決算公告データ倉庫

決算公告を自分用に保管している倉庫。あくまでも、自分用です。引用する決算公告を除いて、内容の正確性/真実性を保証できない点はご容赦ください。


#1555 決算分析 : 京葉測量株式会社 第62期決算 当期純利益 35百万円


私たちが毎日利用する道路や橋、上下水道。これらの社会インフラは、目に見えない緻密な「測量」と「設計」の上に成り立っています。千葉県の発展史そのものを、空から、そして地上から記録し続けてきた企業があります。それが、2024年に創立60周年を迎えた京葉測量株式会社です。京葉臨海地区の埋め立てから成田国際空港の整備まで、千葉の成長と共に歩んできた同社は、今、ドローンや3Dレーザーといった最先端技術を駆使する「空間情報ソリューション企業」へと進化を遂げています。今回は、その第62期決算を紐解き、地域社会を支える老舗企業の揺るぎない経営基盤と、未来を見据えた技術戦略に迫ります。

20250331_62_京葉測量決算

決算ハイライト(第62期)

資産合計: 1,405百万円 (約14.1億円)
負債合計: 685百万円 (約6.9億円)
純資産合計: 720百万円 (約7.2億円)
当期純利益: 35百万円 (約0.4億円)


自己資本比率: 約51.3%
利益剰余金: 620百万円 (約6.2億円)

 

まず注目すべきは、自己資本比率が約51.3%という非常に健全な財務状況です。これは総資産の半分以上を返済不要な自己資本で賄っていることを意味し、経営の安定性が極めて高いことを示しています。また、利益剰余金が約6.2億円と潤沢に積み上がっており、60年の長きにわたり着実に利益を出し続けてきた歴史がうかがえます。公共事業を主たる事業領域とする企業にとって、この財務的な安定性は、顧客である国や自治体からの信頼を獲得するための重要な基盤となっています。

 

企業概要

社名: 京葉測量株式会社
設立: 1964年3月25日
資本金: 1億円
事業内容: 航空写真測量、地上測量、設計コンサルタント、地理情報システム開発など、空間情報に関わる総合的なサービス

https://www.ksv.co.jp/

 

【事業構造の徹底解剖】
同社の事業は、社会基盤整備のあらゆる段階をカバーする、包括的なポートフォリオで構成されています。

✔測量事業(航空・地上)
事業の根幹であり、すべての基礎となるのが測量技術です。
・地上測量

GNSS人工衛星)や地上レーザースキャナーといった最新機器を用い、高精度な測量を実施。道路や河川、用地取得など、あらゆる公共事業の第一歩を担います。
・航空写真測量

同社の最大の強みの一つです。1967年から毎年撮影を続ける「千葉県全域の航空写真」は、他の追随を許さない独自の資産です。この膨大な時系列データは、都市計画の変遷を辿る貴重な資料であり、近年では3次元点群データを付加することで、防災や環境解析など、より高度な活用が進められています。

✔設計・コンサルタント事業
測量によって得られたデータを基に、道路、上下水道、河川、橋梁といった社会インフラの具体的な形を創り出す事業です。災害に強い環境整備や、交通渋滞の解消など、地域の課題解決に直結する重要な役割を担っています。CG技術を駆使した景観シミュレーションなども手掛け、住民への説明責任(アカウンタビリティ)にも応えています。

✔地理情報システム(GIS)開発事業
測量と設計で得られた情報を、単なる図面で終わらせないのが同社の特徴です。上下水道管や道路、固定資産などの情報を地図上で一元管理するGISを開発。これにより、自治体はインフラの効率的な維持管理や、災害時の迅速な状況把握が可能になります。システム開発からデータ作成、導入後の保守までワンストップで提供することで、顧客と長期的な関係を築いています。

✔調査・補償コンサルタント事業
道路拡幅などの公共事業に伴う用地取得や、建物等の移転に必要な調査・算定を行う専門的な事業です。事業を円滑に進める上で不可欠な役割を担っています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】

✔外部環境
近年の日本では、東日本大震災以降、国土強靭化の重要性が叫ばれ、防災・減災対策への公共投資が継続的に行われています。また、高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化対策も急務であり、点検・維持管理の需要は増加の一途です。さらに、国が推進するi-Construction(アイ・コンストラクション)により、建設プロセスにおける3Dデータの活用が標準化しつつあり、同社の技術力が追い風となっています。

✔内部環境
同社のビジネスモデルは、千葉県をはじめとする官公庁との長年にわたる信頼関係の上に成り立っています。業務実績を見ても、県や市、国の機関からの安定した受注が経営を支えていることがわかります。60年にわたる歴史の中で蓄積された技術とデータ、特に千葉県全域の航空写真は、他社が容易に模倣できない参入障壁として機能しています。また、ISO9001(品質)、ISO27001(情報セキュリティ)、プライバシーマークといった国際規格の認証を維持し続けることで、官公庁からの信頼をさらに強固なものにしています。

✔安全性分析
自己資本比率約51.3%、利益剰余金約6.2億円という財務内容は、同社の経営がいかに安定しているかを物語っています。これにより、ドローンやUAVレーザーといった最新技術への投資を継続的に行うことができ、技術的な優位性を保ち続けることが可能です。公共事業という長期にわたるプロジェクトを安心して任せられる、盤石な財務基盤を有しています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・千葉県の官公庁と60年にわたり築き上げた、強固な信頼関係と実績
・1967年から続く「千葉県全域の航空写真」という、他に類を見ない独自のデータ資産
・測量から設計、GIS開発までを網羅するワンストップの総合技術力
自己資本比率51.3%を誇る、極めて安定した財務基盤
・品質、情報セキュリティに関する国際規格認証による高い信頼性

弱み (Weaknesses)
・千葉県を中心とした公共事業への依存度が高く、地域の予算動向に業績が左右される可能性がある
・専門技術者の採用と育成が、事業継続の鍵となる(人材確保の難易度)

機会 (Opportunities)
・国土強靭化計画やインフラ老朽化対策に伴う、防災・減災、維持管理業務の継続的な需要
・i-ConstructionやBIM/CIMの推進による、3Dデータ関連業務の拡大
・ドローンやAIを活用した、インフラ点検や災害状況把握といった新サービスの開発
・蓄積した空間データを活用した、民間企業向けの新たなコンサルティングサービスの展開

脅威 (Threats)
・公共事業費の大幅な削減リスク
・測量技術の急速なコモディティ化による、価格競争の激化
・大規模な自然災害による、事業活動への直接的な影響

 

【今後の戦略として想像すること】
100年企業を目指す同社は、これまでの強みをさらに磨き上げ、時代の要請に応えていくでしょう。

✔短期的戦略
国土強靭化やインフラ長寿命化の潮流に乗り、防災・減災関連の調査・設計業務をさらに強化していくと考えられます。特に、UAVレーザ測量などを活用した急傾斜地の調査や、河川・海岸の深浅測量といった、高度な技術が求められる分野で優位性を発揮していくでしょう。

✔中長期的戦略
「空間情報ソリューション企業」として、ハード(インフラ)とソフト(情報)の両面から社会に貢献していくことが期待されます。長年蓄積した航空写真や3DデータをAIで解析し、未来の都市計画や防災計画に資するシミュレーションサービスを提供するなど、コンサルティング領域をさらに深化させていく可能性があります。また、女性の活躍推進や人材育成への注力を明言しており、多様な視点を取り入れることで、新たな発想や技術を生み出し続ける組織文化を醸成していくでしょう。

 

まとめ

京葉測量株式会社は、単なる測量会社ではありません。それは、60年という歳月をかけて千葉県の土地を記録し続け、そのデータと技術力で社会基盤を支え、未来を設計してきた「地域のインフラドクター」とも言える存在です。航空写真というアナログ時代からの遺産を、3DデータやGISという最先端のデジタル技術と融合させ、防災・減災という現代社会の重要課題に挑んでいます。盤石な財務基盤と、行政からの厚い信頼を基に、100年企業を目指す同社の歩みは、これからも千葉県の、そして日本の安全・安心を支え続けていくことでしょう。

 

企業情報

企業名: 京葉測量株式会社
所在地: 千葉県習志野市茜浜3丁目4番6号
代表者: 柳 恵一
設立: 1964年3月25日
資本金: 1億円
事業内容: 測量業、建設コンサルタント、補償コンサルタントなど、空間情報に関わる総合的なサービス

https://www.ksv.co.jp/

©Copyright 2018- Kyosei Kiban Inc. All rights reserved.