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#1629 決算分析 : 株式会社アップルハウジング 第32期決算 当期純利益 16百万円


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「どこに頼めばいいか分からない」「悪質な営業が心配」。住まいの新築やリフォームは、多くの人にとって一生に一度の大きな買い物でありながら、不安がつきまとうものです。もし、自分が普段から利用している、信頼できる「生協(生活協同組合)」が、その住まいの相談に乗ってくれたら。そんな組合員の想いを形にするために生まれた、ユニークな住宅会社が福岡にあります。

今回は、福岡県の「エフコープ生活協同組合」から誕生し、「信頼される住まいの相談役」として地域に根差す、株式会社アップルハウジングの決算を分析します。官報に示されたのは、自己資本比率68%超という、鉄壁の財務基盤。生協という、信頼の母体から生まれた企業の、堅実な経営と、顧客に寄り添う事業戦略に迫ります。

アップルハウジング決算

決算ハイライト(32期)
資産合計: 327百万円 (約3.3億円)
負債合計: 103百万円 (約1.0億円)
純資産合計: 224百万円 (約2.2億円)

当期純利益: 16百万円 (約0.2億円)

自己資本比率: 約68.5%
利益剰余金: 124百万円 (約1.2億円)

 

まず注目すべきは、その傑出した財務の健全性です。企業の財務安定性を示す自己資本比率は約68.5%と、建設・不動産業界としては極めて高い水準を誇ります。これは、事業運営を外部からの借入に過度に依存しない、非常に安全で安定した経営が行われていることの証です。当期も1,600万円の純利益を確保しており、盤石の経営基盤の上で、着実な事業運営を行っていることが分かります。

 

企業概要
社名: 株式会社アップルハウジング
設立: 1993年10月1日
母体: エフコープ生活協同組合
事業内容: 新築、増改築、リフォーム、不動産売買など、住まいに関する総合サービス。エフコープ組合員の「暮らしづくり」を支援する。

www.applehousing.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
アップルハウジングのビジネスモデルは、その成り立ちそのものが、最大の競争優位性となっています。

✔生協から生まれた「信頼」のビジネスモデル
同社は、1992年にエフコープ生活協同組合のハウジング事業部としてスタートし、翌年に株式会社として設立されました。その第一の顧客は、エフコープの組合員です。食品や日用品の宅配などで、すでにエフコープと深い信頼関係を築いている組合員にとって、アップルハウジングは「いつもの、信頼できる生協が紹介してくれる住宅会社」。この、最初から存在する「信頼」という無形の資産が、同社の事業のすべての基盤となっています。

✔不安を安心に変える「4つの安心」
同社は、顧客が抱く不安を解消するため、「相談の安心」「見積りの安心」「施工の安心」「アフターの安心」という「4つの安心」を掲げています。
・相談の安心: 工事依頼の有無に関わらず、プロの目で無料の住宅診断を行い、顧客の立場でアドバイス
・見積りの安心: 「一式」といった曖昧な見積りを避け、明瞭な記載を徹底。
・施工の安心: 打ち合わせから工事完了まで、同じ担当者が一貫して対応。
・アフターの安心: 施工後も、エリア担当者が責任を持って相談やメンテナンスに対応。
この徹底した顧客目線の姿勢が、信頼をさらに強固なものにしています。

✔「暮らしづくり」の総合サービス
同社の事業は、新築やリフォームにとどまりません。住まいの状態をプロがチェックする「住宅総合診断(無料)」を入り口に、不動産の売買仲介、太陽光発電システムの提案、そして外構・エクステリアまで、住まいに関するあらゆる困りごとに対応。顧客のライフステージの変化に寄り添い、長期的な関係を築く「住まいの相談役」としての役割を担っています。

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
日本の住宅市場は、新築だけでなく、既存住宅のストックをいかに長く、快適に活用していくかという「リフォーム・リノベーション」の重要性がますます高まっています。特に、耐震補強や省エネ化といった、専門的な知見が求められる分野は、信頼できる事業者へのニーズが強く、同社にとって大きな事業機会となっています。

✔内部環境
損益計算書は開示されていませんが、1,600万円の純利益は、従業員25名という組織規模に対して、堅実な収益を上げていることを示しています。これは、エフコープという安定した顧客基盤の上で、無理な価格競争に陥ることなく、適正な利益を確保できるビジネスモデルが確立されていることの証左です。
貸借対照表が示す、自己資本比率68.5%という財務内容は、まさに「堅実経営」のお手本です。1.2億円を超える利益剰余金を積み上げており、ほぼ無借金に近い、極めて健全な財務体質です。

✔安全性分析
財務安全性は、これ以上ないほど万全です。自己資本比率が極めて高く、負債も少ないため、経営は非常に安定的です。企業の存続リスクは皆無と言って良いでしょう。この財務的な安定性が、顧客に「末永いアフターの安心」を約束できる、何よりの裏付けとなっています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・エフコープ組合員という、他に類を見ない、強固で安定した顧客基盤
・「生協の住宅会社」としての、絶対的な信頼性とブランドイメージ
・「4つの安心」に代表される、徹底した顧客目線のサービス哲学
自己資本比率68.5%という、鉄壁の財務基盤

弱み (Weaknesses)
・事業エリアが、エフコープの活動エリアである福岡県内に限定される点
・事業の成長性が、組合員数や、その中での住宅ニーズの発生率に依存すること

機会 (Opportunities)
・日本の住宅ストックの高齢化に伴う、リフォーム・リノベーション市場の持続的な拡大
SDGsや環境意識の高まりを背景とした、省エネリフォームや太陽光発電システムへの需要増
・組合員の高齢化に伴う、バリアフリーリフォームや、相続に伴う不動産売却相談の増加

脅威 (Threats)
・建築資材の高騰や、建設技能労働者の不足による、コストの上昇
・地域に根差した他の工務店や、大手ハウスメーカーとの競争
・大規模な景気後退による、個人の住宅投資意欲の減退

 

【今後の戦略として想像すること】
「信頼される住まいの相談役」として、組合員のライフステージに、より深く寄り添っていく戦略を推進するでしょう。

✔短期的戦略
強みである「住宅総合診断」を、さらに積極的に組合員へアピールしていくことが考えられます。これにより、潜在的なリフォームや修繕のニーズを掘り起こし、安定した受注に繋げます。また、LINE公式アカウントなどを活用し、組合員との継続的なコミュニケーションを強化します。

✔中長期的戦略
組合員の高齢化という、大きなトレンドに対応していくことが、持続的な成長の鍵となります。子供が独立した後の「減築」リフォームや、老後の安全な暮らしのための「バリアフリー」リフォーム、そして、相続が発生した際の「不動産売却」の相談など、ライフステージの後半に発生する、あらゆる「住」の課題に応える、No.1パートナーを目指します。まさに、生協と共に、組合員の人生に寄り添い続ける「暮らしづくりのプロ」へと進化していくことが期待されます。

 

まとめ
株式会社アップルハウジングは、「生協」という、信頼の土壌から生まれた、ユニークで、そして極めて堅実な住宅会社です。第32期決算で示された、純利益16百万円、自己資本比率68.5%という数字は、その健全な経営を明確に証明しています。

その本質は、利益の追求よりも先に、「組合員の想いを形にする」という理念を置く、ぶれない経営姿勢にあります。競争の激しい住宅業界において、「信頼」こそが、いかに強力な競争優位性となり得るか。アップルハウジングの歩みは、そのことを、私たちに静かに、しかし力強く教えてくれます。

 

企業情報
企業名: 株式会社アップルハウジング
本社所在地: 福岡県糟屋郡篠栗町中央2-5-13
代表者: 代表取締役社長 尾﨑 功志
設立: 1993年10月1日
資本金: 1億円
事業内容: 新築、増改築、改装、塗装、営繕修理、マンションリフォーム、不動産売買など、住まいに関する総合サービス。
母体: エフコープ生活協同組合

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