の背景にある経営戦略を分析します。

✔外部環境
日本では、高度経済成長期に建設された橋梁やトンネル、上下水道施設といった社会インフラの老朽化が深刻な問題となっており、その維持・更新・長寿命化が国家的な課題です。これにより、同社が強みとする耐震診断や耐震補強の市場は、今後も長期にわたって安定的に拡大することが見込まれます。

✔内部環境
同社のビジネスモデルは、一級建築士技術士といった高度な専門知識を持つ「人」そのものが資本です。貸借対照表上、大きな工場や設備を必要としないため、固定資産が少なく、財務が非常にスリムで柔軟性が高いのが特徴です。長年の実績と、親会社であるカーリットの信用力が、官公庁や大手ゼネコンからの安定した受注に繋がっています。

✔安全性分析
財務の安全性は、まさに鉄壁です。自己資本比率60.0%という数値は、企業が保有する資産の半分以上を返済不要の自己資金で賄っていることを意味し、倒産リスクは皆無と言えます。短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産÷流動負債)も約192%と高く、資金繰りは万全です。約9.7億円という巨額の利益剰余金は、将来の新たな技術開発への投資や、万が一の景気後退にも十分耐えうる強力な経営基盤となっています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率60.0%を誇る、圧倒的に強固な財務基盤と巨額の利益剰余金
・建築と土木の両分野をカバーする、総合的で高度な技術力
東証プライム上場企業グループの一員であることによる、高い信用力と安定性
・インフラ老朽化対策という、成長が期待される市場での事業展開

弱み (Weaknesses)
・事業が国内の公共事業や建設投資の動向に依存する
・事業の根幹が「人」であるため、優秀な技術者の確保・育成が常に課題

機会 (Opportunities)
・全国的なインフラ老朽化に伴う、維持・補修・補強市場のさらなる拡大
・防災・減災意識の高まりによる、より高度な耐震・防災設計へのニーズ
・BIM/CIMなど、建設業界のDX化に対応した新たな設計手法の導入

脅威 (Threats)
・公共事業費の大幅な削減リスク
・建設コンサルタント業界における、技術者獲得競争の激化
・大規模な自然災害による、プロジェクトへの影響

 

【今後の戦略として想像すること】
この事業環境を踏まえ、同社が持続的に成長するための戦略を考察します。

✔短期的戦略
今後も需要の拡大が見込まれるインフラの耐震診断・補強事業に、経営資源を重点的に投下していくことが最優先です。特に、地方自治体が管理する橋梁や上下水道施設など、これまで手が届きにくかった領域へのアプローチを強化し、シェアを拡大していくことが考えられます。

✔中長期的戦略
「構造設計のプロフェッショナル」から、「インフラのライフサイクル全体をマネジメントするソリューション企業」への進化を目指すことになるでしょう。設計・補強だけでなく、ドローンやIoTセンサーなどを活用したインフラの点検・モニタリングサービスや、AIを用いた劣化予測など、維持管理の領域まで事業を拡大していくことが期待されます。親会社であるカーリットの素材技術との連携も、将来の大きな差別化要因となる可能性があります。

 

【まとめ】
株式会社総合設計は、単なる設計事務所ではありません。それは、日本の社会インフラの安全性を、その根幹である「構造」の面から支える、極めて公共性の高い技術者集団です。決算書に示された鉄壁の財務基盤は、その責任の重さと、長年にわたる誠実な仕事の賜物です。インフラの老朽化という避けては通れない課題に日本が直面する中、同社が果たす役割は、今後ますます重要になっていくに違いありません。

 

【企業情報】
企業名: 株式会社総合設計
所在地: 東京都港区西新橋一丁目7番14号 京阪神虎ノ門ビル7F
代表者: 天内 心
設立: 1978年11月
資本金: 1,000万円
事業内容: 総合建設コンサルタント。建築設計(構造・意匠)、土木設計(構造)、および建築・土木構造物の耐震診断・耐震補強、FEM等構造解析などを手掛ける。
株主: 株式会社カーリットホールディングス(100%)

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