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#1245 決算分析 : 株式会社日産緑化 第65期決算 当期純利益 349百万円


高速道路の法面、河川の堤防、都市の公園。私たちの暮らしのすぐそばにある「緑」の景観は、どのように維持・管理されているのでしょうか。その最前線で60年以上にわたり、日本の国土の緑化と保全を担ってきたのが、日産化学グループの中核企業、日産緑化株式会社です。農薬のプロフェッショナルとして創業し、やがて総合緑化事業へとフィールドを広げ、数々の国家的なプロジェクトも手掛けてきた、まさに「緑のインフラ」の守護神。今回は、その設立から65期を迎えた同社の決算を読み解きます。自己資本比率70%に迫る鉄壁の財務基盤に加え、3.5億円近い巨額の純利益を達成した、その圧倒的な強さの秘密に迫ります。

20250331_65_日産緑化決算

決算ハイライト(第65期)

資産合計: 2,515百万円 (約25.1億円)
負債合計: 767百万円 (約7.7億円)
純資産合計: 1,748百万円 (約17.5億円)
当期純利益: 349百万円 (約3.5億円)


自己資本比率: 約69.5%
利益剰余金: 1,648百万円 (約16.5億円)

 

決算書が示すのは、驚異的な収益力と、盤石の安定性です。自己資本比率は約69.5%と、製造業・建設業としては極めて高い水準にあり、圧倒的な財務の健全性を示しています。そして、約16.5億円という巨額の利益剰余金は、60年以上にわたる黒字経営の歴史を物語っています。その上で、当期純利益が3.5億円近くに達しており、純資産利益率(ROE)は約20%に迫る勢いです。これは、同社のビジネスが、安定しているだけでなく、非常に高い収益を生み出す力を持っていることの力強い証明です。

 

企業概要

社名: 日産緑化株式会社
設立: 1962年3月
株主: 日産化学株式会社(100%)
事業内容: 造園土木工事、緑地維持管理、薬剤散布・防除、薬剤・資材販売

www.nissanryokka.co.jp

 

【事業構造の徹底解剖】

同社のビジネスは、「緑」に関するあらゆるニーズにワンストップで応える、4つの事業の柱で構成されています。

✔造園土木工事:国土を創り、守る
国や自治体が管理する河川、公園、道路といった、社会インフラの緑化工事を手掛ける、同社の中核事業です。明石海峡公園や羽田空港アクセス道路など、日本を代表するランドマークでの実績も豊富です。国土交通省からの優良工事表彰を多数受賞していることが、その高い技術力と施工管理能力を証明しています。

✔緑地維持管理:日常の景観と安全を保つ
除草や剪定、樹木の診断などを通じて、緑地を健全な状態に保つ事業です。専門知識を持つグリーンアドバイザーや樹木医を擁し、景観の美しさだけでなく、地域環境の保全や安全確保に貢献しています。

✔薬剤散布・防除:創業以来のコア技術
同社のルーツであり、最大の強みとも言えるのが、この分野です。親会社である日産化学の農薬に関する深い知見を活かし、鉄道、高速道路、太陽光発電所といった広大な非農耕地において、効果的かつ安全な除草・防除作業を提案・実施。業界トップクラスの実績を誇ります。

✔薬剤・資材販売:プロの知見を届ける
自社で効果を実証した、緑地メンテナンス向けの各種薬剤や資材を販売。単に商品を売るだけでなく、専門家としての知見に基づいた、年間管理計画の提案や使用方法のアドバイスまで行っています。

 

【財務状況等から見る経営戦略】

✔外部環境
同社の主力である公共事業は、国の予算編成に大きく左右されます。しかし近年では、気候変動対策としての都市緑化の推進や、生物多様性保全、特定外来種の駆除といった、新たな社会的ニーズが高まっています。これは、同社にとって大きな事業機会となり、高い専門性を活かして、高付加価値な事業を展開する追い風となっています。

✔内部環境:専門性と効率性の両立
同社の高収益の源泉は、その独自の事業構造にあります。親会社由来の「薬剤」に関する深い専門知識を核に、労働集約的になりがちな「緑地管理」を、化学的手法を効果的に用いることで効率化。そして、技術的な難易度が高い「造園土木工事」では、数々の表彰実績が示す通り、高い品質管理能力で利益を確保しています。この、専門性と効率性の両立が、安定した高収益体質を築き上げています。

✔安定性分析
自己資本比率約69.5%、利益剰余金約16.5億円という鉄壁の財務は、長年の堅実経営の賜物です。この財務体力があるからこそ、大規模な公共事業の受注に必要な信用力を担保でき、また、景気の波や個別プロジェクトの採算変動にも動じない、力強い経営が可能となっています。豊富な内部留保は、将来の成長に向けた、人材育成や新技術への投資を、自己資金で柔軟に行うことを可能にしています。

 

SWOT分析で見る事業環境】

強み (Strengths)

・親会社である日産化学のブランド力と、農薬に関する深い専門知識・技術力。

・60年以上の歴史で培われた、特に公共事業における豊富な実績と、国や自治体からの厚い信頼。

自己資本比率70%に迫る、圧倒的に健全で安定した財務基盤と、高い収益性。

・造園工事から維持管理、薬剤販売までを網羅する、総合緑化サービス提供能力。

弱み (Weaknesses)

・公共事業への依存度が高く、国の予算や景気動向に業績が左右されやすい。

・労働集約型のビジネスモデルであり、建設・造園業界の人手不足の影響を直接的に受ける。

機会 (Opportunities)

・企業のESG経営やSDGsへの関心の高まりによる、屋上緑化ビオトープ創設といった民間需要の拡大。

生物多様性保全外来種対策など、環境問題解決型の新たな緑化・管理ビジネスの創出。

・ドローンやICTを活用した、緑地管理や薬剤散布の効率化・高度化。

脅威 (Threats)

・公共事業費の大幅な削減。

・同業他社との、特に価格面での競争の激化。

労務費や資材価格の、さらなる高騰。

・農薬や除草剤に対する、環境規制の強化。

 

【今後の戦略として想像すること】

創立60周年を機に「2050年のあるべき姿」を見据えたという同社は、その盤石な経営基盤と収益力を活かし、さらなる成長を目指していくでしょう。

✔短期的戦略
まずは、既存事業の収益力をさらに高めることが基本戦略です。高い利益率を誇る薬剤関連事業の知見を、造園土木や維持管理事業にさらに応用し、全体の生産性と収益性を向上させていくことが考えられます。

✔中長期的戦略
長期的には、その技術力と財務基盤を活かし、新たな社会課題の解決に事業領域を広げていくことが期待されます。社長がメッセージで語るように、耕作放棄地の再生や、里地・里山保全といった分野は、同社の持つ緑化技術と薬剤の知識を融合できる、高付加価値な有望市場です。また、親会社である日産化学の研究開発力と連携し、環境負荷の少ない新たな緑化資材や、生態系に配慮した管理技術などを開発・事業化することも、同社ならではの成長戦略となるでしょう。

 

まとめ

日産緑化株式会社は、60年以上にわたり、日本の国土の「緑」を守り、育ててきた、社会に不可欠な企業です。その歴史は、堅実な経営によって積み上げられた、16億円超の利益剰余金という形で、決算書に力強く刻まれています。そして、当期3.5億円近い純利益という結果は、同社が過去の成功に安住することなく、現在も力強く成長していることを示しています。日本のものづくりを支える化学メーカーのDNAと、国土の緑化に貢献してきた現場の力が融合した、この稀有な企業が、これからも私たちの快適な環境を創造し続けてくれることに、大きな期待が寄せられます。

 

企業情報

企業名: 日産緑化株式会社
所在地: 東京都千代田区神田駿河台4-4-1 PMO御茶ノ水
代表者: 代表取締役 中山 雅人
設立: 1962年3月
資本金: 1億円
事業内容: 造園工事業土木工事業、緑地維持管理、薬剤散布・防除、農薬・肥料等の販売
株主: 日産化学株式会社(100%)

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