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#1466 決算分析 : 株式会社創循ホールディングス 第16期決算 当期純利益 550百万円

私たちの食卓に並ぶ、豚肉や鶏肉、魚、そして野菜。これらの豊かな恵みは、農業や畜産業、水産業といった第一次産業の生産者たちの弛まぬ努力によって支えられています。しかし、生産の過程では、食肉加工後の副産物や家畜の排泄物など、食用にならない部分が大量に発生します。これらを単なる「廃棄物」と見るのか、それとも「未利用の資源」と見るのか。そこに、企業の新たな価値創造の可能性が秘められています。
今回は、宮崎県に本拠を置き、「資源循環」という壮大なテーマに真正面から取り組む企業グループ、株式会社創循ホールディングスに光を当てます。農畜水産の副産物を飼料や肥料、さらにはエネルギーにまで再生させ、再び生産者の元へ還すという、まさに「創って、循(めぐ)らせる」ビジネスモデル。その第16期決算を読み解きながら、社会課題の解決と事業成長を両立させる同社の経営戦略と未来像に迫ります。

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決算ハイライト(第16期)
資産合計: 6,476百万円 (約64.8億円)
負債合計: 1,261百万円 (約12.6億円)
純資産合計: 5,214百万円 (約52.1億円)
当期純利益: 550百万円 (約5.5億円)


自己資本比率: 約80.5%
利益剰余金: 2,781百万円 (約27.8億円)

 

第16期決算では、当期純利益5.5億円を計上。特筆すべきはその強固な財務体質です。純資産は52.1億円に達し、自己資本比率は約80.5%という極めて高い水準を誇ります。これは、借入金等に過度に依存しない、安定した経営基盤が確立されていることを力強く示しています。また、利益剰余金も約27.8億円と潤沢に積み上がっており、過去からの着実な利益の蓄積が、新たな事業投資や研究開発を支える原動力となっていることがうかがえます。グループ連結売上高が303億円を超える規模でありながら、この健全性を維持している点は高く評価できます。

 

企業概要
社名: 株式会社創循ホールディングス
設立: 2010年1月20日
株主: 純粋持株会社
事業内容: グループ会社を通じて、農畜水産物の副産物を活用したレンダリング事業(飼料・肥料・油脂への再生)、バイオマス発電事業、さらには養豚・養鰻・農業といった農水産事業、ブランド開発やレストラン運営を行う食品事業まで、資源循環を軸とした多角的な事業を展開。

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【事業構造の徹底解剖】
創循グループのビジネスは、単一の事業ではなく、複数の事業が有機的に連携し、一つの大きな「循環の輪」を形成しているのが最大の特徴です。

✔資源循環事業(レンダリング&エネルギー)
これがグループの中核を成す事業です。食肉処理場などから発生する鶏、豚、牛、魚の副産物(骨や内臓など、食用にならない部分)を種類ごとに完全に分離された生産ラインで受け入れ、高度な処理加工技術によって、家畜の飼料原料(フェザーミール、チキンミール等)やペットフード原料、工業用油脂、有機質肥料といった新たな価値を持つ製品へと再生(レンダリング)します。
さらに特筆すべきは、国内で他に先駆けて導入した「鶏糞発電ボイラー」です。地域の養鶏場から排出される鶏糞を燃料として24時間燃焼させ、工場の稼働に必要な蒸気と電気を自給自足しています。これは、悪臭や環境汚染の原因となり得る廃棄物を、クリーンなバイオマスエネルギーとして有効活用する画期的な取り組みです。そして、燃焼後に残る灰は、リン酸やカリウムを豊富に含む良質な肥料原料として、国内外の農家へ販売されます。まさに「捨てるものがない」完璧な循環システムです。

✔農水産事業
資源循環事業で生み出された飼料や肥料は、自社の生産現場でその価値を証明します。グループ内で製造したこだわりの飼料で育てたオリジナルブランド豚「おさつポーク」や、ブランド鰻「田園浪鰻」を生産・販売。農業分野でも、自社製の有機質肥料をふんだんに使用した土づくりで、高品質な「南国ニラ」などを栽培しています。これは、自社製品の品質実証の場であると同時に、生産から販売まで一貫して手掛けることによる収益機会の創出にも繋がっています。

✔食品事業
生産者(農水産事業)と消費者をつなぐ最終出口として機能するのが食品事業です。自社ブランド「グローウェル(GROWWELL)」を立ち上げ、「おいしいリサイクル」をコンセプトに、グループで生産された「おさつポーク」などの食材を使った商品開発や、直営レストランの運営、オンラインショップでの販売を行っています。ここでは、フードロスを削減する工夫を凝らした「アップサイクル商品」の開発にも力を入れており、グループ全体の理念を消費者に直接伝える重要な役割を担っています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】
✔外部環境
SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)への関心が世界的に高まる中、創循グループの事業そのものが社会の要請と完全に合致しています。食料自給率の向上、フードロスの削減、再生可能エネルギーの利用、環境負荷の低減といった重要課題に対し、同社のビジネスモデルは直接的な解決策を提供しています。また、家畜伝染病のリスク管理は常に重要課題ですが、行政と連携し蔓延防止に努めることで、地域社会のセーフティネットとしての役割も果たしています。これは、事業の持続可能性を高める上で大きな強みとなります。

✔内部環境
自己資本比率80.5%という鉄壁の財務基盤は、同社の経営戦略に大きな自由度と安定性をもたらしています。これにより、景気の波や不測の事態にも動じにくく、長期的な視点に立った設備投資や研究開発を積極的に行うことが可能です。実際に、鶏糞発電ボイラーのような大規模かつ先進的な設備を他社に先駆けて導入できたのも、この財務的な裏付けがあったからこそでしょう。純粋持株会社体制を採ることで、各事業会社の専門性を高めつつ、グループ全体として最適な資源配分を行い、迅速な意思決定とガバナンス強化を実現している点も、効率的な経営に寄与しています。

 

SWOT分析で見る事業環境】
強み (Strengths)
・「資源循環」という、社会課題解決と事業が完全に一体化した強力でユニークなビジネスモデル。
レンダリングバイオマス発電、農水産、食品事業が連携する、シナジー効果の高い事業ポートフォリオ
自己資本比率80%超という、業界でも群を抜く盤石な財務基盤。
・鶏糞発電ボイラーなど、他社の追随を許さない先進的な技術と設備。

弱み (Weaknesses)
・事業拠点が宮崎県を中心とした地域に集中しているため、大規模な自然災害や特定地域での家畜伝染病発生時のリスクが大きい。
・事業の特性上、悪臭対策など周辺環境への配慮が常に求められ、対策コストが発生する。
・専門性の高い事業であるため、人材の確保と育成が事業継続の鍵となる。

機会 (Opportunities)
・世界的なサステナビリティ・循環型社会への移行という巨大な潮流。
・フードロス削減や環境負荷低減に対する、消費者や取引先の意識の高まり。
バイオマス発電など、再生可能エネルギーに対する政策的な支援や需要拡大。
・アジアをはじめとする海外市場での、日本の高度な資源循環技術・ノウハウへの関心。

脅威 (Threats)
・家畜伝染病(鳥インフルエンザ、豚熱など)の大規模な発生による、原料調達の停止リスク。
・飼料・肥料の原料となる穀物相場や、エネルギー価格の国際的な変動。
・食品の安全に対する消費者の意識が変化し、レンダリング製品への風評リスクが発生する可能性。
規制緩和や技術革新による、新規参入企業の出現。

 

【今後の戦略として想像すること】
✔短期的戦略
まずは国内における現在の事業基盤をさらに盤石なものにすることです。特に、主力の資源循環事業において、処理能力の向上やさらなるエネルギー効率の改善、新たな副産物の資源化技術の開発などを進めていくでしょう。また、「おさつポーク」や「田園浪鰻」といった自社ブランドの認知度向上と販路拡大にも注力し、グループ全体の収益力を高めていくと考えられます。

✔中長期的戦略
グループビジョンに掲げる「資源循環ビジネスのさらなる創造 ~日本そしてアジアへ~」が示す通り、国内で完成させたこの独自のビジネスモデルを、海外、特に食料需要が急増するアジア地域へ展開していくことが最大の成長戦略となるでしょう。各国の食文化や環境規制に合わせた形で、日本の高度なレンダリング技術やバイオマス発電のノウハウを提供することは、大きなビジネスチャンスとなります。そのために、盤石な財務基盤を活かしたM&Aや、現地企業とのパートナーシップも積極的に模索していくことが予想されます。

 

まとめ
株式会社創循ホールディングスは、単なる食品関連企業やリサイクル企業ではありません。農畜水産業生産現場から発生する副産物を起点に、飼料、肥料、エネルギー、そして最終的な食品へと、価値の連鎖を創り出し、全てを循環させる社会システムそのものを事業として構築した、他に類を見ない「社会課題解決型企業グループ」です。第16期決算で示された80%超という驚異的な自己資本比率は、そのビジネスモデルの持続可能性と収益性の高さを雄弁に物語っています。
「捨てる」という概念をなくし、全てのものを資源として活かしきる。創循グループの挑戦は、資源の乏しい日本が、そして世界が目指すべき未来の姿を、宮崎の地から力強く示していると言えるでしょう。

 

企業情報
企業名: 株式会社創循ホールディングス
所在地: 本社 宮崎県都城市高城町有水1941 / 管理本部 福岡市中央区港2-1-5 FYCビル
代表者: 代表取締役社長 小ヶ内信行
設立: 2010年1月20日
資本金: 1億6500万円
事業内容: 純粋持株会社形態によるグループ経営管理(資源循環事業、農水産事業、食品事業)
グループ会社: 株式会社FYC、南国興産株式会社、日興油脂株式会社、南国運送株式会社

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