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#1990 決算分析 : 株式会社エクサ 第38期決算 当期純利益 3,382百万円


日本の産業を支える二つの巨輪、それは世界クラスの「ものづくり」を誇る製造業と、社会の神経網を構築する「ITインフラ」です。もし、この二つの業界のトッププレーヤーが持つ知見と技術、そのDNAを融合させたIT企業があるとしたら、それはどのような価値を生み出すのでしょうか。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる今、現場の課題を知り尽くした「使い手」の視点と、システムを知り尽くした「作り手」の視点を併せ持つパートナーこそが、真の変革を導く鍵となります。

今回は、製鉄の雄・JFEスチールと、ITインフラの巨人・キンドリルジャパン(旧IBM Japanのインフラサービス部門)を株主に持つユニークなITサービス企業、株式会社エクサの決算を読み解き、その傑出した収益性と成長戦略に迫ります。

エクサ決算

【決算ハイライト(第38期)】
資産合計: 20,327百万円 (約203.3億円)
負債合計: 11,352百万円 (約113.5億円)
純資産合計: 8,975百万円 (約89.8億円)

売上高: 34,042百万円 (約340.4億円)
当期純利益: 3,382百万円 (約33.8億円)

自己資本比率: 約44.2%
利益剰余金: 7,678百万円 (約76.8億円)

まず注目すべきは、その傑出した収益性です。売上高約340億円に対し、本業の儲けを示す営業利益は約48.6億円(営業利益率約14.3%)、最終的な当期純利益は約33.8億円(当期純利益率約9.9%)に達しています。これは、ITサービス業界において非常に高い水準であり、同社が付加価値の高い事業領域で確固たる地位を築いていることを示しています。また、自己資本比率も約44.2%と健全な水準を維持しており、約76.8億円の利益剰余金を積み上げるなど、財務基盤も盤石です。高い収益性と安定した財務を両立した、優良企業の姿がここにあります。

企業概要
社名: 株式会社エクサ
設立: 1987年10月1日
株主: キンドリルジャパン株式会社 51%, JFEスチール株式会社 49%
事業内容: 製造業や金融業を主軸に、コンサルティングからシステム開発、運用・保守までを手掛けるITサービス企業

www.exa-corp.co.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
同社の事業の核心は、JFEスチール(旧日本鋼管)とキンドリルジャパン(旧日本IBM)という、二つの異なる企業のDNAを融合させた、独自の価値提供モデルにあります。

✔製造業向けソリューション
JFEスチール情報システム部門を祖とする同社は、製造現場の業務プロセスを深く理解しています。その知見を活かし、ERPやSCMの導入、設備の資産管理といった「製造DX」を強力に推進しています。単なるシステム開発に留まらず、ものづくりの現場が抱える本質的な課題を解決する提案力が最大の強みです。

✔金融業向けソリューション
キンドリルジャパン(IBM)から受け継いだノウハウを活かし、ペイメント(決済)や保険といった金融分野でも高い専門性を発揮しています。「FinTech」領域で、デザイン思考を用いた新規ビジネスの価値創出を支援するなど、先進的な取り組みも行っています。

✔IT基盤ソリューション
企業の心臓部であるITインフラの構築・運用も同社の得意分野です。特に、長年の運用が課題となっているメインフレームのモダナイゼーション(近代化)サービス「EXERA」や、AWSに代表されるクラウドインテグレーションにおいて、高い技術力を誇っています。

✔その他、特筆すべき事業や特徴
同社のユニークさは、製造業というITの「ユーザー」と、ITインフラという「プロバイダー」の両方の視点を社内に併せ持つ点にあります。この「ハイブリッドDNA」により、机上の空論ではない、現場で本当に役立つ実用的なDXを実現できることが、他社にはない競争優位性の源泉となっています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
国内のあらゆる産業で、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が加速しており、ITサービス市場は活況を呈しています。特に、同社が得意とする製造業のスマート化や金融業のデジタルシフト、そして老朽化した基幹システムの刷新(モダナイゼーション)は、今後も継続的な成長が見込まれる巨大な市場です。一方で、IT人材の不足と、コンサルティングファームクラウドベンダーなども含めた競争の激化が課題となっています。

✔内部環境
営業利益率14%超という高い収益性は、同社が価格競争の激しい単純な開発案件ではなく、顧客の経営課題に踏み込むコンサルティングや、専門性の高い領域に特化していることを示唆しています。また、JFEスチールとキンドリルジャパンという強力な株主の存在は、安定した顧客基盤と、最新技術へのアクセスを担保しており、経営の安定に大きく寄与しています。

✔安全性分析
自己資本比率約44.2%という財務内容は、企業の安全性が非常に高いことを示しています。豊富な利益剰余金は、将来の成長に向けた研究開発や人材投資への十分な余力を意味します。事業の収益性、安定性、安全性のいずれも高水準でバランスが取れており、経営の質の高さがうかがえます。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
JFEスチールの「現場知」とキンドリルの「IT技術力」を融合した独自のハイブリッドDNA
・営業利益率14%超を誇る、極めて高い収益性
・健全な自己資本比率と豊富な内部留保を持つ、盤石な財務基盤
・二つの株主企業からもたらされる、安定した顧客基盤とビジネス機会
・製造DX、FinTech、モダナイゼーションといった高需要領域での高い専門性

弱み (Weaknesses)
・株主である2社の経営方針や戦略的優先順位に影響を受ける可能性がある
・親会社のブランド力と比較した場合の、独自のブランド認知度
・IT業界共通の課題である、優秀な専門人材の確保と維持

機会 (Opportunities)
・国内製造業・金融業における、根強いDX投資需要
・老朽化したメインフレームシステムの刷新という巨大なモダナイゼーション市場
・SAPやAWSといった主要テクノロジーパートナーとの連携強化による、ソリューションの高度化
・株主2社の顧客基盤を相互に活用した、クロスセルによる事業拡大

脅威 (Threats)
・ITサービス業界における、大手コンサルティングファーム外資系企業との競争激化
・景気後退局面における、企業のIT投資抑制リスク
・急速な技術革新への追随と、それに伴う継続的な人材育成の必要性
・国内のIT人材不足の深刻化

 

【今後の戦略として想像すること】
この傑出した経営基盤と独自の強みを活かし、同社はさらなる成長を目指すでしょう。

✔短期的戦略
メインフレームモダナイゼーションサービス「EXERA」や、CTCとの協業による設備保全ソリューションなど、最近発表された新サービスを軸に、得意領域でのシェア拡大を積極的に進めていくと考えられます。また、AWSやSAPといったパートナー企業との連携をさらに深め、最新技術をいち早く顧客に提供する体制を強化していくでしょう。

✔中長期的戦略
「ハイブリッドDNA」を最大限に活かし、業界の垣根を越えた新しいソリューションの創出を目指す可能性があります。例えば、製造業のサプライチェーンに金融(FinTech)の仕組みを組み込むといった、同社ならではのユニークな価値提供です。企業の表層的なデジタル化(デジタイゼーション)に留まらず、ビジネスモデルそのものの変革(BX:ビジネストランスフォーメーション)を支援する、より上流のコンサルティング領域へのシフトを加速させていくことが期待されます。

 

【まとめ】
株式会社エクサは、製鉄とITインフラという、日本の産業を支える二大巨頭のDNAを受け継ぐ、他に類を見ないITサービス企業です。その決算内容は、高い収益性と盤石な財務基盤を両立した、まさに「優良企業」と呼ぶにふさわしいものです。

同社の成功の本質は、製造現場のリアルな課題を知る「ユーザー視点」と、ITインフラの最適解を知る「プロバイダー視点」を社内で融合させ、顧客にとって本当に価値のあるDXを実現できる点にあります。この独自の強みを武器に、株式会社エクサはこれからも、日本の産業界が直面する複雑な課題を解決する、最高のパートナーであり続けることでしょう。

 

【企業情報】
企業名: 株式会社エクサ
所在地: 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-4-5 横浜アイマークプレイス2階
代表者: 代表取締役 社長執行役員 林 勇太
設立: 1987年10月1日
資本金: 1,250百万円
事業内容: システム全般に関するコンサルティング、情報システムの企画・設計・開発・構築・運用・保守、クラウドサービスの提供等
株主: キンドリルジャパン株式会社 51%, JFEスチール株式会社 49%

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