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#1557 決算分析 : 東京石油興業株式会社 第68期決算 当期純利益 58百万円


道路、駐車場、そして私たちの足元を支えるアスファルト。当たり前のように存在するこの黒い舗装は、社会インフラの根幹を担う重要な存在です。しかし、その裏側では、資源の有効活用や環境負荷の低減といった、現代社会が抱える大きな課題への挑戦が続けられています。東京に本社を置き、千葉県柏市に大規模な生産・リサイクル拠点を構える「東京石油興業株式会社」は、まさにその挑戦の最前線に立つ企業です。1962年の設立以来、アスファルト混合物の製造販売から舗装工事、さらには建設廃材のリサイクルまでを一貫して手掛け、「美しい日本の自然環境を次世代に引き継ぐ」という理念を実践しています。今回は、道路づくりを通して循環型社会に貢献する東京石油興業の第68期決算を読み解き、その安定した事業モデルと財務の健全性に迫ります。

東京石油興業決算

決算ハイライト(第68期)
資産合計: 2,383百万円 (約23.8億円)
負債合計: 1,215百万円 (約12.2億円)
純資産合計: 1,168百万円 (約11.7億円)

当期純利益: 58百万円 (約0.6億円)

自己資本比率: 約49.0%
利益剰余金: 1,048百万円 (約10.5億円)

 

総資産約23.8億円に対し、純資産が約11.7億円と、自己資本比率は約49.0%となっています。製造業、特に大規模なプラント設備を要する事業としては、健全で安定した財務基盤を維持していると言えるでしょう。利益剰余金も約10.5億円と潤沢に積み上がっており、長年にわたる安定経営の実績を示しています。今期も58百万円の当期純利益を確保しており、インフラ整備という安定した需要に支えられた、堅実な収益力を維持していることがうかがえます。

 

企業概要
社名: 東京石油興業株式会社
設立: 1962年8月7日
事業内容: アスファルト混合物製造販売、建設廃材中間処理、再生骨材製造販売、舗装工事請負

www.tskcoltd.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
東京石油興業の最大の強みは、道路づくりにおける「製造」から「施工」、そして「リサイクル」までを一気通貫で手掛ける、垂直統合型のビジネスモデルにあります。千葉県柏市に構える合材工場、中間処理センター、工事部が有機的に連携し、高い競争力と環境性能を生み出しています。

✔製造から施工までを担う舗装事業
アスファルト混合物の製造販売: 中核事業であり、千葉県柏市の「柏合材工場(トーセキアスコン)」で、車道、駐車場、グラウンドなどに使われるアスファルト混合物を製造しています。その能力は1時間あたり120トンに及びます。通常の合材だけでなく、舗装から発生した廃材を再利用した「再生アスファルト混合物」や、他産業の副産物を活用した環境配慮型の製品も手掛けています。
・舗装工事: アスファルトメーカーとしてのノウハウを最大限に活かし、大規模な道路工事から家庭の駐車場舗装まで、あらゆる舗装工事を請け負っています。材料の特性を熟知しているからこそ、高品質な施工が可能です。

✔循環型社会を支えるリサイクル事業
同社の事業が特徴的なのは、単にアスファルトを「つくる」「しく」だけでなく、使い古されたアスファルトを「再生する」機能まで自社で有している点です。
・建設廃材中間処理: 柏中間処理センターでは、工事現場から発生したアスファルトやコンクリートのがれき類を受け入れ、破砕・選別する「中間処理」を行っています。
・再生骨材製造販売: 中間処理によって再生された資源は、「再生骨材」や「再生路盤材」として生まれ変わります。これらは再び新たな道路の材料として販売されたり、自社の合材工場で使用されたりすることで、資源の循環が完結します。この仕組みにより、建設廃棄物の最終処分量を大幅に削減し、天然資源の使用を抑制することに貢献しています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
公共事業、特に道路インフラの維持・補修は、国の経済活動を支える上で不可欠であり、景気の波に左右されにくい安定した市場です。また、SDGsカーボンニュートラルへの関心の高まりは、建設廃棄物のリサイクルや環境配慮型アスファルトの需要を後押ししており、同社の事業モデルにとって強力な追い風となっています。一方で、原油価格の変動はアスファルトの価格に直結するため、原材料コストの管理が経営上の重要な課題となります。

✔内部環境
1962年設立という60年以上の歴史が、地域社会や顧客からの厚い信頼を築いています。過去には、大成ロテック東亜道路工業といった大手道路会社と共同企業体(JV)を結成した実績もあり、その技術力と品質が高く評価されていることがうかがえます。
「製造・施工・リサイクル」という垂直統合モデルは、大きな強みです。自社で発生した廃材や、他社から受け入れた廃材を、自社の工場で再生資源化し、再び自社の製品として販売・使用できるため、コスト競争力と環境性能を両立させることが可能です。自己資本比率約49.0%という安定した財務基盤は、大規模なプラントの維持・更新や、新たな環境技術への投資を可能にしています。

✔安全性分析
自己資本比率約49.0%は、装置産業である同社の事業内容を考慮すると、健全な水準です。短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産1,261百万円 ÷ 流動負債457百万円)も約276%と非常に高く、資金繰りの安定性は盤石です。10億円を超える利益剰余金は、これまでの着実な事業運営の成果であり、不測の事態に対する十分な備えがあることを示しています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・製造、施工、リサイクルを一貫して手掛ける垂直統合型のビジネスモデル
・千葉県柏市という首都圏に近いエリアに、大規模な生産・リサイクル拠点を保有
・60年以上の歴史と、大手道路会社とのJV実績に裏打ちされた高い技術力と信頼性
・公共事業を主体とした、景気変動に強い安定した需要基盤
・健全な自己資本比率と潤沢な利益剰余金が示す、安定した財務体質

弱み (Weaknesses)
・事業拠点が柏エリアに集中しており、地理的なリスク分散が課題となる可能性
原油価格の変動など、原材料コストが収益性に与える影響が大きい
・プラントの維持・更新に多額の設備投資が継続的に必要となる

機会 (Opportunities)
・インフラ老朽化対策としての、道路の維持・補修工事の継続的な需要
・環境意識の高まりによる、再生アスファルトやリサイクル骨材の需要拡大
・遮熱性舗装や排水性舗装など、気候変動対策や安全性向上に資する高機能舗装の市場拡大
首都圏中央連絡自動車道圏央道)などの大型プロジェクトに伴う需要増

脅威 (Threats)
原油価格やエネルギーコストの急激な高騰
・建設業界全体における、労働人口の減少と高齢化による人材不足
・同業他社との価格競争の激化
・より厳しい環境規制の導入による、コンプライアンスコストの増加

 

【今後の戦略として想像すること】
安定した事業基盤と財務力を持つ東京石油興業は、今後、さらなる環境技術の深化と事業エリアの拡大を目指すでしょう。

✔短期的戦略
再生アスファルト混合物の利用率をさらに高めるための技術開発や、プラントの省エネルギー化への投資を進めることが考えられます。また、遮熱性舗装や透水性舗装といった、都市のヒートアイランド現象の緩和やゲリラ豪雨対策に貢献する高機能・環境配慮型製品のラインナップを強化し、付加価値の高い市場でのシェアを拡大していくでしょう。

✔中長期的戦略
リサイクル事業のさらなる強化が、持続的成長の鍵となります。アスファルトやコンクリートだけでなく、他の建設廃材の受け入れや再資源化にも事業を拡大していく可能性があります。また、柏市という地理的優位性を活かし、千葉県内や首都圏での舗装工事事業のシェアをさらに高めていくことが期待されます。将来的には、M&Aなども視野に入れ、他エリアに新たな生産・リサイクル拠点を設けることで、事業エリアを拡大していく戦略も考えられます。

 

まとめ
東京石油興業株式会社は、私たちの社会に不可欠な「道路」を、つくり、守り、そして再生するという一貫したサイクルで支える、循環型社会の担い手です。千葉県柏市の生産・リサイクル拠点を核に、60年以上にわたって首都圏のインフラ整備に貢献し、自己資本比率約49.0%という健全な財務基盤を築き上げてきました。同社の事業は、単に道を舗装することではありません。それは、限りある資源を有効に活用し、環境への負荷を減らしながら、豊かで住みやすい街づくりに貢献するという、次世代への責任を果たす取り組みです。これからも、社会の動脈である道路を通じて、持続可能な未来への道を切り拓いていくことが大いに期待されます。

 

企業情報
企業名: 東京石油興業株式会社
所在地: 東京都中央区勝どき4丁目6番2号
代表者: 代表取締役社長 坂本貴将
設立: 1962年8月7日
資本金: 90百万円
事業内容: アスファルト混合物製造販売、再生骨材製造販売、建設廃材中間処理、石油商品販売、アスファルト販売、舗装工事請負、土木工事一式

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