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#1633 決算分析 : 静岡不動産株式会社 第84期決算 当期純利益 180百万円


静岡銀行、静岡鉄道、遠州鉄道静岡ガスザ・トーカイ…。静岡県を代表する名だたる企業が株主として名を連ね、60年以上にわたり地域の発展と人々の暮らしを不動産の側面から支えてきた企業があります。それが、今回分析する静岡不動産株式会社です。

静岡市呉服町に本社を構え、「誠実と信頼」をモットーに、オフィスビル賃貸から商業施設、賃貸住宅、駐車場運営、そして不動産仲介まで、総合的な不動産サービスを展開しています。地域経済を知り尽くした「不動産のプロフェッショナル集団」の決算からは、盤石の財務基盤と、地域と共に歩む堅実な経営姿勢が見えてきました。その強さの秘密と未来への展望に迫ります。

20250331_84_静岡不動産決算

決算ハイライト(第84期)
資産合計: 12,222百万円 (約122.2億円)
負債合計: 4,137百万円 (約41.4億円)
純資産合計: 8,085百万円 (約80.8億円)

当期純利益: 180百万円 (約1.8億円)

 

自己資本比率: 約66.2%
利益剰余金: 5,486百万円 (約54.9億円)

 

まず目を引くのは、66.2%という極めて高い自己資本比率です。これは企業の財務基盤がいかに強固であるかを示す指標であり、多額の不動産資産を保有しながらも、傑出した経営の安定性を誇ります。総資産約122億円に対し、純資産が約81億円、その中でも利益剰余金が約55億円と非常に潤沢に積み上がっており、60年以上の歴史の中で着実に利益を蓄積してきたことがうかがえます。当期純利益も1.8億円を確保しており、安定した事業基盤のもと、堅実に収益を上げています。

 

企業概要
社名: 静岡不動産株式会社
創立: 1961年4月4日
主要株主: 静岡保険総合サービス、静岡キャピタル、静岡鉄道、遠州鉄道など静岡県内の有力企業多数
事業内容: 不動産仲介、オフィス・商業施設・賃貸住宅・駐車場の賃貸事業

www.shizuokafudousan.co.jp

 

【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、静岡県内および神奈川県、愛知県の一部で、不動産に関する多様なニーズに応える包括的なサービスで構成されています。

✔不動産賃貸事業
同社の収益の根幹をなす、安定したストック型ビジネスです。事業ポートフォリオは多岐にわたります。
・オフィス賃貸: 本社が入居する「静岡呉服町スクエア」をはじめ、静岡、浜松、三島、海老名など、主要駅周辺に複数のオフィスビル保有・賃貸しています。
・商業施設等賃貸: マクドナルドやCoCo壱番屋といったナショナルチェーンのロードサイド店舗や、保育園、ゴルフ場まで、多様な商業施設・その他施設を所有し、地域の暮らしを支えています。
・賃貸住宅事業: 静岡県内や横浜市で「フラッツ」シリーズなどの賃貸マンション・アパートを複数展開。質の高い住環境を提供しています。
・駐車場賃貸事業: 「パーク・S」のブランドで、静岡市中心部などにコインパーキングを展開。都市部の交通インフラの一端を担っています。

✔不動産仲介業務
60年以上にわたる地域での事業活動で培った、豊富な情報網と信頼が最大の武器です。土地・建物の売買から賃貸借まで、顧客一人ひとりのニーズに寄り添い、最適なマッチングを実現。多数の宅地建物取引士や不動産コンサルティングマスターといった専門資格を持つスタッフが、質の高いサービスを提供しています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
同社が事業を展開する静岡県や神奈川県、愛知県は、リニア中央新幹線の開業や、製造業の国内回帰の動きなどを背景に、新たな発展の可能性を秘めています。企業の拠点開設や、それに伴う従業員の移住は、オフィスや住宅の賃貸・売買需要を喚起します。
一方で、全国的な課題である人口減少や少子高齢化は、長期的には不動産市場に影響を与える可能性があります。また、自然災害への備えや、脱炭素社会への対応といった社会的な要請も、不動産のあり方に変化を求めており、これらに対応できるかどうかが企業の競争力を左右します。

✔内部環境
同社の最大の強みであり、他社にはないユニークな特徴が、その株主構成です。静岡銀行系の企業をはじめ、静岡鉄道、遠州鉄道静岡ガスザ・トーカイといった、静岡県経済を代表するインフラ・リーディングカンパニーが株主として名を連ねています。この「オール静岡」ともいえる強固な支援体制が、地域における絶大な信用力と、優良な不動産情報をいち早く入手できる情報ネットワークの源泉となっています。
2000年に静岡銀行グループから独立したものの、この強力なネットワークは維持されており、地域社会との共存共栄を目指す経営の基盤となっています。

✔安全性分析
自己資本比率66.2%という数値は、総資産の約96%を占める117億円超の固定資産(土地、建物など)を保有する不動産事業の財務構造としては、驚異的な健全性を示しています。有利子負債を適切にコントロールし、利益を確実に内部留保してきた結果です。短期的な支払い能力を示す流動比率流動資産÷流動負債)も約97%と100%に近く、安定した資金繰りができています。資本金2.2億円に対し、その約25倍にも達する約55億円の利益剰余金は、長年の堅実な黒字経営の賜物であり、不測の事態にも揺るがない、極めて強固な経営体質を物語っています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
自己資本比率66.2%という、圧倒的な財務健全性と経営の安定性
静岡県を代表する有力企業群を株主とする、他に類を見ない強固なネットワークと信用力
・60年以上の歴史で培った、地域不動産市場における深い知見と豊富な実績
・オフィス、商業、住宅、駐車場と、バランスの取れた賃貸ポートフォリオによる安定した収益基盤

弱み (Weaknesses)
・事業エリアが静岡県を中心に限定されており、地域経済の動向に業績が大きく左右されること
・伝統と安定性を重視するあまり、急成長する不動産テック分野などへの対応が課題となる可能性

機会 (Opportunities)
リニア中央新幹線の開業を見据えた、静岡県内のインフラ整備や企業進出
・企業の働き方改革に伴う、地方都市への本社・サテライトオフィスの移転需要
・相続対策や資産活用に関する、不動産コンサルティングニーズの増大

脅威 (Threats)
・人口減少や高齢化に伴う、長期的な住宅・オフィス需要の減退リスク
・大規模な自然災害(特に南海トラフ地震)の発生リスク
・金融緩和の修正に伴う、金利上昇による不動産市況への影響

 

【今後の戦略として想像すること】
この事業環境の中、盤石の経営基盤を持つ同社が、今後どのような成長戦略を描くのかが注目されます。

✔短期的戦略
まずは、主力の賃貸事業において、保有物件の資産価値を維持・向上させるための計画的なリニューアル投資を継続していくことが基本戦略です。また、仲介事業においては、相続問題などで増加する不動産売却の相談に対し、不動産後見アドバイザーなどの専門知識を活かしたコンサルティング機能を強化し、地域住民からの信頼をさらに高めていくでしょう。

✔中長期的戦略
長期的には、「地域活性化と発展への貢献」という視点が、さらなる成長の鍵となります。例えば、地域の空き家・空き店舗問題に対し、同社が持つ再生ノウハウを活かしてリノベーションし、新たなテナントを誘致する事業は、社会貢献と収益確保を両立させる有望な分野です。また、株主である鉄道会社やガス会社などと連携し、駅周辺の再開発や、環境配慮型のスマートタウン開発といった、よりスケールの大きなプロジェクトに挑戦していくことも期待されます。60年以上にわたり地域と共に歩んできた企業として、静岡の未来を創造する役割を担っていくことでしょう。

 

まとめ
静岡不動産株式会社は、単なる不動産会社ではありません。静岡を代表する企業群のDNAを受け継ぎ、60年以上にわたって地域経済の発展と人々の暮らしを支え続けてきた、地域社会に不可欠な存在です。決算内容からは、自己資本比率66.2%という鉄壁の財務基盤の上で、堅実な経営を続ける、真の優良企業の姿が浮かび上がります。

その強さの源泉は、長年かけて築き上げてきた地域からの「信頼」と、「オール静岡」ともいえる強力なネットワークにあります。これからも、誠実と信頼をモットーに、静岡、そして日本の未来に貢献していく。地域に深く根差した企業の挑戦は、これからも続いていきます。

 

企業情報
企業名: 静岡不動産株式会社
所在地: 静岡市葵区呉服町1丁目1番地 静岡呉服町スクエア5階
代表者: 代表取締役社長 伊藤徳直
創立: 1961年4月4日
資本金: 220百万円
主要株主: 静岡保険総合サービス株式会社、静岡キャピタル株式会社、静岡鉄道株式会社、遠州鉄道株式会社など、静岡県内の有力企業で構成。
事業内容: 静岡県、神奈川県、愛知県を中心とした不動産の売買・賃貸仲介。オフィスビル、商業施設、賃貸住宅、駐車場(パーク・S)などの賃貸・運営事業。

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