決算公告データ倉庫

決算公告を自分用に収集し保管している倉庫。あくまで自分用であり、引用する決算公告を除き内容の正確性/真実性を保証できない点はご容赦ください。


#1812 決算分析 : 積水ホームテクノ株式会社 第24期決算 当期純利益 1,343百万円


楽天アフィリエイト

私たち日本人にとって、お風呂は一日の疲れを癒し、心身をリフレッシュさせる特別な空間です。その「浴空間」に特化し、半世紀以上にわたって技術を磨き続けてきた企業が、積水化学グループの中核を担う積水ホームテクノ株式会社です。同社は、1963年に国産初のプラスチック浴槽を世に送り出して以来、常に時代のニーズを先取りし、特に日本の深刻な課題である「高齢化」に真摯に向き合ってきました。今回は、積水ハウスをはじめとする大手ハウスメーカーからも絶大な信頼を得る、このユニットバスのプロフェッショナル集団の決算を読み解き、その強さの秘密と、これからの住・社会を見据えた戦略に迫ります。

積水ホームテクノ決算

決算ハイライト(第24期)
資産合計: 17,295百万円 (約173億円)
負債合計: 10,867百万円 (約109億円)
純資産合計: 6,428百万円 (約64億円)

当期純利益: 1,343百万円 (約13.4億円)

自己資本比率: 約37.2%
利益剰余金: 5,971百万円 (約60億円)

 

まず注目すべきは、安定した収益性です。当期純利益として13.4億円を確保しており、着実な経営を行っていることがうかがえます。自己資本比率は約37.2%と製造業として健全な水準を維持しており、純資産約64億円のうち、利益剰余金が約60億円を占めていることから、長年にわたり着実に利益を蓄積してきたことが分かります。これは、国内の新設住宅市場という厳しい環境下でも、同社の製品とサービスが高い競争力を持っていることの証左と言えるでしょう。

 

企業概要
社名: 積水ホームテクノ株式会社
設立: 2001年4月(積水化学工業株式会社の住設部門と販売会社6社が合併)
株主: 積水化学工業株式会社(100%)
事業内容: 住宅向け及び介護施設向けユニットバス・設備機器の製造・販売、関連部材の販売、リフォーム・メンテナンス工事など、「浴空間」に関するトータルソリューションを提供。

www.sekisui-hometechno.co.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
同社のビジネスモデルの核心は、「浴空間」という専門領域に特化し、開発から製造、施工、アフターメンテナンスまでを一貫して手掛けるトータルサポート体制にあります。

✔住宅向けユニットバス事業
積水ハウス旭化成ホームズといった大手ハウスメーカーを主要顧客とし、戸建・集合住宅向けのユニットバスを供給する中核事業です。顧客であるハウスメーカーのニーズに合わせたカスタマイズ対応力と、積水化学グループとして培った高い技術力(高断熱性能など)が強みです。デザイン性だけでなく、ユニバーサルデザインや清掃性といった、生活者の視点に立った製品開発で高い評価を得ています。

✔介護・福祉向け事業「wells(ウェルス)」
同社の未来を象徴する、極めて重要な戦略的事業です。超高齢社会という日本の大きな課題に対し、「入浴」という観点からソリューションを提供します。介護施設や病院向けに、寝たきりの方でも安全・快適に入浴できるリフト付きの特殊浴槽や、介助者の負担を軽減するシャワーシステムなどを開発・販売。1986年に高齢者配慮専門研究所を設立して以来、長年にわたり蓄積してきた知見とノウハウが、この事業の強力な競争優位性の源泉となっています。

✔リフォーム・メンテナンス事業
一度納入した製品のメンテナンスや、既存住宅の浴室リフォームを手掛けるストック型ビジネスです。新設住宅市場が縮小傾向にある中、このリフォーム・メンテナンス事業は安定した収益基盤として、また顧客との長期的な関係を維持するための重要な接点として、その重要性を増しています。

✔一貫したビジネスモデル
同社の強さは、単に製品を製造・販売するだけでなく、「開発→製造(アセンブル)→施工・工事→アフターメンテナンス」というバリューチェーン全体を自社グループでカバーしている点にあります。これにより、高い品質管理を維持できるだけでなく、メンテナンスなどを通じて得られた顧客の声を次の製品開発に活かすという好循環を生み出しています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
国内の少子高齢化と人口減少は、新設住宅着工戸数の減少という形で、同社の主力事業に長期的な逆風をもたらしています。これが最大の脅威です。しかし、このマクロトレンドは同時に、「高齢者向け住宅・介護施設の増加」と「既存住宅のリフォーム需要拡大」という二つの大きな事業機会を生み出しています。まさに、ピンチをチャンスに変える経営戦略が求められる環境です。また、省エネや環境配慮への社会的な関心の高まりは、高断熱浴槽など、同社の技術力を活かせる追い風となっています。

✔内部環境
経営ビジョンに「高齢化が進む住・社会に寄り添いお客様と共に、豊かな暮らしを創っていきます」と掲げている通り、同社は明確に「高齢化社会への対応」を事業の軸に据えています。これは、縮小する新設市場から、成長が見込まれる介護・リフォーム市場へと事業の重心をシフトさせるという、明確な戦略の表れです。積水化学工業の100%子会社であるという強力なバックボーンは、研究開発や信用力の面で大きなアドバンテージとなっています。

✔安全性分析
自己資本比率37.2%は、安定した財務基盤を示しています。流動資産(約156億円)が流動負債(約97億円)を大きく上回っており(流動比率約161%)、短期的な支払い能力にも全く問題はありません。潤沢な利益剰余金は、将来の成長に向けた研究開発投資や設備投資を支える体力があることを示しており、財務安全性は高いと評価できます。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
積水化学グループとしての高いブランド力、信用力、研究開発力
積水ハウスなど大手ハウスメーカーとの強固な取引関係
・高齢者・介護向け「浴空間」における、長年の研究に裏打ちされた専門性と先進性
・開発から製造、施工、メンテナンスまでの一貫したトータルサポート体制
グッドデザイン賞を多数受賞している、高いデザイン性と製品開発力

弱み (Weaknesses)
・国内の新設住宅市場への依存度が高く、市場縮小の影響を受けやすい
・事業領域が「浴空間」に特化しているため、事業ポートフォリオの多様性に欠ける
TOTOLIXILといった住宅設備総合メーカーと比較すると、事業規模が小さい

機会 (Opportunities)
・超高齢社会の進展に伴う、介護施設向け特殊浴槽やバリアフリーリフォーム需要の爆発的な増加
・既存住宅ストックの増加による、リフォーム・リノベーション市場の拡大
・健康・ウェルネス志向の高まりによる、高付加価値な入浴体験(シャワー温浴など)へのニーズ
・住宅の省エネ基準厳格化に伴う、高断熱浴槽など環境配慮型製品の需要増

脅威 (Threats)
・人口減少による、国内新設住宅着工戸数の長期的な減少トレンド
TOTOLIXILなど、ブランド力と総合力で勝る大手競合との厳しい競争
・原材料価格や物流コストの高騰による、利益率の圧迫
・住宅市場の景気変動による影響

 

【今後の戦略として想像すること】
高齢化社会」というメガトレンドを確実にとらえ、事業構造の転換をさらに加速させていく戦略が予想されます。

✔短期的戦略
まずは、成長領域であるリフォーム事業の強化が急務でしょう。既存住宅の浴室リフォームを検討している個人顧客やリフォーム会社への営業体制を強化し、新築市場への依存度を低減させていくと考えられます。また、大手ハウスメーカー向けには、標準仕様としての高断熱浴槽の採用を働きかけるなど、環境性能を切り口とした高付加価値化提案を進めていくと想像されます。

✔中長期的戦略
同社の未来は、介護・福祉向け事業ブランド「wells」の成長に懸かっていると言っても過言ではありません。介護施設の事業者に対して、単に浴槽を販売するだけでなく、入浴介助全体の効率化や、介助者の負担軽減、そして入浴者のQOL(生活の質)向上までを含めた総合的なソリューション提案を強化していくでしょう。将来的には、浴槽にセンサーを組み込み、入浴中のバイタルデータを測定して健康管理に役立てるなど、IoTやヘルスケア領域との融合も視野に入れている可能性があります。「浴空間のプロフェッショナル」から「高齢化社会の課題解決プロフェッショナル」への進化が期待されます。

 

まとめ
積水ホームテクノは、単なるユニットバスメーカーではありません。それは、日本の社会が直面する「高齢化」という大きな課題に対し、「浴空間」という専門領域から真摯に向き合い、具体的なソリューションを提供し続ける課題解決型企業です。新築住宅市場の縮小という逆風の中、長年培ってきたユニバーサルデザインの知見と、介護・福祉分野での実績を武器に、リフォームや介護施設といった成長市場へと事業の軸足を着実に移しています。これからも、「お風呂から始める、豊かな暮らし」をコンセプトに、すべての人にとって安全で快適な入浴体験を創造し、日本の豊かな未来に貢献していくことが期待されます。

 

企業情報
企業名: 積水ホームテクノ株式会社
所在地: 大阪府大阪市淀川区宮原3丁目4番30号 ニッセイ新大阪ビル17階
代表者: 田中 伸弘
設立: 2001年4月
資本金: 3億6千万円
事業内容: 住宅向け・介護施設向けユニットバス・設備機器の販売・製造、住宅用建材の販売、関連工事、メンテナンス、リフォーム工事
株主: 積水化学工業株式会社(100%)

www.sekisui-hometechno.co.jp

©Copyright 2018- Kyosei Kiban Inc. All rights reserved.