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#1060 決算分析 : エネクス・アセットマネジメント株式会社 第13期決算 当期純利益 107百万円

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脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーへの投資が世界の潮流となる中、その受け皿として注目される「インフラファンド」。伊藤忠エネクス三井住友信託銀行などをスポンサーに持ち、東証インフラファンド市場に上場する「エネクス・インフラ投資法人証券コード:9286)」の資産運用を一手に担うのが、エネクス・アセットマネジメント株式会社です。同社の第13期(2025年3月期)決算が、2025年6月16日付の官報に掲載されました。再生可能エネルギーという、未来を創る資産を運用するプロフェッショナル集団の経営状況と、その事業の核心に迫ります。

20250331_13_エネクス・アセットマネジメント決算

第13期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 829百万円 (約8.3億円)

負債合計: 37百万円 (約0.4億円)

純資産合計: 792百万円 (約7.9億円)

当期純利益: 107百万円 (約1.1億円)

 

今回の決算では、当期純利益として107百万円(約1.1億円)という力強い利益を計上しました。これは、同社が運用するインフラファンドが安定的に収益を上げており、その運用報酬が着実に同社の利益となっていることを示しています。

特筆すべきは、その極めて健全な財務体質です。負債合計はわずか3,700万円ほどであり、総資産約8.3億円に対して自己資本比率は驚異の95.5%に達します。これは実質的な無借金経営であり、投資家から資産を預かる資産運用会社として、これ以上ないほどの安定性と信頼性を示しています。利益剰余金は27百万円のマイナス(累積損失)となっていますが、これは設立から日が浅く、事業が本格化するまでの先行投資期間があったためと考えられます。今期の大きな利益計上により、この累積損失の解消も視野に入ってきています。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
ネクス・アセットマネジメントは、自社で発電所保有するのではなく、投資家から集めた資金で再生可能エネルギー発電設備等に投資し、その資産価値の最大化を目指す「資産運用会社」です。

インフラファンド「エネクス・インフラ投資法人」の資産運用:
同社の事業の核心は、東京証券取引所のインフラファンド市場に上場する「エネクス・インフラ投資法人」の資産運用です。投資法人の「頭脳」として、日本全国に点在する太陽光発電所や風力発電所などのインフラ資産を取得・管理・運営し、そこから得られる長期安定的な売電収入を、投資家への分配金の原資とします。その運用資産(ポートフォリオ)は、茨城県の「高萩太陽光発電所」や三重県の「松阪太陽光発電所」、新潟県の「胎内風力発電所」など、合計で1,000億円を超える規模に達しています。

強力なスポンサー連合によるサポート体制:
同社のもう一つの大きな特徴は、その強力な株主(スポンサー)構成にあります。

1.伊藤忠エネクス

エネルギーの安定供給に関する豊富な知見と、発電所の開発・運営能力を提供。

2.三井住友信託銀行

資産管理や金融に関する高度なノウハウを提供し、財務の安定化を支援。

3.マーキュリアホールディングス、マイオーラ・アセットマネジメント

投資・資産運用に関する専門的な知見を提供。


これら各分野のプロフェッショナルが結集することで、優良な投資対象資産の取得(パイプライン)から、安定的な運営、そして健全な財務戦略まで、ファンド運営のあらゆる側面を強力にサポートしています。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
1億円を超える当期純利益は、同社が運用する1,000億円超の資産から得られる「資産運用報酬」が安定的な収益基盤となっていることを示しています。インフラファンドの運用資産は、主にFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)によって20年間の売電収入が保証された発電所であるため、収益の見通しが立てやすく、資産運用会社の収益も安定しやすいという特徴があります。95.5%という驚異的な自己資本比率は、投資家から資産を預かる受託者としての責務を果たす上で、万全の経営基盤を築いていることの表れです。

この「再生可能エネルギーという成長分野への特化」と「強力なスポンサー連合による安定した事業基盤」こそが、エネクス・アセットマネジメントの最大の強みです。

 

しかし、その事業には、インフラファンド特有の課題も存在します。
第一に、「FIT制度への依存と将来」です。現在運用する資産の多くは、FIT制度によって収益の安定性が担保されています。しかし、今後、FIT制度の適用期間が満了する「卒FIT」案件が順次発生してきます。これらの発電所の収益性を、FIT後もいかに維持・向上させていくかが、長期的な課題となります。

第二に、「新たな投資対象の獲得競争」です。インフラファンド市場の成長とともに、優良な再生可能エネルギー発電所の取得競争は激化しています。スポンサーからのパイプライン供給という強みはありますが、常に魅力的な利回りを実現できる資産を取得し続けられるかが、投資法人の成長と、ひいては同社の収益拡大の鍵を握ります。

 

今後の展望として、エネクス・アセットマネジメントは、再生可能エネルギーへの投資を通じて、その経営理念である「地球環境に配慮した社会の創造と、人々の豊かな暮らしの実現」を追求していくでしょう。
短期的には、スポンサーからのサポートを活用し、太陽光発電所を中心に運用資産を着実に拡大していくことが目標となります。
中長期的には、太陽光だけでなく、ポートフォリオに組み入れられている風力発電や、今後有望視される水力、地熱、バイオマスといった、他の再生可能エネルギー資産への投資を拡大していくことも視野に入ってくるでしょう。これにより、天候による発電量の変動リスクを分散させ、ポートフォリオ全体の安定性をさらに高めることができます。

 

「現場・現物・現実主義」。この行動指針が示す通り、エネクス・アセットマネジメントは、単なる金融商品としてインフラを捉えるのではなく、一つ一つの発電所を健全に育成していくという強い意志を持っています。その地道で誠実な資産運用が、日本のエネルギー転換を支え、投資家に安定したリターンをもたらしていく。その重要な役割から、今後も目が離せません。

 

企業情報
企業名: エネクス・アセットマネジメント株式会社

本社所在地: 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 霞が関ビルディング29階

代表者: 代表取締役社長 松塚 啓一

事業内容: 東証インフラファンド市場上場の「エネクス・インフラ投資法人」の資産運用会社。伊藤忠エネクス三井住友信託銀行などを主要株主とし、太陽光発電所や風力発電所といった再生可能エネルギー発電設備等への投資・運用を行う。

www.enex-am.jp

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