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#1105 決算分析 : 京印京都南部青果株式会社 第51期決算 当期純利益 91百万円


京印京都南部青果株式会社は、京都府南部総合地方卸売市場の中核を担う青果卸売会社です。「京野菜」に代表される付加価値の高いブランド野菜の取り扱いに強みを持ち、その魅力を全国、そして海外にまで発信する、京都の食文化の伝道師でもあります。生産者と消費者を繋ぐ地域の流通インフラとして、私たちの食卓に新鮮で安全・安心な青果物を届け続けています。


京印京都南部青果株式会社の第51期(令和7年3月31日現在)の決算公告が、令和7年5月24日付の官報に掲載されましたので、その概要と事業の展望について分析します。

20250331_51_京印京都南部青果決算

第51期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 3,550百万円 (約35.5億円)

負債合計: 587百万円 (約5.9億円)

純資産合計: 2,963百万円 (約29.6億円)

当期純利益: 91百万円 (約0.9億円)

 

今回の決算では、当期純利益として91百万円(約0.9億円)を計上しています。特筆すべきは、その傑出した財務の健全性です。純資産合計は約29.6億円に達し、自己資本比率は約83.5% という極めて高い水準を誇ります。

さらに、利益剰余金は2,913百万円(約29.1億円)と、資本金50百万円の58倍以上にも積み上がっています。これは、同社が半世紀にわたる歴史の中で、一過性のブームに流されることなく、着実かつ堅実に収益を上げ続けてきたことの力強い証明です。この盤石な財務基盤が、生産者や取引先からの揺るぎない信頼を獲得し、安定的な事業運営を可能にしています。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
京印京都南部青果は、卸売市場法に基づき、地域の青果物流通において重要な公的機能を担っています。

青果卸売事業:
全国の生産者や農協から野菜や果物を集荷(仕入れ)し、市場内で開かれる「競り」や、スーパーなどの大口顧客との「相対売り」を通じて、仲卸業者や小売店といった買参人に販売(卸売)する中核事業です。多種多様な青果物を効率的に集め、仕分けし、安定供給する「集荷・分荷機能」を担っています。

京野菜」のブランディングと全国展開:
同社の最大の強みであり、特色です。聖護院大根、賀茂ナス、九条ねぎ、万願寺甘とうがらしといった、全国的に高いブランド力を持つ「京野菜」の集荷・販売を積極的に行っています。単に販売するだけでなく、その歴史やおいしい食べ方といった文化的価値も合わせて発信することで、京野菜ブランドの維持・向上に貢献しています。

産地育成と生産者との連携:
地域の生産者で組織する「京野菜友の会」の運営をサポートするなど、生産者との強固なパートナーシップを築いています。研修会や講習会を通じて生産技術の向上を支援したり、消費者ニーズを産地にフィードバックしたりすることで、産地全体の活性化と、高品質な青果物の安定確保に繋げています。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
第51期決算が示す盤石な財務状況は、「京野菜」という強力なブランド商材がもたらす高い付加価値と、生活必需品である「食」を扱う事業の安定性に支えられています。一般的な青果物と比べて高価格帯で取引される京野菜は、同社の収益性を下支えする重要な要素です。また、卸売市場という公的なインフラとして、地域の流通に不可欠な役割を担っていることも、事業の安定に寄与しています。

同社の競争優位性は、以下の3点に集約されます。

✔「京野菜」という唯一無二のキラーコンテンツ

他の地方市場にはない、強力なブランド力を持つ京野菜の集荷・販売ルートを確立していること。

✔生産者との強固なリレーションシップ

京野菜友の会」に代表されるように、単なる取引相手ではなく、運命共同体として生産者と深く結びついていること。これが、他社には真似のできない品質と量の安定確保を可能にしています。

✔卸売市場としての公的機能

集荷・分荷、公正な価格形成、迅速な決済、需給に関する情報伝達といった、社会インフラとしての機能。これらは、個別の企業努力だけでは代替が難しいものです。

今後の成長に向けた課題としては、流通構造の変化への戦略的な対応が挙げられます。近年、大手スーパーが産地と直接契約を結んだり、生産者がECサイトで消費者に直接販売したりするなど、卸売市場を経由しない「市場外流通」が拡大しています。この大きな流れに対し、従来の「競り」による価格形成機能に加え、小売店の多様なニーズに応えるための提案型の「相対売り」を一層強化していく必要があります。

また、日本の農業全体が抱える生産者の高齢化や後継者不足は、同社にとっても集荷力を左右する深刻な問題です。地域の農業を維持・発展させるため、新規就農者の支援や、生産・出荷の効率化に繋がる情報提供など、卸売業者として産地に対してより積極的に働きかけていくことが求められます。

 

京印京都南部青果は、これからも京都南部の食の流通を支える要であり続けるでしょう。伝統的な市場機能を堅守しつつ、時代の変化にしなやかに対応し、IT活用による業務効率化や新たなサービスの創出にも取り組むことで、「京野菜」のブランド価値をさらに高め、生産者と消費者の双方から選ばれる「食の総合流通サービス企業」へと進化していくことが期待されます。

 

企業情報
企業名: 京印京都南部青果株式会社

所在地: 京都府宇治市伊勢田町西遊田90番地の1(京都府南部総合地方卸売市場内)

代表者: 藤田 和幸

事業内容: 京都府南部総合地方卸売市場における青果卸売業。「京野菜」をはじめとする青果物およびその加工品の売買・販売受託など。

www.kyojirushi.co.jp

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